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第119階層

『ワタシニモ、ストーリー、ホシイ』


 ハーキャットさんが悲劇の英雄として注目を浴びているのを見て、メイクィースさんがそんな事を言って来た。


 いや、もちろんメイクィースさんを作ったゲームにだってシナリオはあるのですよ?

 ですがね、サイバーパンクなストーリーなので、たぶん、この世界のお方たちは理解できない。

 まず、アンドロイドとは何ぞや、から説明が必要だ。


 えっ、だったら完全なオリジナルにすれば良いって?


 まあ、オリジナルでなくとも、前世では漫画や小説が山ほどあった。

 どれか、似た様な物を参考にすればできない事はないだろうけど。

 時間がですね…………ないのですよ。


 バーセルク兄上のせいで、漫画作成講座などをしなければならなくなった。


 しかもバーセルク兄上に弟子入りを希望していた少年少女たち。

 今や、弟子入りの件はそっちのけで、漫画づくりに熱中されている。

 講座の時間外でも突貫して来る子がいて、仕事になりゃしない。


 オレに頼むより、その少年少女たちの誰かに頼んだ方が良いんじゃないかなあ。


『アイツヨリ、イイモノ』


 そう言いながらハーキャットさんを指差す。


 ハーキャットさんのシナリオも、前世ではよくある王道パターンなんだけどなあ。

 あと、前世で受けたからと言って、こっちの世界でも受けるとは限らない。

 まずは受け皿を作ってからではないと、ハテナしか浮かばない先進すぎる物になってしまう。


「今シナリオを作ってしまうとそれに固定されてしまいますよ?」


 ですので、漫画が浸透して下地ができてからにしてはどうですか、と時間稼ぎに走る。

 下地ができれば、ロボット物も出てくるかもしれない。

 そうなれば、アンドロイドが活躍するメイクィースさんのシナリオも受け入れられるだろう。


『ソレモ、ミレニアムカ?』


 さすがに千年はかかりませんって。


 少なくともオレの存命中には十分間に合う。

 早ければ数年で達成もありえるかもしれない。

 なにせ彼らの熱意が違うからねえ。


 オレがそう言うと、メイクィースさんはハーキャットさんの元へ行き、何やら話し合いを行った後に、額を合わせてデータのやり取りらしい事をし始める。


 今度は何を作るんだ?

 とりあえず、その日はそのままお開きにとなったのだが、後日、とんでもない物が実装されていた。

 各部屋に置かれているモニター、なんとそこに、アニメが映る様になっていたのだ。


 白黒で、漫画を継ぎ足したかのような稚拙なアニメだが。


 確かに動いている。

 今回はオレが初めに指導した女の子が書いた漫画を元にしている。

 彼女も、最初に書いたダイジェストではなく、自分なりにアレンジした物を一から書き始めている。


 その漫画を忠実にアニメ化されている。


 これはあれだ、漫画を自動でアニメにするAIアニメの様なモノだな。

 もはや前世の技術レベルをこえている。

 これに色がついたら、完璧なのではなかろうか。


 その放送が終わった後、いろんな場所から第二話はまだかと催促の連絡が引切りなしに入る。

 なるほど、強制的に住民たちの興味を漫画に惹き付ける事に決めたか……

 産業を発展させるには、多くの人からその産業が求められる事が第一だ。


 人から求められない産業は発展しない。


 逆にどんなにくだらない事であろうとも、人から求められれば発展する。

 漫画だって、最初は大人たちから、くだらない物だと言われていた。

 それが日本と言う国の一大産業に発展した訳だ。


 というか、アニメが作れるならドラマも作れそうだな。


 それこそハーキャットさんが主役なんだ、本人が出演した3Dアニメも良いんじゃないか。

 例のVRを使って、バーチャル世界でそれを作れば、前世のアニメだってこえられるかもしれない。

 だが、それを言うと出演させられそうだから黙っておくか。


 しかしまあチャンネルも増えて娯楽も充実して来だしたな。


 このペースで発展を続けたなら、あと数年もすれば前世並みの生活水準に追いつきそうな勢いだ。

 ここで居る限りモンスターに襲われることもなく安全に過ごせる。

 食料も地下のダンジョンから日本円を回収する事で十分足りている。


 メイクィースさんのアメリカ$ダンジョンのおかげで、この世界にはない素材も作れるようになった。


 それに掛かるアメリカ$については、不足気味ではあるが、その辺りは帝国がなんとかするだろう。

 メイクィースさんはうちのハーキャットさんと違って甘くはないからなあ。

 VRも遊園地もアメリカ$ダンジョンには設置されていない。


 従来通りの命懸けでダンジョンに潜りモンスターを倒すしかない。


 ただ、日本円ダンジョンとは違って、アメリカ$以外の魔道具などもドロップする。

 そんな魔道具は科学技術では再現が不可能な物も多い。

 宝くじのように一発当てれば億万長者だって夢じゃない。


 掛けるチップが自分の命と言うのはリスクが大きいが、それが人気の元であったりもする。


 中には、それが良いというやつだって居るからな。

 どちらが良いかは、各々の判断におまかせですな。

 世の中にはいろいろな主義主張があって成り立って行くのだ。


 あと必要な事と言えば……


 と、考え込んでいる時だった、遠くからクレスフィズ皇子が駆け込んで来る。

 そんなに慌てて、どうしましたか?

 大変だよ、イースさん、と叫ぶ様に言った後に、


「女王が、アクレイシス女王が仮死状態から戻らなくなったんだよ!」


 などと仰る。


 …………そうだな、うちの嫁さんが問題を起こさない様になってほしいかなあ。

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