123 倒れる小鳥遊の花
マンションに被害者2人……いい加減、名前を変えてあげたほうが良いな。
小鳥遊コンビ……芸人みたいだから却下。2人の共通点は何だろう?
う~ん。「華、花」だ!「小鳥遊の花」これで良いだろう。
いい名前だ。自画自賛である。
精神磨り減らして倒れてからポジティブに考える事にした。
そうじゃなきゃ元普通の社畜SEが国王なんて出来ませんよ。
……あ、なんか悲しくなってきたやめよう、やめよう。
あ、そうだ小鳥遊の花がマンションに引っ越して来た。
先輩に必要な内装工事を聞いてエイドに対応してもらっていた。
2人とも回線が開通したとのことで引っ越して来たんだ。
その時、学校から遠くなって大変じゃないか聞いたら。
「いえ、私達、元々実家暮らしで遠かったんですよ。1人暮らしはしたかったんですが都内は家賃が高いじゃないですか。それに比べこのマンションは管理費だけで良くて、バーチャルアイドルとして活動していくのに必要な内装工事も無料でしてくれて、しかも学校まで送り迎えしてくれる。最高ですよ」
と答えてくれた。色々とあったけど人の役に立てて良かったと嬉しく思った。
ちなみにバーチャルアイドルとしてデビューするのは2週間後らしい。楽しみだ。
そんな事を考えながら気ままに新婚生活を送っていたらある日、エテルノが僕の部屋に来て緊急事態だと知らせて来た。
「何?何があった?」
「説明は後にして結論をお伝えします。例の2人がほぼ同時に倒れたと思われます」
「え?」
「管理者であるコウイチ様、合鍵による部屋の侵入を許可願います。現在各部屋の前に2人のエテルノが配備されています。至急判断をお願いします」
「分かった。全責任は僕がとる」
日本の社会ではよく責任の所在をあえて明確にしていない事があるけど僕は責任者として責任を取るよ。
いざというときに責任を取る為に存在するのが責任者だから。まぁ責任を取りたくない気持ちも分かるけどね。
「ありがとうございます。ただ今、それぞれの部屋に侵入しました。2人とも床に倒れています。通常ですと救急車を呼ぶべきですが、例の件がありますのでこの部屋に連れてきてもよろしいでしょうか?」
「それで頼む。それで2人が到着する前に教えてほしい何故、気付いた?」
「実はこのマンションには各部屋に赤外線サーモグラフィカメラが設置されています。もちろんプライバシーに配慮してエテルノである我々も常時監視しておりません。イブ2号に生命監視ボットがあります。床に倒れて動かないなどの異常を検知した場合に我々、エテルノに知らされる仕組みになっております。繰り返しますがプライバシーには配慮しております。簡易的なボットですので誰が何をしているかまで判断する能力はありませんし記録もしていません」
「分かった。エイドそういうことは事前に言っておいてほしいなぁ」
「入居者の皆様はお若いので使う機会がほぼないと思われていたので伝えていなかったのだと思います」
「分かった。もし今後、同様の事例があり責任者である僕が不在の場合は玄関を叩いて呼びかけて返事が無ければ入ってほしい」
「了解しました……丁度、到着しました」
2人はお姫様抱っこされて連れて来られた。
「エテルノの皆、ありがとう」
「いえ、お役に立てて光栄です」
「お嫁さん達、この2人を連れて一度、城に戻る。それから天界に行く」
「分かった」
1年7月12日
皆、頷いたから。皆で城に飛ぶ。城の家族以外立ち入り厳禁で鍵のかかっている部屋だから空間転移でめり込む心配はない。
毎回ゲートを潜るのが面倒だから城を設計する時にこうした。こういう非常時に役に立つし。
城から天界へと飛ぶ。やはり生命神がいる。
「君達の事は観ていたから事情は理解しているよ。本来であれば異世界の者を本人の同意なく連れてくるのはマズイんだけど、例の件により要注意人物となっているから問題ない。安心して。むしろ僕の所に連れてきてくれて助かった。ありがとう」
「2人はどういう状態ですか」
「あのクソジジイ……おっと口がすべった同格の神をそのように言うのは良くないね。それに地球で遊んでいた僕も悪いからあまり責められない。君に分かりやすく説明すると2人の医者がいるとする。1人は傷の縫合などの手術が得意なベテラン外科医。もう1人は少し知識があるからやろうと思えば出来る内科医。僕がベテラン外科医。創造神が内科医だと思ってもらえば良い。ここまでは良いかい?」
「はい。とても分かりやすいです」
「つまり専門家と専門外だけど知識はある人という違いね?」
「その通り。それで2人は複雑骨折をして治すのが困難な状態だったと思ってもらえば良い」
「それは聞いています。肉体、精神、魂に傷があると。治療は出来てその影響で少し若返ったとか」
「そう。それで最初に傷の縫合の話をしたけど、簡単に2人の状態を表現すると下手な手術により傷口が再び開いてしまっている。もしも2人を通常通りに地球の病院に運んでいたら原因不明のまま亡くなっていただろうね。死亡診断書には心不全と書いたんじゃないかな?」
はぁまたか……と僕はため息をついた。





