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黒の怪奇譚  作者: 黒羽冥


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オカ研夏合宿その十一。

俺達の耳に聞こえた部長の叫び声。

叫び声の元へと走る俺達。

暗い道を進み走っていく。

俺達は暗い道をいくと深い森の中へと入っていたんだ。

木々が俺達の足を絡め取り時折転倒しそうになるが今はそれどころではなかった。

俺も足の痛みを堪え走る。

すると俺の目の前を走っている仁が声を上げる。


「輝也!?あれ!!先に何か見えてきた!!」

「お、おう!!??」


俺達がそちらへ走るとそこは広い広場の様な場所へと辿りつく。

そしてそこには数名の人間が怪しげなマスクをつけ立っていたんだ。

その中心には……一つの柱が建てられている。

俺達がそちらを目指していくと声が聞こえる。


『さあ……にえは捧げられる……これで海とこの村が救われる……『海神うみがみ』様はこの贄により再び穏やかに我々に安定をもたらしてくれる事であろう。』


あいつは何を言ってるんだ。

俺はそう思いながら部長の元へ走る。

すると仁が声を上げる。


「そんな事はさせない!!輝也!?アイツらをなんとかしないと。」

「ああ……」


男達は十名程。

俺達が走り近づくのに気づいた一人の男が声を上げる。


「なんだアイツら!?こっちに近づいてくるぞ!?」

「「おおおおおーーーーーーーーーっ!?」」


その声に反応した数名の男達は俺達に気づき身構える。

すると俺達に気がつく部長。


「仁ーーーーーーーーーーっ!?」

「輝也ーーーーーーーーーっ!?」

「部長!?」

「涼子さんっ!?」


男達は俺達の目の前に立ち塞がる。


「そうはさせるか!?」


するとその中の長の様な男が声を上げる。


「この女は『にえ』だ……ここは通さない…これまで『海神』様の為の『贄』をあの崖から捧げ続けてきたのだ…これからもわしらのこの『海鳴き村』の繁栄の為にずっと『贄』を捧げ続けていくのだ。」


そう言い放った長。

長は片腕を上げていく。


「さあ!!『海神』様の為にこの贄を捧げるのだ……その邪魔をする奴らをまずはとらえ、贄の足しにでもする事にしようぞ。」

「「おおおおおおーーーーーーーーーっ!」」


俺達の前に立ち塞がる奴ら。


「くそっ!?数が多い!?」

「仁!?まずは部長だけをなんとか救けようぜ!?」

「ああ……じゃあ僕は涼子さんを助けに!!!」

「おう!!」


俺達はもみくちゃにされながらも部長を助けようと動き出す。


「うわっ!?くそっ!?」

「いてっ!?やめろ!?」


俺達は。

数名の男達にはやはりかなわなかった。

俺が気がつくと強い風を肌に感じる。

ここはあの先程の崖の上。


「おらっ!?お前たちもこい!?」


一人の男の声。

目を開けるとそこには俺達を落とそうと崖の 上に立たされている。


(このままでは……)


「や……めて。」


そう力無く声を上げる部長。

今までさぞ怖かっただろう……絶望の表情に変わっていたんだ。

すると隣に立たされていた仁が口を開く。


「涼子……さん………ぐっ……彼女は助けてくれ……贄になら僕がなるから。」

「仁!?何言ってるの!?ダメ!!彼らは助けてください!!贄になら私がなるから!!」


部長は俺達を庇う。

すると一人の男が声を上げる。


「さあ…お前ら全員がこの海鳴き村の贄になるがいい……さあ。」


そして俺も動けず覚悟を決めたその時。

ヒュウーーーーーーーーーーーーーーーッと吹いてくるこの崖の上。

眼前の真下には海に打ちつけられる激しい波が見える。

ザバーーーンザバーーーンっと打ちつけられる波に思わず落ちた時の想像を誘われる。


「さあ…!!落とせ。」


長の声が聞こえる。

すると。

強風が俺達を包み込む。

思わず目を瞑る俺達。

そして。


「うわああああーーーーーーーーーっ!?」


一人の男の声。


「えっ!?」


俺が目を開けていくと。

次の瞬間…足をフラフラとさせ一人の村人が崖を目指す。

すると。


「うわーーーーーーーーーーーーーーっ!?」


また一人崖から落ちていく。

そして気がつくとそこにいた数名の男達全てが。

贄になった瞬間だった。

「ふぅ……今年の夏合宿は大変だったなあ。」


そう言ったのは部長だった。


「そうですね……でも皆無事でなによりだよな輝也!?」


俺にそう声をかけてくれたのは部長の隣で幸せそうな顔で話した仁だった。


「ああ……。」


俺はそう応える。

あの村のその後。

皆から人影も消えてしまっていた。

俺達が宿に戻るとあの宿にいたおばあさんは気が狂い警察官に保護されていたんだ。

俺達は迎えを呼び帰ってきたということだ。

あのおばあさんはどうなったのか分からない。

でもあの崖で不思議な声を俺は聞いたんだ。


『負の連鎖を断ち切る機会を……ありがとう。』


そう聞こえたんだ。

部長と仁に聞こえたのかは分からない。

でもきっとあの声は崖の上で聞いた主の声だったのかも知れない。

こうして夏合宿は終了しました。


海鳴き村の怪。~完~



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― 新着の感想 ―
やっと会えたのは良かったですけれど、部長が憔悴しきっていて辛い……泣 それにしても贄って何なんだもう!庇い合う部長たちに比べて、ほんと身勝手です! ですが男たちは贄になってしまったのですね……でも負の…
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