幕間 ナタリーの初でーとは異種族とだったのです
ナタリーが好きな人は読んでね。
※改稿中です、台詞が異なりますがご容赦を。
続き、中々投稿できませんが……待ってくれてる人、ありがとう。
ガォとガゥにいったんお別れを告げて、ナタリー達は地球に戻ったです。
ミカを追いかけてタクムの部屋に来たはいいですが……タクムの匂いという匂いが、部屋中からっ!!
視界がゆらゆらと揺れているような感覚がするのですよ……。
タクムはどうやら、ナタリー達とは違う部屋で寝るつもりみたいです。
……向こうでは一緒なのに、今更じゃないですかね?
ぽふりと、ベットに腰掛ければ、そこからもタクムの匂いがして――嫌でも、明日のことが浮かんできてしまう。
はぁ、明日は、デートですか。
でーと、デート、でぇぇとぉお!!!!????
……ああ、どうすればいいのですか!?
でーとなんて、でーとなんてナタリーはしたことないのですっ……!!
着ていく服は!?
お化粧とかした方がいいですかね!?
香水とか付けるべき!?
タクムは、どう思ってるのでしょうか? プレゼント、買ってくれるって言ってましたけど。
ナタリーなんかが、でーとの相手でいいのでしょうか。
「うにゅぅ……!!」
ナタリーが頭をぐるぐるさせて悩んでいると、ひょこりと視界に赤い髪が入り込んできたのです。
ああ、そういえば……ミカを追って、タクムの部屋に入ったのでした。
髪からミカの顔へと視線を移せば、余裕そうにまにましながら覗き込まれて、ちょっとムッとするのですよ。
「そんな緊張しなくても、ナタリーちゃん可愛いから大丈夫だよ!!」
ぐっ、と親指を立てて言うミカ……。
ナタリーの、一体どこが可愛いというのでしょうか?
背も小っちゃいし、まな板だし、お尻も……。
視線をミカの顔から下ろせば――バァン!! と豊満なおっぱい!! くびれたお腹!! 大きなお尻!! 極めつけに、極めつけにぅぃ……!! すらりと、伸びた、手足ィ!!
本当に、本当に、羨ましいのです。
半分よこすのです、世界は不平等なのですよ……あ、ミカは世界の神でしたねアハハハ。
せめてこのずぅんと沈んだ気持ちを、言葉に乗せて、発散させましょう……。
「ミカに言われても説得力がないのですよ……スタイル良すぎですか!! ボンキュッボンですか!! ナタリーなんて"すとーん"の三連符ですよ!!」
「う~ん、ナタリーちゃんの良さはそんなところじゃないと思うんだけどね」
「だってだって……男は胸やお尻の大きいのがいいんじゃないですか?? お母さん言ってたですよ」
「君の母親はいささか偏見が過ぎるね……別にスタイルだけが女の子の武器ってわけじゃないよ??」
ミカがにやりと笑ってナタリーを見つめてくるのです。
「ナタリーちゃん、子供は好き?」
ピンと細い人差し指を上に向けて、ミカがそんなことを聞いてきて。
確かに、子供は好きですけど……それとこれと、どんな関係があるというのでしょう。
「……それは、はいです。例えば、ガォとガゥは可愛いと思いますし」
「きっと、今タクムくんがナタリーちゃんに抱いてる異性に向ける感情って、子供っぽさからくる可愛さだと思うんだよね」
「やっぱり、ナタリーは子供っぽいのですね……」
がーんと、気分が落ち込む。
ナタリーと接するときの態度で何となくわかっていたのですが、いざ他人から言われると心に来るものがあるのですよ……?
くそう、ちんちくりんが嫌になるのです。
そんなナタリーを見てか、ミカが慌てたように言葉を続けるです。
「まってまって、落ち込むの禁止だよ!! まだ続きがあるんだ……考えようによっては、チャンスみたいだよ?? 今の状況は」
「ちゃんす、です……!?」
「そう、チャンス。天界にいた頃さ、聞いたことがあるんだよ――」
ナタリーは落ち込んで下げていた首を上げて、ミカの方を見つめます。
ごくり……何が、何がチャンスのなのでしょうか?
ミカの真っ赤な髪が、ふわふわと浮き上がり、その灼眼に強い光が宿ったです。
すごい威圧感が、ナタリーの肌を刺すようにビリビリと伝わってきて。
ごくり、一度唾を飲み込んだのです。
「――ギャップ萌え」
「ぎゃっぷもえ??」
*
「だから、普段と違う大人らしいナタリーちゃんを見せるんだよ」
「大人らしい。うーん、ナタリーにできるでしょうか……? すぐ真っ赤になって、発狂する自信があるのです」
ナタリー含めた四人で、"始まりの平原"でご飯を食べたとき。ミカの真似をして艶かしい仕草とかしてみましたが、タクムは適当に流してたですし。
ナタリーはタクムの中できっと、子供っぽくてすぐ狂う暴力女なのでしょうね……。
ナタリーのずーんと落ち込んだ様子を見ていたからでしょうか、ミカが考えるようなしぐさを見せて言ったです。
「んー……。ナタリーちゃん、ちょっと想像してみてくれる? 君は今、タクムくんの恋人だ」
「こ、ここぉ!?」
「いや、落ち着いてってば」
だ、ダメですぅ……!?
タクムとそんな関係になるだなんて考えただけで、体がこわばって、顔が熱くなって。
どうして、なんだって、こんなにも……。
「あはは……重症だね、これは。でもさ、デート位でそんなになってたら、恋人になんてなれないとは思わない?」
「うっ……確かに、それは」
逆に考えて、タクムがナタリーにずっとこんな態度だったら、気味が悪いのです。
「……ナタリーは頑張れる子です」
「よし、その意気だよ! じゃあ寝るまで想像で明日の予行練習といこうか」
この後、ミカがタクム役でデートの会話練習とかをやったです。
驚くことに、ミカは自分の姿形、声を完全にタクムのそれにしていて。
ミカは魔法と言っていたですけど、ナタリーが聞いたことの無いモノでした。
姿形がまんまタクムなので、最後は抱きしめて貰ったりして……。
正直この後全く眠れなかったです。
*
「……んにゅ?」
朝日がカーテンの隙間からナタリーを照らしているようで、日があたる部分が熱をもってポカポカするです。
瞼の向こう側が明るいのが分かって……あぁ、もう朝ですか。
結局、二時間ほどしか眠れなかったみたいです。
「今日、でーと……はぁ」
眠い目を擦りながら、ベットから降りて床に足を付けると下の階からパタパタと振動が。
タクムはもう起きてるみたいです。
「ミカ、ミカ~、起きるですよ。たぶんタクムが朝ごはん作ってるです」
「んぅ……やだぁ。お仕事飽きたよぉ……」
いや……どんな寝言ですか?
ミカがごろりと寝返りを打って、パジャマの裾の下から凶悪な二つのふくらみがナタリーの目を強烈に刺激してくるです。
ああ、なるほど……やはり神は不平等なのですね。
「……ん。おはよう、ナタリーちゃん」
「あ、起きたですか。おはようです。タクムはもう起きてるみたいですよ?」
「じゃあ、下行こうか~」
「ですです」
*
食卓に並んだ、柔らかくて水分を吸ったパン――タクムはフレンチトーストと言ってたです――をナイフで切り分けて、フォークで口に運ぶと。
口の中で甘みと、焦げによる香ばしさがふわあとなって広がったのです。
あと同時に、得も言われぬ悔しさもこみ上げてきたのですが。
「……くっ、おいしいです」
「何でそんな悔しそうなんだよ?」
「いえ……別になんでもないのですよっ!!」
はあ……何なのですか、この男は!?
ナタリーがタクムと釣り合うには、一体どれだけのことを頑張ればいいのでしょうか。
向こうでおいしい料理が作れるのはまだ分かるですけど……ジョブの効果でなんとでも説明がつくのですから。
でも、地球での料理が美味しいのは、単純にタクムの腕がいいからですよね。
――カッコ良くて、優しくて。料理が出来て……ああ、ああもう!!
うゎ、ナタリーは何を考えているのでしょう……!?
「ナタリーちゃん、ナタリーちゃん?」
ニヤニヤとしながら、ミカがナタリーの耳にだけ聞こえる声でひそひそ話を持ち掛けてきたです。
「なんです?」
「今日、どこまで攻めるの? キスとかしちゃうのかい?」
「――ぃっ!? で、できないです、無理無理無理ぃ!!」
「ええ……? 頑張りなよ、今日からガォくんとガゥちゃんもこっちに来るからさ。二人っきりの時間はもうないかもしれないんだよ?」
ミカの言葉に、ちら、とタクムの顔を盗み見てみると……頭の上に「?」と疑問符が浮かんでるような表情でこちらを見てるです。
ナタリーの気も知らないで……。
「うぅ……せ、せめて手を繋ぐ、くらいなら」
「……妥協かい~? まあ、頑張っておいでよ」
*
「どの組み合わせがいいですかね……?」
ナタリーは、ベットの上に昨日買った服を並べて考えるです。
「ナタリーちゃん、この本によるとデートにはスカートがいいらしいよ?」
声に振り向くと、ミカがどこからか薄い雑誌を取り出して言ったのです。
「……そうなのですか?」
「昨日着てたズボンだと利発さが強調されてたような気がするね、それはそれで可愛いと思うけど」
「分かったです、じゃあ今日はこれにするです!」
ベットの上に置かれていた、チュニックとスカートを取って、もぞもぞと着替えて。
無造作に置かれている姿見の前で、自分の姿を見ると……あれ、なんか足りないのです。
「あ、カチューシャ付けるの忘れてたですか」
頭にちょこんと黒を乗せて、タクムが待っているであろう玄関へ小走りで駆けていく。
*
辺りを見回せば、高い高い建物たち。
いろんな人がいろんな服を着ていて、色とりどり、目が疲れてしまいそうです。
タクムと一緒に、『ショッピングモール』への道を歩いていると……ついついタクムの方に、目がいってしまいます。
ナタリーがタクムを見てることがばれると恥ずかしいので、チラチラと分からないようにはしているつもりですが、なんだかタクムもこっちを見ているような気がしないでもなくて。
……あ、あれ? なんだか、周囲の人の視線がナタリーに刺さってるです。
見られてる?
どこかおかしいのかとタクムに聞いてみると、ナタリーの髪の色が目立つから視線を集めるらしいです。
確かに、『日本』の人間の髪は皆綺麗な黒色なのですね。
ちらほらと、違う髪色の人もいるようなのは……どこの世界でも同じということでしょうか。
目に映るものをタクムに聞いたり、タクムがナタリーのいた世界のことを聞いたり。
そうやってゆっくり歩いて。
……手、繋ぎたいなぁ。
昨日頑張ろうって、思って。今日だって、精いっぱい服とか悩んで。
だったらもうちょっと頑張る位、訳ないですよね、ナタリー。
「あの!! タクム……手、繋ぎたいです」
そんな言葉の返答の代わりに、タクムは無言でナタリーの手を握ってくれたです。
……もう、ほんとに、カッコつけすぎですよ。いつもは軽口位言ってくれるのに。
大きくて力強い、男性の手。
ああ、鼓動はこれ以上ない位煩いのに。
なんか今、とっても幸せで、満たされてるです。
*
ショッピングモール内の映画館。
ずっと繋いでいる手が気になって、見たい映画とか決められないですよ・・・!
・・・あれ?これはなんです?
デフォルメされた魔法使いのローブがポスターに描かれているですね。
どうやら人間と魔法使いのお話のようです。
・・・魔法使いという概念があるということは、ナタリーのほかにもこちらに来た同族がいるのかも。
これにしましょう!たぶん作り物のお話ですが、感情移入しやすそうです。
上映室に入って、さっき買ったぽっぷこーんなるものを食べ比べ。
タクムのはしょっぱい塩味。
ナタリーのは甘いキャラメル味です。
甘いほうが好みですかね、ナタリーは。
「ナタリー、俺のオレンジジュースだけど、飲むか?」
「あ、いただきますです。」
・・・あ!?
タクム、口付けてたですよね!?
ぷるぷる震えながら、タクムのおれんじじゅーすを受け取り、ストローを口に。
あ、頭が沸騰しそうですよ・・・!
でも、ここで狂うわけにはいかないのです!
耐えるのですよ、ナタリー!
結局、どんな味なのか分かんなかったです。
*
映画に見入る。
境遇がナタリーとタクムみたいで、目が離せないです。
ヒロインが、そのままナタリーにすげ変わってしまった様な。
映画のクライマックス。
異世界への扉が開き、主人公はヒロインの名前を呼び、手を差し伸べる。
・・・ダメです!
手を取ってください。
二人が結ばれなかったら、ナタリーは。
何時しか、涙が止まらなくなってました。
*
ナタリーだけじゃなくて、タクムもどうやら泣いていたようです。
そのことで軽口を言い合った後、昼食へ。
ここが一番の難関なのです・・・大体にほんのご飯は美味しすぎるですよ。
いつもここで気がおかしくなるので、今日は頑張って押さえるのです!
頬が緩みそうになるのを必死に抑えて、食べる。
か、感想を言わなければ・・・。
「おいしすぎです。」
「お、おう。」
あれ?
なんかタクムのほうが笑いだしそうな顔をしているのです。
そんなにおいしかったんですかね?
これならナタリーも少しぐらい笑ってもいいですよね。
*
タクムが何をくれるのか楽しみにしながら、ベンチに座って待つのです。
くるりと周りを見渡すと、やはり異世界の建造物ですね。
煌びやかで、色鮮やかで。
もし、もし一人だったなら。
きっととっても不安で、途方に暮れて。
・・・最初に出会ったのがタクムで、良かったです。
そんなことを考えていたら、買い物を終えてタクムが戻ってきたのです。
渡されたのは綺麗な包装がなされた、不思議な質感の小箱。
タクムに許可を取ってそれを開けると、現れたのは花のペンダント。
「フリージアの花言葉は『無邪気』や『あどけなさ』だ。ナタリーは子供っぽいことを気にしてるかもしれないけどさ、お前の魅力もその中にあるんだぞ?だから、無理に大人っぽくしなくていい。そのままのナタリーが、俺はいいな。まあ、背伸びするところも可愛いけどな。」
・・・もう、本当に。
何なんですか?貴方は。
ナタリーは何も言ってないのに、気にしてること見抜いてくれて。
言われて一番うれしいこと言ってくれて。
「そのままでいい」なんて。
可愛いなんて。
「その、なんだ。これからもよろしくな。意味不明な出会い方だったけど、ナタリーと出会えて俺はよかったよ。」
ナタリーもです。
きっとタクムがそう思っている以上の何倍も何倍も。
貴方に出会えて、良かった。
「絶対、大事にするです。ありがとうです。」
「これからも、よろしくです!!」
絶対、離れてあげないです。
だって。
ナタリーはこんなにも。
タクムが大好きなのですから!!




