100 4人目のお嫁さん
1年6月6日
僕はゲートを開く。
「ブリタニア行こう」
「え?う、うん」
ゲートをくぐろうとしたところで「待って」と声がかかった。
「も、もう少し私、エリアナとお話してもらえませんか?」
「何でしょうか?」
僕はゲートを閉じて椅子に座る。ブリタニアも椅子に座った。
「急な話で取り乱して申し訳ありませんでした」
「いえ、当然の反応だと僕は思いますよ。謝る必要はないです」
「ありがとうございます。ですが怒らせてしまって申し訳ありません」
「私はあなたのお母様と創造神様に怒ったのであってあなたのせいではありません」
「いえ、私の態度に原因があると理解しています。ですので謝罪を受け取ってください」
「分かりました」
「エリアナ無理しなくて良いのよ。私が悪かったわ」
「いいえお母様、私は無理をしていません。私は王族としての覚悟が足りていなかったと反省しております」
「いえ、ですからこれは政略結婚ではありませんよ。王族としての覚悟は関係ありません」
「分かっています。正確には結婚に対する覚悟でしょうか?」
「あなたはまだ若いです。急がなくても良いと僕は思いますよ」
「コウイチ様が姿を消した後、冷静になって考えたんです」
「何をでしょうか?」
「正直、コウイチ様に出会った時、素敵な方だな、何となくですが運命の人だと思ったんです」
「私よりエルフの男性の方が素敵な方がいると思いますよ」
「上手く表現できませんがそういう事ではないんです!」
あまりの語気の強さに僕は驚いた。イライラして意地悪していたかもしれない。反省しよう。
「すみません。イライラして気付かぬ内に意地悪していたかもしれません」
「いえ、お気持ちはよく分かりますので気にしないでください。それでお母様がここまで言うのには何か言えない理由があるんだろうなと思ったんです」
「騙すようなことはしたくないので話しますが僕の中身は32歳のおっさんなんですよ。この世界に来る時に創造神様に20歳まで若返らせてもらいましたが、中身はおっさんです。それから元の世界では32年生きてきて32年間、彼女すらいませんでした」
「そ、そうなんですか?でも姿が変わった訳ではありませんよね?」
「はい。ただ若返らせてもらっただけです」
「それなら良いじゃないですか。精神年齢が2倍近くても関係ありません!元の世界で彼女がいなかったのも関係ありません!それはこの世界に来るための運命だったのかもしれません!あなたが素敵な事には変わりありません!だからあなたには3人も結婚する人がいるのではないでしょうか?」
「コウイチ、それはそうよ。あなたの精神年齢なんて関係ないわ。私があなたをどれだけ愛しているか分かっているでしょ?」
「一度、聞いてみたかったんだけど他の女性と結婚する事に対する嫉妬や独占欲はないの?」
「ないとまではいえないけれど、この世界ではそれが普通だからあまり感じないわね。私が王族だからなのかもしれないけれど」
「そうなんだ」
「私もブリタニアさんと同じ意見です」
「なるほど」
「お母様とお姉様と離れるのは寂しいです。ですがいずれ遅かれ早かれその時が来ます。私はあなたの事が好きです。お母様が今でないと駄目だと言うのなら何か理由があるのでしょう。20歳になってからあなたと結婚するのでは駄目な何か理由が」
「駄目ではないと思いますよ。ただあなたのお母様が言う後悔することになるかもしれないと言うのは分かります」
「理由はまだ言えないんですよね?」
「私としては言っても良いんですが、お母様のお気持ちは分かります。言い方が悪いですがお母様はあなたを試しているんです。この情報無しにどう判断するかを」
「先程も申しましたが私はあなたと出会った時に一目惚れしました。あなたの事が好きです!結婚してください!お願いします」
「はぁ……」
「だ、駄目ですか?」
「いえ、出会った時にあなたはとても美しいと思いましたよ。正直、嬉しいですよ。今のため息はどうしてこうも嫁が増えてしまうのだろうというため息です」
「それはあなたがとても素敵な方だからだと思いますよ」
「創造神様、聞いていますか?先程は怒ってすみませんでした」
「創造神様がこの会話を聞いているんですか?」
「と言うよりも僕のことを気にかけて見てくれているんだと思いますよ」
「あなたは何者なんですか?」
「先日まではただ他の世界から建国を依頼されて来たただの人間ですよ。僕がこの世界に来てから気にかけて見てくれているんですよ。少しペラペラと喋りすぎだと思いますが、いつもお世話になっていますし許しましょう。聞いていると良いけどな。聞いてなかったら今度会った時に謝っておこう」
「先日まではということは今は違うんですね?」
「シルヴィーさん。そろそろ良いのではないですか?」
「そうですね。母親としては今ホッとしていますよ。エリアナこの方はね」
「僕のステータスを見せた方が話が早くないですか?」
「そうですね。お願いします」
「3人に見せますね」
「し、称号に新神とあります。どういう意味でしょうか」
「そのままの意味ですよ。新しい神です。今日、僕は神になったんですよ」
「妹は神様と結婚するんですか。エリアナ凄いじゃない!」
「お、お姉様。私どうなるんでしょうか?」
「これは隠す必要がないと創造神様に確認していますのでお話しますね。……というか創造神様がお母様に喋った内容ですね」
「お母様どういうことですか?」
「コウイチさんの言う通りよ。どうなるかを創造神様から聞いていたから私はあなたのために急いだの」
「まず僕は寿命が無くなったのと神以外の攻撃が通用しなくなっただけで他は基本的に変わらないよ。研修期間として短くて500年。長くて1万年くらいは地上にいても良いみたいだし、僕と結婚してくれたらエリアナは僕の眷属になって寿命も無くなるよ」
「そういう事よ。皆が17歳で結婚して成長が止まるのにあなただけ20歳だと後悔するかもと思ったのよ」
「お母様、そういう事だったんですね。確かに後悔するかもしれません」
「それから子どももちゃんと産まれるよ。子どもは神の子になるから寿命は種族の寿命プラス500年になるらしい。後ステータスもそれなりに高いとか。孫あたりまで血が薄まると寿命やステータスの増加の影響も薄まるらしいけどね」
「私、神の子を授かるんですか?嬉しいです」
「先にこの情報を喋ってしまうと僕の事が好きで無くても結婚すると言うとお母様は思ったんだと思うよ」
「大体は合っているわ。逆に娘がいくら好きだと言ってもコウイチさんが本当に自分の事が好きなのか疑うと思ったのもあるわ」
「そういう事ですか。納得しました。私、心から幸せです」
「女の子が幸せそうな顔をしているのをみると僕も嬉しく思うよ。ブリタニアどう思う?」
「途中あなたが意地悪している時に注意しようかと思ったけど丸く収まって良かったわ。エリアナさんこれから宜しくね?」
「はい。こちらこそよろしくお願い致します。それとお2人とも婚約したのでさん付けしなくて良いですよ」
一時はどうなるかと思ったけど丸く収まって良かった。
まぁ僕のせいで揉めたのもあるから反省しているけど。





