冬の章ーその肆ー
『私は娘を案じておりました……』
そう語った松岡さん………その表情は娘に申し訳ないという感情をうけた。
『ですがあの地域で生きて行くという事は巫女をどうしても継がせなければならないとの事…………娘は元々大人しい子で……私の家に尋ねてくる方達の話を私が断り続けている事にいつしか気がついたようで……そんな私に言ってくれたのです……。』
『お母さん………私の為に我慢なんかしないで……と………もちろん私は不可思議な話もしました……でも娘の雪は『私はきっと大丈夫だからと…………』』
松岡さんの目は眠ったままの娘………雪さんに向けられていた。
『娘さんは…………あやめさんとは面識が?』
『はい…………雪が生まれてから夫のいない私を影で支えてくれたのもあやめでした……何気のない時に私達の家に訪れてくれるあやめは私を支えるように雪ともまるで姉妹…………母娘のように接していてくれて……雪もそんなあやめにはもしかしたら私以上に母親かのように接してくれていたのかもしれませんね。』
『ほお……………ではやはりそんなあやめさんの突然の死は雪さんにとっても苦しいものだったのでしょうね。』
『ええ………本当にそうだと私も思っております………そんな雪だからこそ………あやめの死を自分が今度は代わりを努めなければと余計に感じたのかもしれません。』
『なるほど……………。』
俺は松岡さんにそう言葉を返す…………すると彼女は強く……………言葉を続ける。
『私がお話をと伺ったのは…………今回の件………そしてあやめの死……………何かがどこかで繋がっている気がしてならないのです……………。』
俺は彼女の言葉に考えを巡らせる………。
そして。
『分かりました………………普段私はこのように依頼……調査などを受ける仕事などはしないのですが……この件……地域に根ざした『風習』を探る良い機会かもしれません……それで娘さんを目覚めさせる事ができる訳ではありませんので………その点はご了承ください。』
頷く松岡さん。
『ええ………………私は可能性として………この事件に関わるかもしれない……この不可思議な事件の
真相が知りたいのです……それがもしかしたら……娘を目覚めさせるなにかに。』
松岡さんは泣き崩れる。
『縋りたい…………だけなんです…………………。』
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