105 結婚相手という名のラスボス
1年6月7日
城に戻って執務室でどうしてこうなったと考えているとウィンドウちゃんが来た。
「ウィンドウちゃんはかわいいね。どうかした」
「ありがとうございます。えっと、トラバント地方の新京都の役所に伝言があったみたいです」
もう何の事か予想できたけど一応聞こう。
「なんて伝言かな?」
「マスターが諦念したような表情をしています。オース王国の国王がマスターとお話したいそうです。是非、お城まで来てほしいとのことです」
「分かった。ありがとう」
「いえ、疲れた顔をしていますが大丈夫ですか?」
「うん、大丈夫」
「コウイチは嫁が増えそうだと思って諦めの気持ちでこんな表情をしているのよ」
「そんなに嫌なんですか?」
「嫌みたいね」
「嫌じゃないよ。好意を抱いてくれるのは嬉しいよ。たださ、結婚後の生活とか僕の親への紹介とかを考えると頭を抱えたくなるの」
「ご両親そんなに厳しい方なの?」
「いや、そんな事はないけど僕の元いた世界の常識からしてドン引きされるだろうなと思うわけですよ」
「英雄色を好むとも言うじゃない」
「こっちの世界にもそのことわざあるんだ?」
「いや、日本語を覚えた時にそんなことわざがあったなと思い出しただけ」
「あ、そうですか。嫁を紹介する前に親に説明しておこう。『僕が色々な女性に手を出したわけではないです。向こうから好きです結婚してほしいと言ってきたんです』とね……下手すると最低な男だと親にぶん殴られると思うんで」
「そ、そんなになの?」
「あ、考えたら胃が痛くなってきた」
「ちょっと大丈夫なの?手握ろうか?」
「お願いします」
「はい」
「あぁ、癒やされる……もう大丈夫。では行こうか」
「うん!」
ゲートを開くといつものようにブリタニアは先に飛び込んでいった。
僕もゲートをくぐるとお城の前に出た。
「さて行こうか」
「なんでそんなラスボス前みたいな表情をしているのよ」
「僕にとってはラスボスですよ……すみません。大和王国の国王と王妃です」
「はっ!お伺いしております。ご案内致します」
案内されて会議室の席に座る。
少し待つと国王のニコランドさんと、第一王子と第一王女と王妃さんと思われる方々がいらっしゃった。
まさかご家族で来るとは思いませんでした。さすがラスボスだ。
僕は席を立って挨拶する。
「お久しぶりです。ニコランドさん」
「お待たせ致しました。本来なら私が参る所わざわざお越しいただきありがとうございます」
「いえ、とんでもありません」
「こちらは王妃のハーマイラです」
「ハーマイラと申します。よろしくお願い致します」
「こちらこそよろしくお願い致します。大和王国国王のコウイチ・タカナシと王妃のブリタニアです」
「ブリタニアです。よろしくお願い致します」
「こちらは第一王子のロミオです」
「第一王子のロミオです。よろしくお願い致します」
「こちらこそよろしくお願い致します」
「次に第一王女のジュリエットです」
危ない危ない危うく吹き出しそうになった。ロミオとジュリエットなんだもん。兄弟だけど。
「第一王女のジュリエットです。よろしくお願い致します」
「こちらこそよろしくお願い致します」
「今回はこちらのジュリエットを嫁にもらってほしくてお呼びしました」
「すみません。政略結婚はお断りしております」
「政略結婚ではないです。私ジュリエットの強い意志です」
「何故、僕何でしょうか?」
「コウイチ様のご活躍はよく耳に入ってきます。そこで会ってみたいと思ったのです。それで父に頼んでお呼びしました」
「そうなんですか?」
「はい。実はそうなんですよ。ですから私としても政略結婚としての意図はありません」
「お会いしたら人目見ただけでこの人が運命の人だと直感で感じました。だから父にこっそり合図したのです」
「そうなんですか?」
「はい。意中の人だと思ったら合図すると言われていました」
「騙すようなことはしたくないので話しますが僕はこの世界に来る時に創造神様に20歳まで若返らせていただきました。元の年齢は32歳です。32年間、彼女すらいない生活を送っていました。それでも構いませんか?」
「年齢は関係ないと私は思います。ブリタニアさんもそう思いませんか?」
「私もそう思うわよ」
「失礼ですがジュリエットさんは17歳ですよね」
「何故、私の年齢をご存知なんですか?」
「実は私にはブリタニア以外に4人の婚約者がいます。僕の結婚相手は皆17歳なんですよ。僕には神が仕組んだように思えてなりません。僕は恋愛神が怪しいなと思っているところです。そこでまだ17歳の王族がいるか創造神様に聞いたらオース王国にいると聞いていたので何となく予想していたのです」
「ではやはり運命だということですね!」
「分かりました。私と結婚してください。よろしくお願い致します」
「こちらこそよろしくお願い致します」





