オカ研夏合宿その二。
俺達は老婆の後を追っていく。
ここは海鳴き村の…海の近くにある民宿だ。
「ぶ……部長?ここ大丈夫ですか?」
俺はそう問うてみる。
「しっ……いくぞ。」
「輝也……ここは着いていくしかないぞ?」
「お……おう。」
俺はまさか仁の口からこんなセリフを聞くとは思えなかったんだ。
そして俺達は老婆の後を追っていく。
この老婆の名前は天城うみ。
長年この村の民宿を営んできたらしい。
俺達が着いていくとそこには年季を感じさせる建物が立っていたんだ。
すると老婆はこちらを振り返る。
ニヤリと微笑んだ彼女。
だがそれは怪しげな笑みに見えたんだ。
「さあ…中へどうぞ。」
そう言いながら「海鳴き荘」と書かれた玄関のドアを開けていく老婆。
そして中へと俺達を招く。
俺達は玄関を入っていく。
暖簾をくぐった先にはちょっとしたカウンターがありそこできっと受付けの手続きをするのだろう。
すると老婆が口を開く。
「さあ……ではその帳簿に名前と住所を一人一人書いてください……ねえ。」
老婆は違和感のある言葉を告げていた。
俺は問う。
「あの……これって代表者の名前だけではダメなんですか?」
すると老婆は口を開く。
「んん?この民宿はここの村『海鳴き村』に滞在する事も意味していてな…まあ何事もないとは思うのだが…万が一って事の為に連絡手段の為のもの……そう、親御さんなどにも連絡が取れないとねえ。」
そう怪しく言った老婆。
確かにそう言われたら納得せざるを得ない俺達。
俺達は帳簿に名前住所も書き終える。
すると老婆は口を開く。
「ふぉっほっほ……では…部屋を案内しますねえ。」
そして老婆は俺達を部屋まで案内したのだった。
◇
◇
◇
「ふぅ………」
部屋で思い切りため息をつく仁。
部屋割りは俺達二人。
そして後でくるという岡崎先生と部長の部屋の二部屋を借りたんだ。
「なあ仁……何か感じるか!?」
俺は唐突な話をしてしまう。
驚きの表情をした仁だったが。
「いや……今のところは感じないけど……うーん……部長はどうしてここを合宿先に決めたんだろうな?」
「それな…俺もそれは考えたんだけどな……」
俺も仁にそう考え…続ける。
「この海で何かあるのか?それともこの村の話なのか?って事か。」
「ああ……有り得るな…ちょっと調べてみるか?」
「ああ!僕検索してみるよ。」
そう言って検索しようとスマホを取り出す仁。
だが。
「あれ!?ここ……スマホの電波ないぞ!?」
「ん?」
仁の声に俺もスマホを眺める。
するとやはり電波がなかったんだ。
「仁…俺ちょっとロビーに話しに行ってくるよ」
「ああ……分かった。」
そして俺は一人部屋を出てロビーへと向かう。
ロビーについた俺。
「すみません!」
シーンっと建物内には俺の声だけが鳴り響く。
「あれ?いないのか!?」
俺は厨房かなと気が付き厨房を探していく。
すると老婆は何かを切っていた。
鉄錆のような匂いが鼻に匂ってくる。
「あれは………?」
俺の視線の先に見えたのは……血をダラダラと垂らした料理包丁を持ったままこちらを振り向いた老婆の姿だったんだ。
「えっ!?」
俺はそのまま固まってしまったんだ。
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