133 元社畜SEの思考について
「ところで私達がそんなに強いならさっき運転手さんに警護をお願いしなくても良かったんじゃないの?」
「そこはほら抑止力ですよ。見た目が可愛い女の子、特にスポーツしていなさそうな女の子が大金持ってたら突発的に襲いたくなる人もいるでしょう?だけど入り口に明らかに警備してますって感じの人がいたら躊躇すると思わない?女の子2人なら勝てるけど大人の女性が加わると勝てないと判断するだろうなっていう抑止力。君達なら勝てるけど無駄なトラブルは回避したいじゃない?面倒だから」
「か、可愛いって言ってくれてありがと。抑止力の話も理解したわ。しかし、ここでも理由が面倒だからなのね」
「私も可愛い女の子って言ってくれて嬉しい気持ちです。お気遣いありがとうございます」
「面倒だからって意外と重要だよ?面倒だなと思ったらいかに効率化するか考えるから。さっきの銀行を設立したのも同じ。銀行がないと面倒だな。でも誰か民間人に頼むのは面倒だな。部下に頼むのが一番効率的だな。日本の銀行システムのようにネットワークで繋げば街と街の間を現金持って歩かなくて済んで面倒が解消されるなってね」
「なるほどね。確かに言われてみればそうかもしれないわね。気付きか……勉強になったわ」
「僕は元々、面倒だなと思ったら更に良い性能のパソコンを作ったりしてたし、元社畜SE時代もこの作業面倒だから自動化したいなって思ってマクロ……マクロは簡単なプログラムみたいなものなんだけど、それを作ってみたりそういう風に生きて来たからね。社畜SEで身体を壊したけど、その経験は無駄では無かったと思っているよ」
「あなた強いわね……色々な意味で」
「そうかな?運が良かっただけだと思うよ?普通に就職していたらまた社畜SEやってたと思うし」
「その運の良さも含めて強いなって思うのよ」
「確かにね。今は異世界の神のお蔭で20歳まで若返っているけど32年間彼女すらいなかった僕にこんなに可愛いお嫁さんが出来るとは全く想像していなかった。出会いは最悪だったけど2人と出会えて結婚出来て良かったと心から思うよ」
「き、急にそういう事言うぅ!ありがと!」
「私もあなたと出会えて良かったです」
「ところで話が変わるけど2人のデビューはいつ頃?」
「来週です」
「はやっ!機材調達とか間に合いそうに無ければ言ってね」
「早いのは光一さんの紹介というのもあると思います。機材の方は大丈夫です。軍資金もいただきましたし運営さんと相談しながら準備を進めようと思います」
「そうか楽しみだなー」
「私達はドキドキですよ」
「今から緊張しているわ」
「大丈夫。先輩が築いてきたものがあるから初配信で10万人観に来るんじゃないかな?」
「10万人!?」
「よ、余計に緊張させないでよ!」
「事前に知っておいた方が覚悟が出来て良いんじゃない?」
「そう言われるとそうですけどぉ」
「あ、マンションに到着したようだね」
「それじゃ2人ともライブでね」
「はい!ありがとうございました!」
「私もありがとうね!」
2人とも車から降りてマンションに入っていく。
一緒に入ると噂になって2人の活動に影響が出ることを考慮した。
まぁマンションのオーナーと知り合いということにすれば良いんだけどね。
芸能界をみれば結婚しているアイドルだっているんだから良いと思うんだけどな。
「運転手さん、色々とありがとうね。あ、念の為に言っておくけど僕関係の事は口に出さないでね」
「はい。心得ています。エテルノ間の会話は通信で行いますので会話するとしたら人間相手です」
「もし人間に僕の事を聞かれたらマンションのオーナーと答えてもらえれば良いよ。事実だし」
「はい。承知しました」
「もし僕と彼女達の関係を聞かれたら学校の先輩と後輩という関係と答えてもらえば良いよ。これも事実だし」
「はい。もし返答に困るような事があれば私も分かりませんとお答え致します」
「うん。迷惑をかけて悪いね」
「いえ、とんでもありません。お役に立てていることを光栄に思っております」
「うん、今後とも色々とよろしくね。もし困った事や報告事項があったらいつでも僕に声をかけて。真夜中でも構わないから。知らないことで対応が後手に回る方が困る」
「理解しました。例えば入居者がコンビニに歩いて行くと言った際に護衛としてついていき、暴漢に襲われ警察沙汰になった際ですね?エイドさんに免許証を発行してもらってますので、よっぽどの事が無ければ我々で対応可能だと思いますが、事案が発生した事をすぐに情報共有するということですね?」
「そう。その通り。何事も無く終わればそれで良い。けど大事になった際に事前に情報を知らないと対応が遅れるからね」
「分かりました。その旨をエテルノ間で共有します」
「ありがとう。彼女達が倒れた時の対応もそうだけど皆には心から感謝している」
「嬉しいです。その事もエテルノ間で共有しますね」
「うん。それじゃ僕も家に帰るとするよ。護衛は不要だけど一応、ついてきてほしいな。あぁ、車を車庫に入れたところからで良いよ」
「ですが……分かりました。今はそういう気分なのですね」
「そういうこと。たまには歩かないと太りそうでね」
そうして僕は車から降り家に帰った。





