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166 まつりさんとお話

 202X年6月2日


 今はブリタニアと最上階のラウンジにあるソファーに座って自動販売機で入手した飲み物を飲んでいる。

 何でこんなことをしているかと言うと誰かが来るのを待っているから。

 異世界で国王をしているのもあるのか住人……つまりハロライブメンバーの生の声を聞きたかったから。

 住んでいて不便な所はないか、改善してほしい点はないかを聞きたかったのだ。


 そろそろ飲み物も無くなってきて結構時間も経ったからブリタニアに悪いしそろそろ戻ろうかなと思ったら誰かいらっしゃった。


「あっ……」


 僕達に気付いて引き返そうとしている。


「ま、待っていただけますか?」


「あ、小鳥遊光一さんですか?」


「そうです。夏野祭さんでしょうか?」


「……はい」


「お時間に問題なければ少し僕の話に付き合っていただけませんか?隣に嫁のブリタニアもいますので警戒しないでもらえると嬉しいです」


「わ、分かりました。正直怖いですが……失礼しますね」


「お忙しい所、待ち伏せするような事してスミマセン。異世界で国王をやっているのもあって住人の方の生の声を聞きたかったんです」


「本当に異世界で国王をされているんですか?」


「はい。元はブラック企業でシステムエンジニアをしていたんですが、身体を壊しまして退職し就活をしていたら運良く異世界の神様にお会いしまして建国を依頼されたんです。数百年間、文明が発達しないからテコ入れしてほしいと。条件も良かったんです。地球に帰れますし、異世界で1ヶ月過ごすと地球の口座に1億ドル給与として振り込むと言われたので」


「だからこんなに素晴らしいマンションを建てられたんですね」


「素晴らしいですか?」


「はい。我々の要望を聞いていただき配信しやすい環境ですし、ドリンクやお菓子も無料ですし……特にドーナツが良いです」


「私はまつりさんの配信をよく観ていてドーナツが好きだと度々お話されていたのでお菓子コーナーに入れさせていただきました」


「ずっと気になっていたんですが、どうして我々ハロライブの為にここまでしていただけるのですか?」


「本当は他のバーチャルアイドル事務所の方も同じような取り組みをしたいのですが、お金の事情からまずはハロライブさんにさせていただきました。理由としては単に私自身が箱推しだからですね。先程も話しましたがまつりさんの配信もよく観ていましたよ」


「過去形ですか?」


「これまで色々と忙しくて配信を観られて無かったんです。何しろただの元SEが国王をすることになったので。ですがやっと落ち着いたので再び観ていきますよ。あ、そう。理由について話し忘れましたが異世界でハロライブさんの動画を使わせていただきたいというのもあります」


「異世界だと言語が違うのではないですか?それと何故、私達の動画なんですか?」


「不思議な事に僕の行った異世界は世界共通で英語だったんですよ。そして異世界には娯楽がない。ネット大好き人間だった元SEとしては耐えられない環境だったんですね。なので異世界に地球の娯楽を輸入しよう。せっかくだから僕の好きなハロライブの動画を輸入しようと思ったんです。僕の国は国王の権限で日本語を公用語にしました。日本語は難しいですが色々な表現が出来て面白いですからね。日本語の習得は異世界で研究した技術を使って頭に電極を貼れば数秒で習得出来ます。多様性という意味でも英語しかない世界より日本語もある世界の方が健全だと思ったというのもあります」


「電極を貼るだけで言語を習得出来るのは羨ましいです」


「本当に僕もそう思いますよ。あっそうだ自己紹介がまだでしたね。横に座っているのが妻のブリタニアです」


「第一王妃のブリタニアと申します。よろしくお願いします」


「私は夏野祭です。第一王妃ということは他にもお嫁さんがいるんですか?」


「はい。自分でもどうしてこうなったのか分かりませんが9人のお嫁さんがいます」


「9人もですか?」


「私も多いとは思いますが皆それぞれ魅力的な女性です」


「その中に日本人はいますか?」


「スーッ……います。ですが誤解しないでいただきたいのは彼女達は異世界の事件の被害者で言葉に出来ない程、残虐な目にあったんです。異世界の神が治療したので今は元気ですが私がその事件の要因である事、私が彼女達を助けた事に彼女達は恩を感じて結婚を望んだので認めたんです。事件の記憶を消すはずが神の手違いで記憶が残っていまして、それでも彼女達は辛い記憶を乗り越えて頑張っているので私は夫として責任を持って彼女達を幸せにしようと思っています」


「そうですか。そういう事情なら仕方ないと思います。もし彼女達に何かあったら私もフォローしようと思います」


「ありがとうございます。何もないことを祈りますがもし何かありましたらよろしくお願いします」


「はい!」


「あ、そうだ本題を忘れていました。マンションに住んでいて不便な点とかありませんか?国王としての癖もあり生の声を聞きたくてですね」


「うーん。そうですね。どこか出かける時に送ってもらえるのは大変ありがたいです。ですが帰りはどうしたものかなという所ですかね?」


「あー。そうだ!それは考慮が漏れていた。ご不便をおかけして申し訳ないです。後程、電話番号を共有します。セキュリティの観点から考えるとどうしようかな……オートロック内からしか見えない場所……エレベーターとかに掲示板を設置して共有させます」


「連絡先を書いた紙を封筒に入れて私の部屋の玄関についている郵便箱に入れていただければチャットツールで住民に共有しますよ」


「そうですか?それではお手数をおかけしますがよろしくお願いします。また何か困った事がありましたら気楽に管理人か警備員にお声掛けください……特に夜コンビニに行く際には必ず警備員にお声掛けください。皆さんに何かあったら嫌なので」


「分かりました。その点も皆に共有しておきますね。女子1人で夜中出歩くのは怖いですからね」


「はい。管理人と警備員は女性ですがああ見えて彼女達は強いので頼ってくださいね。例えばそうですね……身体を鍛えているような男3人が相手でも余裕で勝てると思いますから」


「そんなに強いんですか!?」


「強いですよ。なので安心してください。それでも夜道が不安なら警備員を2人でも3人でも使ってもらって全然構わないので」


「わ、分かりました。それも共有しておきます」


「はい。お願いします。色々とお話を聞いていただきありがとうございました」


「いえ、こちらこそです。それでは失礼します」


「はい」


「ブリタニアどうだった?」


「またざっくりとした質問ね。良い子だと思ったわ。特に後輩の面倒見が良さそうだなと感じた」


「そう。それは良かった」

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