秋の章ーその拾ー
外に響き渡る副部長の叫び声。
俺達はどうする事も出来ずにただこの小屋の 中で恐怖に震える事しかできずにいたんだ。
恐る恐る窓から覗き見る。
すると熊はなんと動かなくなった副部長を咥えていたのだった。
『どうしよう……………………』
声を震わせそう呟く玲子さん。
この最悪な状況に俺達はどうにもならなかった。
そのまま熊は副部長を咥えたまま………茂みへと姿を消していったのだ。
そうして俺達は恐怖に震えたまま……時間は過ぎ去っていく。
絶望の表情で『どうしよう………どうしよう』と言葉を繰り返している玲子さん。
そして部屋の中では料理をしに行った俺の彼女である凛ちゃんの声が聞こえる。
『ご飯できたよ~~~』
そう言った凛の声。
小屋の中にはカレーの美味そうな匂いが漂っていた。
まずは俺達がこの状況をなんとかする為に考え行動するしかない。
『玲子さん………凛ちゃんが夕食作ってくれましたよ!まずは食べて考えましょう!』
すると膝を抱え塞ぎ込む玲子さんは呟く。
『いらない………………………食べたくない。』
『ふぅ……………玲子さん……………気持ちは分かりますけど今は残ってる俺達にかかってるんですよ?無事に皆でここから逃げ出す為にまずは体力つけておかないと。』
『いらないの』
『そんな子供みたいな』
俺は頭を撫でて言い聞かせる。
『玲子さん!後ででいいからちゃんと食べてくださいね。』
『うん。』
すると準備してテーブルにカレーを並べる凛ちゃん。
『さあ……とりあえず食べちゃおうよ。』
『ああ……ありがとう凛ちゃん。』
俺達は食事をとる。
小屋の中にいい香りが漂う。
すると。
ドンっと小屋を揺らすなにかの音が聞こえる。
ビクッと身体が反応してしまう。
そしてガリガリと小屋の壁を引っ掻くような音が。
『ひいっ!!???』
玲子さんは驚きの声を上げる。
『しっ!!もしかして匂いに誘われて来たのか!?』
俺はそういうと窓へと向かっていく。
そろりそろりと近づくいていく俺。
そしてゆっくりと外へと視線を移していく。
すると巨大な黒い影がモソモソと動いていた。
やはりあの熊だったのだ。
ドン!!!ドン!!!っと激しく小屋の壁に体当たりしたり爪で引っ掻いたりとくまの行動は派手になっていく。
震える二人。
俺は入ってこないことを必死に祈る。
ドンドンっと小屋に体当たりを繰り返す巨大な熊。
そして。
バキイーーーーーーーーーーーーーッ!!!
激しい音が小屋内に響き渡ったのだった。
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