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異種族趣味の管理者【アドミニストレータ】  作者: てんとん
2章 開始:βテスト版
21/33

幕間 ナタリーの初でーとは異種族とだったのです

ナタリーが好きな人は読んでね。


※改稿中です、台詞が異なりますがご容赦を。

続き、中々投稿できませんが……待ってくれてる人、ありがとう。

 ガォとガゥにいったんお別れを告げて、ナタリー達は地球に戻ったです。

 ミカを追いかけてタクムの部屋に来たはいいですが……タクムの匂いという匂いが、部屋中からっ!!

 視界がゆらゆらと揺れているような感覚がするのですよ……。

 タクムはどうやら、ナタリー達とは違う部屋で寝るつもりみたいです。

 ……向こう(魔法界)では一緒なのに、今更じゃないですかね?


 ぽふりと、ベットに腰掛ければ、そこからもタクムの匂いがして――嫌でも、明日のことが浮かんできてしまう。

 はぁ、明日は、デートですか。

 でーと、デート、でぇぇとぉお!!!!????

 

 ……ああ、どうすればいいのですか!?

 でーとなんて、でーとなんてナタリーはしたことないのですっ……!!

 着ていく服は!?

 お化粧とかした方がいいですかね!?

 香水とか付けるべき!?


 タクムは、どう思ってるのでしょうか? プレゼント、買ってくれるって言ってましたけど。

 ナタリーなんかが、でーとの相手でいいのでしょうか。


「うにゅぅ……!!」


 ナタリーが頭をぐるぐるさせて悩んでいると、ひょこりと視界に赤い髪が入り込んできたのです。

 ああ、そういえば……ミカを追って、タクムの部屋に入ったのでした。

 髪からミカの顔へと視線を移せば、余裕そうにまにましながら覗き込まれて、ちょっとムッとするのですよ。


「そんな緊張しなくても、ナタリーちゃん可愛いから大丈夫だよ!!」


 ぐっ、と親指を立てて言うミカ……。

 ナタリーの、一体どこが可愛いというのでしょうか?

 背も小っちゃいし、まな板だし、お尻も……。


 視線をミカの顔から下ろせば――バァン!! と豊満なおっぱい!! くびれたお腹!! 大きなお尻!! 極めつけに、極めつけにぅぃ……!! すらりと、伸びた、手足ィ!!

 

 本当に、本当に、羨ましいのです。

 半分よこすのです、世界は不平等なのですよ……あ、ミカは世界の神でしたねアハハハ。

 せめてこのずぅんと沈んだ気持ちを、言葉に乗せて、発散させましょう……。


「ミカに言われても説得力がないのですよ……スタイル良すぎですか!! ボンキュッボンですか!! ナタリーなんて"すとーん"の三連符ですよ!!」


「う~ん、ナタリーちゃんの良さはそんなところじゃないと思うんだけどね」


「だってだって……男は胸やお尻の大きいのがいいんじゃないですか?? お母さん言ってたですよ」


「君の母親はいささか偏見が過ぎるね……別にスタイルだけが女の子の武器ってわけじゃないよ??」


 ミカがにやりと笑ってナタリーを見つめてくるのです。


「ナタリーちゃん、子供は好き?」


 ピンと細い人差し指を上に向けて、ミカがそんなことを聞いてきて。

 確かに、子供は好きですけど……それとこれと、どんな関係があるというのでしょう。


「……それは、はいです。例えば、ガォとガゥは可愛いと思いますし」


「きっと、今タクムくんがナタリーちゃんに抱いてる異性に向ける感情って、子供っぽさからくる可愛さだと思うんだよね」


「やっぱり、ナタリーは子供っぽいのですね……」


 がーんと、気分が落ち込む。

 ナタリーと接するときの態度で何となくわかっていたのですが、いざ他人から言われると心に来るものがあるのですよ……?

 くそう、ちんちくりんが嫌になるのです。


 そんなナタリーを見てか、ミカが慌てたように言葉を続けるです。


「まってまって、落ち込むの禁止だよ!! まだ続きがあるんだ……考えようによっては、チャンスみたいだよ?? 今の状況は」


「ちゃんす、です……!?」


「そう、チャンス。天界にいた頃さ、聞いたことがあるんだよ――」


 ナタリーは落ち込んで下げていた首を上げて、ミカの方を見つめます。

 ごくり……何が、何がチャンスのなのでしょうか?


 ミカの真っ赤な髪が、ふわふわと浮き上がり、その灼眼に強い光が宿ったです。

 すごい威圧感が、ナタリーの肌を刺すようにビリビリと伝わってきて。

 ごくり、一度唾を飲み込んだのです。


「――ギャップ萌え」


「ぎゃっぷもえ??」



「だから、普段と違う大人らしいナタリーちゃんを見せるんだよ」


「大人らしい。うーん、ナタリーにできるでしょうか……? すぐ真っ赤になって、発狂する自信があるのです」


 ナタリー含めた四人で、"始まりの平原"でご飯を食べたとき。ミカの真似をして艶かしい仕草とかしてみましたが、タクムは適当に流してたですし。

 ナタリーはタクムの中できっと、子供っぽくてすぐ狂う暴力女なのでしょうね……。

 ナタリーのずーんと落ち込んだ様子を見ていたからでしょうか、ミカが考えるようなしぐさを見せて言ったです。


「んー……。ナタリーちゃん、ちょっと想像してみてくれる? 君は今、タクムくんの恋人だ」


「こ、ここぉ!?」


「いや、落ち着いてってば」


 だ、ダメですぅ……!?

 タクムとそんな関係になるだなんて考えただけで、体がこわばって、顔が熱くなって。

 どうして、なんだって、こんなにも……。


「あはは……重症だね、これは。でもさ、デート位でそんなになってたら、恋人になんてなれないとは思わない?」


「うっ……確かに、それは」


 逆に考えて、タクムがナタリーにずっとこんな態度だったら、気味が悪いのです。


「……ナタリーは頑張れる子です」


「よし、その意気だよ! じゃあ寝るまで想像で明日の予行練習といこうか」


 この後、ミカがタクム役でデートの会話練習とかをやったです。

 驚くことに、ミカは自分の姿形、声を完全にタクムのそれにしていて。

 ミカは魔法と言っていたですけど、ナタリーが聞いたことの無いモノでした。

 姿形がまんまタクムなので、最後は抱きしめて貰ったりして……。


 正直この後全く眠れなかったです。



「……んにゅ?」


 朝日がカーテンの隙間からナタリーを照らしているようで、日があたる部分が熱をもってポカポカするです。

 瞼の向こう側が明るいのが分かって……あぁ、もう朝ですか。

 結局、二時間ほどしか眠れなかったみたいです。


「今日、でーと……はぁ」


 眠い目を擦りながら、ベットから降りて床に足を付けると下の階からパタパタと振動が。

 タクムはもう起きてるみたいです。


「ミカ、ミカ~、起きるですよ。たぶんタクムが朝ごはん作ってるです」


「んぅ……やだぁ。お仕事飽きたよぉ……」


 いや……どんな寝言ですか?

 ミカがごろりと寝返りを打って、パジャマの裾の下から凶悪な二つのふくらみがナタリーの目を強烈に刺激してくるです。

 ああ、なるほど……やはり神は不平等なのですね。


「……ん。おはよう、ナタリーちゃん」

「あ、起きたですか。おはようです。タクムはもう起きてるみたいですよ?」

「じゃあ、下行こうか~」

「ですです」



 食卓に並んだ、柔らかくて水分を吸ったパン――タクムはフレンチトーストと言ってたです――をナイフで切り分けて、フォークで口に運ぶと。

 口の中で甘みと、焦げによる香ばしさがふわあとなって広がったのです。

 あと同時に、得も言われぬ悔しさもこみ上げてきたのですが。


「……くっ、おいしいです」

「何でそんな悔しそうなんだよ?」

「いえ……別になんでもないのですよっ!!」


 はあ……何なのですか、この男は!?

 ナタリーがタクムと釣り合うには、一体どれだけのことを頑張ればいいのでしょうか。

 向こう(魔法界)でおいしい料理が作れるのはまだ分かるですけど……ジョブの効果でなんとでも説明がつくのですから。

 でも、地球での料理が美味しいのは、単純にタクムの腕がいいからですよね。


 ――カッコ良くて、優しくて。料理が出来て……ああ、ああもう!!


 うゎ、ナタリーは何を考えているのでしょう……!?


「ナタリーちゃん、ナタリーちゃん?」


 ニヤニヤとしながら、ミカがナタリーの耳にだけ聞こえる声でひそひそ話を持ち掛けてきたです。


「なんです?」

「今日、どこまで攻めるの? キスとかしちゃうのかい?」


「――ぃっ!? で、できないです、無理無理無理ぃ!!」

「ええ……? 頑張りなよ、今日からガォくんとガゥちゃんもこっち(地球)に来るからさ。二人っきりの時間はもうないかもしれないんだよ?」


 ミカの言葉に、ちら、とタクムの顔を盗み見てみると……頭の上に「?」と疑問符が浮かんでるような表情でこちらを見てるです。

 ナタリーの気も知らないで……。


「うぅ……せ、せめて手を繋ぐ、くらいなら」

「……妥協かい~? まあ、頑張っておいでよ」



「どの組み合わせがいいですかね……?」


 ナタリーは、ベットの上に昨日買った服を並べて考えるです。

 

「ナタリーちゃん、この本によるとデートにはスカートがいいらしいよ?」


 声に振り向くと、ミカがどこからか薄い雑誌を取り出して言ったのです。


「……そうなのですか?」

「昨日着てたズボンだと利発さが強調されてたような気がするね、それはそれで可愛いと思うけど」

「分かったです、じゃあ今日はこれにするです!」


 ベットの上に置かれていた、チュニックとスカートを取って、もぞもぞと着替えて。

 無造作に置かれている姿見の前で、自分の姿を見ると……あれ、なんか足りないのです。


「あ、カチューシャ付けるの忘れてたですか」


 頭にちょこんと黒を乗せて、タクムが待っているであろう玄関へ小走りで駆けていく。



 辺りを見回せば、高い高い建物たち。

 いろんな人がいろんな服を着ていて、色とりどり、目が疲れてしまいそうです。

 タクムと一緒に、『ショッピングモール』への道を歩いていると……ついついタクムの方に、目がいってしまいます。

 ナタリーがタクムを見てることがばれると恥ずかしいので、チラチラと分からないようにはしているつもりですが、なんだかタクムもこっちを見ているような気がしないでもなくて。

 ……あ、あれ? なんだか、周囲の人の視線がナタリーに刺さってるです。

 見られてる?


 どこかおかしいのかとタクムに聞いてみると、ナタリーの髪の色が目立つから視線を集めるらしいです。

 確かに、『日本』の人間の髪は皆綺麗な黒色なのですね。

 ちらほらと、違う髪色の人もいるようなのは……どこの世界でも同じということでしょうか。


 目に映るものをタクムに聞いたり、タクムがナタリーのいた世界のことを聞いたり。

 そうやってゆっくり歩いて。

 ……手、繋ぎたいなぁ。

 昨日頑張ろうって、思って。今日だって、精いっぱい服とか悩んで。

 だったらもうちょっと頑張る位、訳ないですよね、ナタリー。


「あの!! タクム……手、繋ぎたいです」


 そんな言葉の返答の代わりに、タクムは無言でナタリーの手を握ってくれたです。

 ……もう、ほんとに、カッコつけすぎですよ。いつもは軽口位言ってくれるのに。

 大きくて力強い、男性の手。

 ああ、鼓動はこれ以上ない位煩いのに。

 なんか今、とっても幸せで、満たされてるです。



ショッピングモール内の映画館。

ずっと繋いでいる手が気になって、見たい映画とか決められないですよ・・・!

・・・あれ?これはなんです?

デフォルメされた魔法使いのローブがポスターに描かれているですね。

どうやら人間と魔法使いのお話のようです。

・・・魔法使いという概念があるということは、ナタリーのほかにもこちらに来た同族がいるのかも。

これにしましょう!たぶん作り物のお話ですが、感情移入しやすそうです。


上映室に入って、さっき買ったぽっぷこーんなるものを食べ比べ。

タクムのはしょっぱい塩味。

ナタリーのは甘いキャラメル味です。

甘いほうが好みですかね、ナタリーは。


「ナタリー、俺のオレンジジュースだけど、飲むか?」

「あ、いただきますです。」


・・・あ!?

タクム、口付けてたですよね!?

ぷるぷる震えながら、タクムのおれんじじゅーすを受け取り、ストローを口に。

あ、頭が沸騰しそうですよ・・・!

でも、ここで狂うわけにはいかないのです!

耐えるのですよ、ナタリー!

結局、どんな味なのか分かんなかったです。



映画に見入る。

境遇がナタリーとタクムみたいで、目が離せないです。

ヒロインが、そのままナタリーにすげ変わってしまった様な。

映画のクライマックス。

異世界への扉が開き、主人公はヒロインの名前を呼び、手を差し伸べる。

・・・ダメです!

手を取ってください。

二人が結ばれなかったら、ナタリーは。

何時しか、涙が止まらなくなってました。



ナタリーだけじゃなくて、タクムもどうやら泣いていたようです。

そのことで軽口を言い合った後、昼食へ。

ここが一番の難関なのです・・・大体にほんのご飯は美味しすぎるですよ。

いつもここで気がおかしくなるので、今日は頑張って押さえるのです!

頬が緩みそうになるのを必死に抑えて、食べる。

か、感想を言わなければ・・・。


「おいしすぎです。」

「お、おう。」


あれ?

なんかタクムのほうが笑いだしそうな顔をしているのです。

そんなにおいしかったんですかね?

これならナタリーも少しぐらい笑ってもいいですよね。



タクムが何をくれるのか楽しみにしながら、ベンチに座って待つのです。

くるりと周りを見渡すと、やはり異世界の建造物ですね。

煌びやかで、色鮮やかで。

もし、もし一人だったなら。

きっととっても不安で、途方に暮れて。

・・・最初に出会ったのがタクムで、良かったです。

そんなことを考えていたら、買い物を終えてタクムが戻ってきたのです。

渡されたのは綺麗な包装がなされた、不思議な質感の小箱。

タクムに許可を取ってそれを開けると、現れたのは花のペンダント。


「フリージアの花言葉は『無邪気』や『あどけなさ』だ。ナタリーは子供っぽいことを気にしてるかもしれないけどさ、お前の魅力もその中にあるんだぞ?だから、無理に大人っぽくしなくていい。そのままのナタリーが、俺はいいな。まあ、背伸びするところも可愛いけどな。」


・・・もう、本当に。

何なんですか?貴方は。

ナタリーは何も言ってないのに、気にしてること見抜いてくれて。

言われて一番うれしいこと言ってくれて。

「そのままでいい」なんて。

可愛いなんて。


「その、なんだ。これからもよろしくな。意味不明な出会い方だったけど、ナタリーと出会えて俺はよかったよ。」


ナタリーもです。

きっとタクムがそう思っている以上の何倍も何倍も。

貴方に出会えて、良かった。


「絶対、大事にするです。ありがとうです。」

「これからも、よろしくです!!」


絶対、離れてあげないです。

だって。

ナタリーはこんなにも。


タクムが大好きなのですから!!


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