冬の章ーその壱ー
白い雪に覆われたこの街。
その一角に小さくも古き建物があった。
そんな建物内に入っていく一人の女性。
中には応接用のテーブルとソファーが並べられ奥には書庫だろうか………部屋のほぼをしめる本棚…そして本棚は、ほぼ埋まっているようだ。
女性がテーブルまで辿り着くと奥から一人の男性がやってくる。
『ああ…………すみません………もう少し片付けておけば良かったですね。』
『いえいえこちらこそ……急に尋ねてきてすみません。』
そんな会話をする二人。
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俺はこの店の主でミステリーの話を最も愛するこの古い書店を経営する男黒乃……。
この俺に話を聞いて欲しいと連絡をくれて……ここに来ていただいたのだが。
『どうぞ………まずはソファーにおかけください。』
『ありがとうございます…………。』
俺はお茶を入れ差し出すと女性はいただきますと一口飲み………息を整えたような表情を浮かべる。
『ふぅ………ありがとうございます。』
『いえいえ………気持ちが落ち着きましたらお話ください。』
この女性は見たところ三十代くらいだろうか………婚約指輪をはめ、そして少々落ち着いているところから俺はそう感じたのだった。
すると女性はゆっくり語り始めたのだった。
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私の家はこの街の一つ隣の港町なのです………そしてその港町には昔からとある神社がございました……そこは…………荒れる海を鎮める為に建てられた祠なのです………そして祠は街の人々の手によりずっと大切にされてきたのですがここ数年前から祠を浄める為に行っていた者に何らかの異変が起こるようになってしまいました。
初めは偶然だろうとされてきたその話でしたが……。
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女性はそこまで言うとその表情を曇らせる………まるで自分に何か起こったかのように。
すると女性は続けたのだった。
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実は私の十五になる娘が今年のその神社の巫女として選ばれたのですが………。
神事のために選ばれた娘はその準備へと神社へと時折通う事になりました。
それは昔の私がそうだったように、娘は私の巫女をした時の写真が気に入ったようで自分もやりたいと願いその事を決めたのですが。
その娘の様子が途中から少しずつ変化していったのです。
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『それは一体どのような?』
『夜中に突然起きだし……まるで夢遊病のように外を徘徊したり……時にはまるで人格が変わったかのように暴力的になったり……初めは年齢によるものかと思って大人しく見守っていたのですが………先日………遂に…………病院から電話が入り私が向かった病院で。』
女性の表情は蒼白となり。
『娘は今意識を失ったまま………眠ったままになってしまったです。』
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お読みいただきありがとうございました。




