188 7月の振り返り
202X年8月1日
今日は異世界に帰る日だ。
日付が急に飛んだのには理由がある。
特筆するようなことはあまり無かったからだ。
まず紗也華の復帰配信は問題なく終わった。
紗也華は正直に痴漢事件で精神的ショックを受けて休んでいた。
痴漢事件は解決して気持ちの整理も出来たから復帰したと元気に話していた。
……言わなくても良いんだけど正直なんだよね。ファンも温かいコメントを沢山していた。
7月22日は彩花のバースデーパーティーをした。
皆でお誕生日を祝う歌を歌ってロウソクの火を消したところで電気を付けた。
そして今回はクラッカーを使った。
皆、最初は驚いていたが慣れると楽しんで使っていた。
エイドに頼んでメイド用のエテルノを用意したので片付けもメイドさんがしてくれた。
メイドの名前はアメジストとアメトリンの2人。
今まではマンションのエテルノがサーバールーム横のリネン室でリネンを担当していたが、専属のメイドを2人用意したので2人にやってもらっている。
メイドの2人には定期的に感謝の言葉を伝えている。2人とも大変だろうから。
それに対して2人はいつも「いつも国王陛下のお役に立てており大変光栄です」と返してくれる。
本当に良い子達だ。
それからある日シャーロットと2人で気分転換に最上階のラウンジにあるソファーに座って自動販売機で入手した飲み物を飲んでいたら、女の子のが来た。僕達に気付いて引き返そうとしたから慌てて追いかけて待ってもらった。
「もし時間があれば僕達と話してもらえませんか?」と。半分諦めた顔をして「分かりました」と答えてくれた。
横にシャーロットがいることに気付くと少し安心した顔をしながらも人見知りのようで恐る恐る席に座ってくれた。
「僕はこのマンションをつくった小鳥遊光一と申します」
「私は妻のシャーロットです」
「わ、わ、私は海凪野アクアと申します」
「信じてもらえないかもしれませんが私、異世界の神に頼まれて建国して国王をしているんです」
「し、信じますよ!私の所属する事務所には異世界出身の子や天界や魔界出身の子などがいるので」
「信じてもらえますか」
「それにこんなに素晴らしいマンションを僻地とは言え月3万円で住ませてくれて、しかも複数の管理人に複数の警備員兼運転手を用意出来るのは石油王か国王のどちらかでしょう?」
「そうですよね。周りに映画館とか何もない僻地なのでそこが申し訳ないところなんですよね」
「そんな。とんでもないです!どこか行こうと思ったら運転手さんに送迎してもらえるので」
「そうですか?」
「はい。事務所で遅くなって電車が走っていない時間になっても迎えに来てもらえるのは凄く助かります」
「それは良かったです。アクアさん人見知りかと思っていましたが意外とそうでもないんですね?」
「あたしが思うにあなたの横に美しい女性がいるからか、あなたが接しやすいからだと思います」
「そうですか。住んでいて何か不便な事とか改善してほしいことはないですか?」
「うーん。あたしは特に感じたことはないです」
「そうですか。それは良かったです。僕は元社畜SEの平凡な人間なんですが、国王になってから現場の生の声が気になるようになったので今回、声をかけさせてもらいました。すみません。お忙しいところお付き合いいただきありがとうございます。今後は僕はここに来ないと思いますので気楽にここを利用してくださいね」
「こちらこそ、いつもお世話になっておりありがとうございます。はい。お気遣いありがとうございます。それでは失礼しますね」
「シャーロットどうだっただろうか?」
「コウイチさんの質問はいつも色々な意味が込められていて答えるのに苦労します」
「自覚はあるんだけどゴメンね」
「私は最初は人見知りの子で大丈夫かなと思いましたが話している内に慣れたのか安心しました。とても良い子だと思います。それから不便な事や改善してほしい点がないのも良かったと思います」
「そうだね。僕も同じ考えだよ」
「今後もこの活動をするんですか?頻繁にやると嫌がられて誰も来なくなると思いますよ?」
「いや、今回で問題点が無さそうなのが分かったからやるつもりはないよ。気が向いたらやるかもだけど」
「そうですか。それなら良いと思います」
というようにそんな出来事があった。
他は近くのファミレスに行ったり少し遠出してカフェでパンケーキを食べたりして過ごした。
皆、この世界の食べ物。特にスイーツが好きなようだ。気持ちは分かる。異世界にも導入したいな。
食材が揃えば学園都市の食品開発関連学部に頑張ってもらおう。
彩花と紗也華は学校に通いながら楽しく配信活動をしているようだ。心から良かったと思う。
「さて皆、異世界に行くよー。大丈夫?」
皆、頷いたから大丈夫そうだ。
「それじゃ飛ぶね」
マンションに帰るとブリタニアが座って待っていてくれた。
「みんな。おかえり」
口々に「ただいま」と答える。
「皆、特に問題は無かった?」
「うん。問題ないよ」
「なら良かった」





