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第68階層

「ちょっと落ち込みますね~」

「そうですか? ココまでこれただけでも凄いと思いますけど。ほら見てください、この階層のトップは元バイシクルのSランカーですよ。同じ土俵に立てるだけで自慢が出来ます」

「………………」


 無言の彼も、元バイシクルのSランカーが立っている1位の台座を熱い瞳でジッと見つめている。

 私はその元バイシクルのSランカーに話を聞いてみようと接触を図る。

 この下にある9階層を攻略しているメンバーの事も知りたい。


「あ~、下に居る奴らはホンモノって言われる存在だなあ」


 このダンジョンでは武器防具、道具に至るまで全てその階層に用意されたものを使用しなければならない。

 自分はSランカー等と言われていたが、結局の所、運が良かっただけだったのだろう。

 とあるダンジョンで見つけた、強力な武器のおかげでSランカーになれたようなものだ。


 同じ条件であれば、このレベル。


 それに武器に頼った戦い方に慣れてしまっていた。

 だから、その武器を失えば実力も落ちる。

 

「だからまあ、まだこの下には行けてない」

「なるほど……私もまさしくその通りですね」


 それでもこの人は、この階層で1位をとっている。

 きっと正しくサポートできるメンバーが居れば、下にも行けるはずだ。


「少し、相談があるのですが……」

「なんだ?」

「私のメンバーを預かっておいて頂けませんか?」


「ふむ……」


 このダンジョンのシステムはもっと広げるべきだと思う。

 少しの間、足止めになろうとも、ここで自分の実力を知るのは、きっと後々の為になる。

 だから私は、このダンジョンの事を外で宣伝しようと思っている。


 どんなに素晴らしい武器であろうとも、形あるものはいずれ壊れる。


 そして、それを失う時と言うのは、それなりの強敵と戦っている時だろう。

 武器に頼った戦い方をして、その武器を失えばどうなるか。

 当然、命までも失う事になりねない。


 だがここで武器に頼らない戦い方を学んでいればどうだろうか?


 少しでも命を救う確率が上がらないだろうか?

 ここで取得できる物は唯の紙切れだ。

 しかも個人の所有にはならない。


 一攫千金を夢見る冒険者には敬遠されそうだが、冒険者を育てる登竜門としては最高の環境ではないだろうか?


 住む場所、食べる物、果ては医療まで、その全てが無料である。

 ここで冒険者としての力を付け、ある程度の実力が伴って他のダンジョンに挑む。

 きっとダンジョンでの死亡率がグンと下がるに違いない。


 その上、ココでは忖度の無い、本当の自分の実力がランキングとして判明する。


 それは冒険者にとってのモチベーションにも繋がる。

 自分の実力にあった階層別というのもまた良い。

 一歩ずつしっかりと、自分の成長を確かめながら進む事が出来る。


 実力に見合わない階層に行けない事により、初心者冒険者にありがちな自意識過剰による死亡事故も少なくなる。


 いっその事、ここで訓練を積み、ある程度の階層に行けない奴は冒険者として認めないという、冒険者ライセンス資格というのを作って貰いたいぐらいだ。


「ふむ……お前、面白い事を考えるな!」


 現在、このダンジョンの上にある居住エリアでは、王都から学園機能を移して来ようとする取り組みが行われている。

 ならばそこに冒険者育成コース等と言う物を用意して貰ってはどうか。

 地上の手前の階層にはトレーニングルームと言う、体を鍛える場所もある。


 設備は十分に整っている。


「とは言ってもここの領主様は、女王陛下の配偶者ですよね? 私達のような一介の冒険者が意見など出来る物なのですか?」

「イース様も女王様も気さくなお方だぞ、俺は何回も話をした事はある」


 任せとけと言って胸を叩く。


「ならば頼みます、私はこの日本円ダンジョンを出来るだけ多くの方の知って貰う為に外に出ていきます」


◇◆◇◆◇◆◇◆


「最近、日本円の回収率が上がって来ていますね」

「なんでも、高名な冒険者が各地で宣伝してくれているそうですよ」

「それは感謝しないといけませんね」


 と、そこへ女王様がバーンと扉を開けて入って来て、


「冒険者ライセンス制度を作ろう!」


 等と言いだす。

 ああ、あの冒険者の人、女王様にも言っちゃったか。

 一定期間、我が日本円ダンジョンで鍛えて、課題をクリアした人だけを冒険者として認める。


 いきなり、ライセンスが無いとダンジョンには入れませんよ。等とはいかないが、持っていれば報酬が増える、等の特典を付けるのはありだ。


 前世の資格制度の様な物だな。

 あとは、資格を持っていない人より、持っている人が活躍してくれれば、自然と資格を取ろうとなってくる。

 資格取得に関わる費用も実質0円だ。


 無料で冒険者のノウハウを教えて貰えるという事で、人が殺到しないかと言うのが心配なぐらいだ。


 まあ、十分な居住スペースはあるので、なんとかなるだろう。

 研修期間中でもダンジョンに潜ってくれれば、日本円も稼げて、ソレで食料も調達出来る。

 唯一、医療のパンクが心配だから、そこだけは資金を投入してでも強化が必要だ。


「ところで、なぜ宝物庫に居るのだね?」


 と、女王様が問いかけてくる。


 いえ、それがですね……屋根、欲しいと思いません?

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