雨の季節の。閑話。
俺達の目の前には『鬼』が存在していた。
『ぐるるるる……クンクン……お…おんなああ』
部長を見て涎を垂らす鬼。
その恐ろしい光景に誰もが恐怖するだろう。
すると俺達の前に立ち尽くす寺井御角。
「鬼め…貴様は…霊達を集める事でその力をつけて身体を具現化してこんな蛮行に及んでいたな…その所業はもはや許されるものではない…我が法力を用いて滅してやるから覚悟するがよい。」
『ぐふうううう……そうはいくか…俺様はまだまだ食うんだ。』
「ふん……そうだな……そして今お前はその鬼と魂まで同化させやがったな……紫陽花寺の住職よ…。」
「寺井さん……それって!?」
するとどーーーーーーーんっと急に霊的な力を溢れ出させる鬼。
「うわっ!?」
「きゃっ!?」
「くっ!?あの鬼ってやはりそうだったのか。」
すると口を開く寺井さん。
鬼もそうだが寺井さんの身体にも力を感じる。
そして徐ろに呪符を手にしていた寺井さん。
「説明は後だ……今は奴を。」
『おごごごごーーーーーーーっ!?』
『天地に願いし我が力よ…邪を払う力となりて今…解き放たん……『陰…陽』』
次の瞬間。
瞬時に辺りは深い闇に包まれる。
「なんだ……」
「これは!?」
俺と部長の声に返したのは寺井さんだった。
「陰陽……の力……闇と光は悪しき力を滅していく…さあ…終わりにしよう。」
寺井さんの身体が光り輝く。
そして。
寺井さんから放たれた光りは鬼を包み込んでいく。
ぱーーーーーーーーーっと広がっていく光にやがてその眩しさに目がくらんでいき目も開けていられないほど。
そして。
『お…女を…これからも…ずっと食えると思っていた………のに………ぐあああああああああああーーーーーっ。』
そのセリフが聞こえたかと同時に。
辺りの光りは収まっていき……そして。
奴は消え去っていったんだ。
◇
◇
◇
俺達は今紫陽花寺の前にいた。
「いつの間にか…鬼に取り込まれていたんですね…あの住職。」
「そうだね…でも奴は初めは欲望のままにあの鬼の力を手にしたんだろうね…人間の身体に入り込み続けるのは霊体でも難しいからね…そうこうしているうちに取り込まれたんだろう…でも、鬼と同化しすぎてそのまま僕の能力で召されていったから良かったよ…まあでも…鬼を完全に支配できずにでもいたからね…もっと時が経ってたらやばかったね。」
「そうでしたか。」
部長は寺井さんの言葉にそう返した。
あの件で被害者達の亡骸の発見した俺達が警察に報告しようかという所で悩んだが…遺族の事もあるだろう…世の中では未解決事件の被害者達という事で世の中にはそう広まったのだ。
これには賛否両論あるだろうがせめて亡くなった方々への供養という観点からではこれがいいと思ったんだ。
そして俺達が手を合わせていると。
「あ!皆さん今回は本当にありがとうございました!」
「ああ!元気になられてよかったです。」
すると隣にいたのは襲われかけた彼女の友人。
彼女もまた無事だったんだ。
「あれからこのお寺では以前にも増して紫陽花が綺麗な花が咲いているんですよ!まるで憑き物が取れたかのように。」
「へえ……そうなんだ……どれどれ」
半分冗談かなとも思いながら俺も見てみると。
「おお……本当だ。」
「確かにこれは綺麗だな。」
「うんうん……でも部長もお綺麗ですよ?」
突然の仁の言葉。
俺達はつい固まってしまっていた。
すると。
「確かに!!!!!」
そう言い放ったのは部長に助けを求めてきた女子だった。
そして部長の手を握る女生徒。
「もお!!藤野様!!私も藤野様のファンになっちゃいました!」
頬を赤らめそう言い出す女生徒。
「さあ!!男達はほおっておいて私達とカフェにでも行きましょう!?」
「ああっ!待ってよお」
「ムキーーーーッ!女子になんて負けるか!!」
変な対抗意識を持った仁。
この事件を乗り越えたオカ研は。
益々部長のファンが増えたのだった。
「まあ…なんとか楽しくなりそうだ。」
◇
◇
◇
雨の季節の。~完~




