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第48階層 婚約話

 その女性の名前は、シオン・フォースレア。

 フォースレア王国の王女様だとの事。

 他国の王族がうちに輿入れとか、何事?


 よくよく話を聞いてみると、王国の領土はかなり広いのだが、ほとんどが平地の為、ダンジョンも無ければ、特産品も無い。


 穀物を融通して欲しくとも、差し出せる対価が無い。

 ならばこの身を対価に換えて穀物を融通してくれないか。

 といった事らしい。


 確かに婚姻関係になれば、穀物の横流しの一つや二つ、問題にするような事でもない。

 特にうちは兄弟関係も悪くない。

 兄上に輿入れして、穀物を横流して貰うというのは案外悪くない考えではあるのだが……


「シオン様はそれで納得されているのですか?」

「はい! ボルヴェイン様は素晴らしいお方です! 私が追い詰められていたモンスターを、瞬きもしない間に細切れにしてしまうのですから!!」


 何やってんの兄上~。


 この間、ダンジョンコアが尽きた時、ダンジョンコアを持って行っても良いよ、と言った領地へ兄上を派遣した。

 当然、兄上以外の冒険者にも声をかけていたので、バッティングする場合もある。

 で、このシオンさんは冒険者に紛れてダンジョンコアを取得し、穀物を買う足しにしようと、この国に来ていた。


 王女様が冒険者に紛れてダンジョンに入るなんて危険じゃね?


 と聞いたら、つい最近まで王家の一粒種だった所為で、王位継承者として男性と同じ様に扱われて育ったらしい。

 どっかで聞いた話だなあ……まあ、うちは男性と同じ様ではなく男性そのものとしてだが。

 なので、ある程度の戦闘力は持っている。と自慢げに語る。


 なにせ平地が多い領地、たとえ王族と言えども戦えなくては暮らしていけないそうだ。


 で、とあるダンジョンで兄上とバッティングし、その実力のほどに惚れ込み、その場でプロポーズを行ったらしい。

 直情的なお方だ。

 穀物の件は、ある意味、後だしな気がしてきた。


「数年前に弟も生まれ、今は自由の身。ならばお国の為、この身を差し出すことも吝かではありません!」


 ホントにお国の為なの~?


 兄上を見る瞳の中にハートマークが見えるような気がするよ。

 また国王様も高齢の為、日中のほとんどをベッドの上で過ごしていると言う。

 なので、時間もあまりなく、出来るだけ早く穀物を融通して欲しいそうだ。


「他国の王族と繋がりが出来るなど、願ってもない事だと思うよ。特に平地が多いというのがポイントだね」


 他人事だから呑気げにそんな風に言う女王様。


 確かに平地が多いというのは重要なポイントだ。

 今はモンスター災害により、平地に人が住むのには適していないし、平地に住むメリットもない。

 だが、この先、穀物栽培がブレイクしたらどうだろうか?


 平地での防衛方法が確立されれば、立場が逆転する事だってありうる。


 今は、平地が多い国の方が貧しいが、今後、平地が多い国の方が裕福になる可能性がある。

 というより、まずそうなるだろう。

 価値の低い今のうちに、そのような国々と手を結ぶのは決して悪い事ではない。


「おい、イース」

「なんでしょうか?」

「俺はまだ結婚するつもりはない、なんとかしてくれ」


 チワワのような目をして、そんな事を言ってくる兄上。


 なんとかと言われましてもねえ。

 あんたも良い歳なんだから、そろそろ身を固めても良いのでは?

 それとも別に良い人でも居るのかな?


 えっ、居ない、じゃもうYOUに決めちゃいなYO。


 えっ、互いをもっと知り合ってからの方が良いって?

 でも向こうさんは、そんな時間が無いとか言っていますよ。


「シオン嬢」


 そこで何やらひらめいた、みたいな顔をしてシオンさんに呼びかける我らが女王様。


「何でしょうか?」

「私に雇われてみる気はないかね?」

「は?」


「戦える女性が居る、しかも元王族で指揮も出来よう! ならば、私だけの――――女性だけの騎士団を作り上げたい!」


 また変な事を言い出したぞ、この女王様。


「そうすればこの国に留まれる、その隙にいくらでもアプローチすれば良い。当然、親衛隊騎士団長だ、穀物だって融通しよう」

「本当ですか!?」


 まあ、発想自体は悪くないかもな。

 今の体は何と言っても女性なのだし、女性が近くに居た方が何かと融通が利く。

 その女性が護衛まで兼務出来るのなら、それこそ言う事もない。


「分かりました! 是非ともお願いいたします!! 私もイース式スパルタ訓練で今よりもずっと力を付けて見せます!」


 なにそのイース式スパルタ訓練って? 初めて聞くんだけど。

 なんでオレの名前が付いているの?

 オレはボルヴェイン兄上の方を見る。


 ついっと視線を逸らしやがる。


「いや、ほらな、お前が作ったアレ、四六時中訓練が出来るだろ? しかも天候に関係なく」


 結構厳しかったそうなんだわ。と言う。

 トレーニングマシンの事か?

 いやだから、自分が出来るからって人も出来ると思わないでと、子供の頃からあれほど……


「いやでも、それが良いという奴も中には居るぞ」


 想像してみる、Mな筋肉ダルマが集まった騎士団を。

 うん、兄上の騎士団には、なるべく近づかないようにしよう。

 というか勝手に人の名前を付けるなよ……後の世で、オレがその訓練方法を考えた非道な人物と言われるようになりそうだ。

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