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目指せ樹高634m! 〜杉に転生した俺は歴史を眺めて育つ〜  作者: 石化
第三章 近世

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第46話 江戸城開城

 

 井伊直弼が言論弾圧している。

 生易しいものではない。

 多くの国を憂いた人物が投獄されていく。

 安政の大獄だ。


 吉田松陰っぽい人が自分から老中暗殺計画を暴露していたけど、何がしたかったんだろうか。

 おかげで斬首されることになったみたいだし。バカなんじゃないだろうか。



 立派なのは辞世の句だけだった。


 身はたとひ 武蔵の野辺に 朽ちぬとも 留め置かまし 大和魂



 いい句だ。俺の名前が入っているのもポイントだ。


 まあ、彼の功績は、弟子たちを育てたことにあるんだろう。

 バカっぽいのは気のせいということにしておこう。



 流石にやりすぎたようで、南の方の門で井伊直弼が暗殺されていた。

 桜田門外の変らしい。


 まあ、あんなに粛清してたらそんなことにもなるよ。自業自得だ。


 ここから、政局の中心は京都に移ることになる。

 誰かを派遣してもいいのだが、流石に遠い。不安だ。

 せめて関東にいて欲しい。


 というわけで、俺たちは動かなかった。

 みんなは戦闘訓練のようなものをして時を過ごしていた。

 江戸太平の200年でなまった体を目覚めさせるように。


 静かに戦う。

 あまり激しいものは禁止した。

 下からバレるかもしれないし、俺にも振動がくるからな。


 長州征伐とか言って将軍が江戸を離れていった。


 うん。そろそろ危ないな。


 歴史通りに江戸城が無血開城されることを目指して動いてみるか。


 流石に、薩長軍が江戸を攻め始めたら俺もやばい。


 移動式大砲とか装備してるはずだ。誤射されたら目も当てられない。



 確か、勝海舟がキーパーソンだった気がする。


 下でええじゃないかええじゃないかうるさかったが、今のうちに指示を出しておいた。


 江戸城に愛を潜入させ、無血開城に反対する幕臣を脅して黙らせた。

 御庭番衆とかいうのがいたらしいけど、愛の敵じゃない。簡単にミッションクリアだ。


 勝海舟たち、恭順派が実権を握った。よし。狙い通りだ。


 新政府軍はなんでも三軍に分かれて進軍しているらしい。


 西郷隆盛の率いる東海道軍は心配いらないのだろうが、他の軍が心配だ。暴発してかかってきたらまずい。


 小太郎と将門を派遣しよう。


 ⋯⋯しかし、新政府軍は銃剣で武装してるんだよな。どう考えても危ない。


 命を最優先にすること。俺は固く言い含めた。軍勢召喚で生み出した子達を肉壁として使って欲しい。


 なに? 将門の軍勢は不死だから胸に弾を受けても死なない?


 体が残ってれば戦える?


 それ大砲で体全体が吹っ飛ばされるフラグだから。


 銀孤、将門が調子に乗らないように見張っててくれ。


 小太郎は心配いらないだろうが、愛をつけよう。情報は最大の防御だからな。


 明と白は上空から遊撃してくれ。


 蓬莱の玉の枝渡すから。

 貫通弾100発とかオーバーキルだと思うけど、技能「射手」を持つ白なら大丈夫だろう。

 大砲とかを優先して潰してくれ。


 輝夜は俺の守りだ。大砲の流れ弾とかがきたら任せるぞ。


 技能「黄金生成」と技能「呪術上級」で相殺できるだろう。


 最後に一つ。相手が仕掛けるまではこちらも仕掛けるなよ。


 俺たちが戦端を開いたせいで歴史が変わって江戸が焦土になったら目も当てられない。


 できるだけ防御に徹して勝海舟と西郷隆盛の交渉が終わるまでの時間を稼ぐぞ。


 歴史通りに行けば無血開城されるはずだから、保険としての意味が強いけど。


 ●


「西郷は何を考えちょるんじゃ!」


 八王子より進軍しようとしていた板垣退助は西郷隆盛から届いた書簡を見て、怒りをあらわにした。隠していた土佐弁が思わず出ている。


 土佐藩を中心に編成した東山道を進行してきた彼らは、甲州(山梨)で新撰組を打ち破っており、意気軒昂だった。


 江戸を火の海にする気満々だったのだ。


 ところが、西郷からの手紙には、3月15日まで攻撃を待つように書かれていた。


「江戸城開城の交渉をするだと。ほだされたかあのお人好しめ。」


「どうします⋯⋯?」


 部下が恐る恐る問いかけた。


「無視したいところだが、やつは大総督府下参謀。握っている権力が違う。」


「では、攻撃は見合わせますか。」


「仕方なかろう。」



「はっ。」


 部下は天幕から出ていった。


「確かに無血開城できれば、それが理想か。」


 一人残された板垣退助は思考の海に沈むのだった。



 部下は部隊各所に攻撃中止の連絡をした。


 自分の泊まっている場所に入る。


 そこにはスヤスヤとした寝顔を見せる部下がいた。


 同じ人物が二人である。見る人がいれば目をこすっただろう。


「うまくいったわあ。」


 起きている方の部下の姿が歪む。


 銀の髪が月明かりに揺らめいて美しい。銀孤だ。

 呪術「変化」で姿を変えて潜入していたのだろう。


「ああ。間違えてしもうたなあ。」


 首をフリフリ、再び呪術「変化」を使用した。

 目立たない黒髪になる。

 銀孤の体毛は銀色なので、気をぬくと銀髪になってしまうのだ。

 いちいちめんどくさいが、仕方ない。


「この軍は動かないと見てええやろ。あともう一つは愛が見てるやろうし。その結果待ちやなあ。」

 そう、呟いた。


 まだ敵地である。女一人では見つかるとまずい。


 部屋の前の足音をやり過ごして、銀孤はこっそりと将門の元まで帰っていくのであった。


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