オカ研の新年会。その九。
おばあさんの昔話を聞かされた私。
その衝撃の話に私に戦慄が走る。
『旦那さんが何者かに食べられてしまっていたという事ですか?』
『ああ……そうじゃ……わしの旦那もな……そりゃあいい男じゃった……隣の村に住んでおったわしはこの村の旦那の元に嫁いできたのじゃ……若い頃のわしも噂通りのええ男の旦那はわしの事もとても愛してくれた……でもええ男の旦那はその性格も優しすぎてな……いつもおなごの影があったようじゃ……その中で結婚と至ったわしはそれはこの村に嫁いできてからも村のおなご達から羨望の眼差しを浴びていたのじゃ。』
そう告げたおばあさんはお茶を一口啜る。
そしてまた昔を懐かしみながら言葉を語りはじめる。
『そうしてワシらの夫婦の生活は始まったのじゃ……じゃが何故かわしらには子が全く授からなくてな……数年その生活は続いた……猟師の旦那は家も開けることが多くその事もあったのか尚更わしらには全く子供が出来んかったのじゃ…ある時……旦那はわしに言ってくれた。』
◇
◇
◇
『なあ…おゆき……わしらに子が全く授からぬが気に病む事はない……わしはおゆきという嫁をもてた事で十分幸せなんじゃ。』
そう言ってくれた旦那。
わしはその言葉に感謝し旦那を心から愛そうと思ったのじゃ……じゃが……時というものは人の心も変えてしまうのだろうか…旦那は山に猟に出てもわしの元へと週に一度は帰ってきていたのじゃがその頃から月に一度ほどしか帰ってこなくなったのじゃ。
この頃になるとわしも子供の事など考えなくなっていたのじゃ………旦那と二人でこの人生を共に送る事ができればそれが幸せなのだろうとわしは思っていたのじゃ。
そう思った時。
なんとわしにも、いつしか子供が授かっていたのじゃ。
これはわしも喜んで……旦那の帰りをずっと待っていたのじゃ。
そして旦那は帰ってきてくれたのじゃ。
わしは喜びその報告をしたんじゃ。
『あなた……ついに……ついにわしらにも子が授かりました!!』
わしの報告に驚きの表情を浮かべた旦那。
じゃがこの時……旦那の表情に違和感を感じていたわし。
すると旦那は口を開く。
『そうじゃ……お前の身重の身体の事を考えると村に一度帰り向こうで産んでから帰ってきたらどうだ?』
『あなた……よろしいのですか?』
『ああ……もちろんじゃ…わしの子をよろしく頼む。』
そう……この会話がわしらがした最後の会話となったんじゃ。
そしてわしが子を産み戻ると……旦那はここで何者かによって食い殺されておったんじゃ。
◇
◇
◇
お読みくださりありがとうございました。




