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【アニメ化決定】貴族転生~恵まれた生まれから最強の力を得る  作者: 三木なずな


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142/234

142.ベヒーモス

 黄金の牛、ベヘモト。

 雷親王インドラとはじめて会ったときに、気に入られて「譲渡」してくれたものだ。


 その「譲渡」してくれたときとまったく同じ光景になった。


 天も地もなく、あふれる光だけがある空間。


 その空間のなかで、俺は黄金の牛ベヘモトと相対していた。


「こうした形で会うのは久しいな。なにがあった」

「貴殿、力を欲すか」

「……なんのことだ?」

「力を欲すか」


 ベヘモトは同じ言葉を繰り返した。

 俺はためらった。


 一体どういう意味なんだろうか。

 何をさしてのことだろうか。


「我を呼んだのであろう?」

「呼んだ?」


 ますますなんの事か? と不思議になった俺。


「我はかつて『完璧なる獣』とされ、全ての獣から慕われた」

「――ッ!!」


 戸惑いが一気にすべて驚きにかわった。

 歴史書に一文だけ記されていた、「全ての獣に慕われるもの」。

 それがまさかこんなに身近にいたとは。


「問おう、我の力を欲すか」

「……ああ、ほしい」

「ならば我の名を呼べ。真なる名を」

「……力を貸せ。ベヒーモス!」


 ためらいは一瞬だけだった。

 全ての獣に慕われるもの――ベヒーモスの名を口にする。

 瞬間、ベヘモト――ベヒーモスの体が光と化し、あふれ、俺の体を包み込んだ。


 まぶしさに一瞬目を閉じたが、光はすぐに収まった。

 目を開けると、目の前にジェリーの姿があって、元の場所に戻っていた。


 俺はまわりを見回した。

 さき程とまったく変わらない、もとの荒れ果てた裏庭。


「どうしたんで?」

「……いや、なんでもない」


 ジェリーは俺の行動にのみ不思議がっていた。

 ベヘモトとのやり取りは一分以上かかっているはずだ。

 普通ならジェリーは立ち止まったままとか、ぼうっとしてとか、どこにいってたのとか、そういう質問をしてくるはずだ。


 なのにしてこないということは、ベヘモトとのやり取りはインドラの時と同じように、精神世界での一瞬の出来事だったという事だ。


 それはともすれば夢、白昼夢になりそうな内容だったが――それはなかった。

 ちらっと視界の隅に見えているステータスに大きな変化があった。


――――――――――――

名前:ノア・アララート

帝国皇帝

性別:男

レベル:17+1/∞


HP C+A 火 E+S+S

MP D+B 水 C+SSS

力  C+SS 風 E+C

体力 D+B 地 E+C

知性 D+S 光 E+S

精神 E+A 闇 E+B

速さ E+A

器用 E+A

運  D+B

―――――――――――


 リヴァイアサン、バハムートの時と同じように。

 ベヘモト改めベヒーモスを迎え入れたおかげで、光の+がSに上昇していた。


「……ジェリー、ステータス魔法を使えるものはいるか?」

「へ? はあ、少しお待ちを」


 キツネにつままれた様な顔をするジェリーだったが、それ以上の事は聞かずに魔法使いを呼びに行った。

 しばらくして、若い魔法使いをつれて戻ってきた。

 耳元で念押しするようにいうと、若い魔法使いの男は緊張した顔で俺に魔法をかけた。


 ステータスオープンの魔法だ。

 それをかけると、俺だけに見えるステータスじゃなくて、他人にも見えるステータスが表示された。


 そのステータスは「+」という文字はない。

 ただし、俺が見えている「+」ありの合算になっている。


「――っ!」


 魔法使いは息を飲んだ。

 どうしたのかと思っていたら、彼の視線がステータスの「帝国皇帝」に釘つけになっているのがわかった。


「さっきも言ったが他言無用だ。いったら皮を剥いでたたきにするからな」

「は、はい!」

「よし、いけ」

「はい!」


 許しを得たかのように、魔法使いは逃げるように去っていった。

 そしてジェリーは改めて、俺のステータスを見る。


「初めて主君のステータスを見せてもらったけど、すげえなこれ」

「そういえばお前は初めてか」

「へい」

「うむ」


 頷く俺。


 皇帝になってからは、あまり他人にステータスを見せることはなくなった。

 自分ではいつも見えている。


 ノアに転生した赤ん坊の時から今日に至るまで視界の隅にありつづけてきた。


 もはやある事に何の違和感もない、むしろなくなったらそれこそ違和感を覚えるほどのものだ。


 それはそうとして――光のステータスはベヒーモスの上昇分の3ランク上がっていた。

 もちろん、初めて見るジェリーはその事を知らないから言及はなかった。


『この力、使いこなしてみて』

「……そうか」


 ステータスを確認し終えた途端にベヒーモスが急かしてきた。

 口調や声はベヘモトの時とさほど変わらない。

 中年の渋い声が、同じ人物の少年――紅顔の少年のものにかわった、そんな感じの声だ。


 ベヒーモスの力、それはリヴァイアサン――いや、レヴィアタンらを初めて手にしたときと同じように、力の詳細と使い方が頭に流れ込んできた。


「すこし骨が折れるな……まあいいだろう」

「へ? なにがです?」

「その檻を開けてくれ」

「へ?」


 驚くジェリー。

 その直後にあわあわとしだした。


「いやいやいや、主君よ、こいつは危険ですわ。捕まえるまで何人も――」

「構わん、やれ」

「――……わかりやした」


 言葉を途中で遮られたジェリー、しばらく俺を見つめてから、小さく頷いた。


 そして檻に近づき、懐から鍵を取り出して、仰々しくて大きな錠前にそれを差し込んだ。


 用意がいいな、とは思ったが言わなかった。

 ステータスの魔法とは違って、ここに俺を連れてくると言うことはもしかして檻をあける事もあると想定にあったんだろうな。


 直前の反応も含めて、ジェリーはやはり相当の演技派だとおもった。


「……いきます」

「うむ」


 頷いてやると、ジェリーは鍵をあけて、即座に飛びのいた。


 錠前がはずれた。

 人間とは違って、檻の構造が分からずにすぐにあけられなかったが、それでも錠前がなくなったことでウサギは暴れているうちに、自然に檻の出入り口をこじあけた。


 開いた出入り口から、ウサギは微かに身を屈めてでてきた。

 そして、威嚇してくる。

 鋭くて鈍色の体毛を更に逆立たせて、するどい牙を更に剥き出しにして、威嚇してきた。


「主君」

「見ていろ」


 俺はまずリヴァイアサンを抜き放った。

 水の魔剣リヴァイアサン。


 構えると同時にウサギが飛びつき、噛みついてきた。


 それを魔剣の刀身で受け止める。

 ウサギのするどい牙に噛まれた形になったが、逆に噛んだウサギの牙が折れた音がきこえた。


 ウサギは驚いて飛びのく。


「おそい」


 俺は追いかけるように一歩踏み込んで、横薙ぎの斬撃を放つ。


 水色の残光を曳きながら横一文字の斬撃はウサギの胸元を切り裂いた。

 大量の血が噴き出される。


「すげえ!」


 ジェリーの歓声を背に、俺は更に踏み込んだ。


 リヴァイアサンでの連撃を繰り出す。

 斬撃が全てヒットし、ウサギの体を切り裂いた。

 その都度血しぶきが舞い、ウサギは咆哮をあげ、手負いの獣になっていく。


 やがてダメージが蓄積されすぎて、ウサギは息も絶え絶えと云った様子で、体を小さくするように伏せていた。


 俺は近づいていくと――


「あぶねえ!」


 ジェリーがたまらず叫んだ。

 すると、ウサギが最後の反撃、とばかりに目をカッと見開いて、猛烈な勢いで飛びかかってきた。


 これが数分前だったら避けていたのだが、今はその必要はなかった。


 俺はそのまま迎撃した。

 ただし右手にあるリヴァイアサンではなく、軽く握った左拳を振りかぶった。

 握った拳は黄金色を放ちながら、ウサギの体に斜め下から突き刺さるボディブローになった。


 極端な「く」の字に折れ曲がったウサギの体、直後力を失って、どさっと地面に倒れこむ。


 戦闘終了――そう見極めたジェリーはさっきまでの短い歓声だけじゃなくて、ちゃんとして言葉を紡ぎ出した。


「すげえ、すげえよ主君。一人で倒しちまいやがった。こいつに何人も食われたってのに」

「確かに強かった。野生だからだろうな、帝国が管理している大半のモンスターよりもつよかった」

「いやぁさすがですわ」


 感動する様子のジェリー。

 その感動が、やっぱり少し演技が入っているってわかったのは、次の瞬間だった。


 ウサギがむくりと起き上がった。

 ジェリーは一瞬ビクッと身構えたが、俺はリヴァイアサンを収めて、そのまま立ちつくした。


 そして、ウサギはさっきまでの血走った瞳ではなく、澄み切ったガラス玉のような目をしながら、身をかがめて俺に頬ずりをしてきた。


「こ、これは……」

「これからは余に従うそうだ」

「!! そんな……個人でモンスターを服従……? すげえ……」


 本気で絶句し、感動するジェリー。

 俺はベヒーモスの新しい力に満足していた。


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●感謝御礼

「GA FES 2025」にて本作『貴族転生、恵まれた生まれから最強の力を得る』のアニメ化が発表されました。

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なろう時代から強く応援してくださった皆様のおかげです。
本当にありがとうございます!
― 新着の感想 ―
[一言] 某RPGで倒したモンスターが起き上がって、 『仲間になりたそうに(略)』 みたいだな。
感想一覧
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