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第113階層 パレード

 カーラード王国の旧王都。

 王宮から城門まで続く道を歩くパレード。

 う~ん……無理があったか?


 多くの人が、そのパレードを一目見ようと集まって来た。


 カーラード王国の王都であった場所だと言っても、所詮は弱小国。

 それほどの大きさはない。

 そんな場所に世界中から人が集まって来るので、街は飽和状態。


 屋根の上まで人がギッシリ。


 アレ、家が潰れたりしないかなあ。

 とはいえ、今更どうこうできる状況でもない。

 どうせやるなら、帝国の方でやった方が良かったかもしれない。


 ええ、後の祭りですが。


 溢れた人の列は城壁の外にまで続いている。

 仕方ないのでパレードは少し延長して、城壁の外まで続けるようにした。

 そのために、前日には総出で街の外のモンスター狩りが行われた。


 ついでなので、それを前夜祭にしようと、各国の騎士団にお願いしてみる。


 すると始まる、モンスター狩り競争。

 我が国こそが最強なのだ、と言わんばかりに張り切ってモンスター狩りをなされる皆様。

 なお、最も多くモンスターを狩った騎士団には、ハーキャットさんから戦闘機ドローンが進呈された。


 ちょっとハーキャットさん、先に言っといてよ。


 それをくれるのなら、もうちょっと頑張ったのに。

 カーラード王国もグランサード帝国も、街の警備のために主力は温存していた。

 戦闘機ドローンをいただけた国の面々は、そりゃもう、パレードはすでに始まっているかのような熱狂的な喜びようだった。


 城壁の上にも見物人が大量に集まり、前夜祭としては結構な盛り上がりでございました。


 …………これから毎回、パレードの前日にはモンスター狩りを行うとか言う変な習慣ができなければ良いのだけど。

 なお、戦闘機ドローンをもらえなかった国々からは非難が殺到した。

 そりゃ事前に言ってなかったからね。


 しょうがないね。


 オレも初耳だったんだけど、とは言っても通じまい。

 そこでハーキャットさんにお願いして、もう一個、戦闘機ドローンを用意してもらった。

 パレード終了後に各国の精鋭どうしでトーナメント戦を行い、優勝した国には戦闘機ドローンが進呈される。


 なお、急遽開かれた連邦会議では、我が国を含むすでに所持している国については今回は不参加となった。


 たぶん皆さん、うちのアニキに出てほしくなかったのだと思われる。

 アレだけ規格外だからなあ。

 その実力も以前のアメリカ$ダンジョンの攻略で嫌と言うほど目にされただろうし。


 しかして翌日のパレード、先頭には例の円盤の上に立つハーキャットさんがお目見えされた。


 皆さんに、ファンサのアクションモーションをしながら手を振っている。

 寸分の狂いもない、ループモーションである。

 まあ、気づいている人はいないとは思うけどさ。


 体の周りにはキラキラと光が瞬くエフェクトまで付けている。


 大量のダンジョンコアを寄付頂けて魔力が余っているいる所為か、最近はさまざまな登場の仕方を模索されている。

 前世のゲームでも、各種あるエフェクトはゲームの華でもあった。

 多すぎれば画面が見難いと言う文句も出ていたが、別にモニターで見るのでなければ派手なほうが良いだろう。


「イース様、今回はどんなサプライズがあるのですか、あんまり派手なのは……」


 これだけの人々が混乱したらおおごとになるから止めてくださいと、ファリスさんが言ってくる。

 さすがに今回は何もないぞ。

 そんな時間もなかったし。


 そうは言っても、ファリスさんは疑いの眼差しを止めない。


 そしてそれは起こった。

 一番先頭のハーキャットさんが終点である城門をくぐったその時。

 まるで太陽が隠れたかのように、辺りが薄暗くなる。


 見上げてみると…………巨大なドラゴンが大きな翼を広げて悠然と空に浮かんでいたのだった。


 慌てて戦闘態勢を取ろうする騎士達を、ハーキャットさんの傍にいたアクレイシス女王が止める。

 そして親し気にドラゴンに手を振りながら前に出る。

 その光景に誰もが呆気にとられていたその時、ゆっくりを降りてくる巨大なドラゴン。


 城壁を優にこえるドラゴンが木々をなぎ倒しながら城門の前に降り立つ。


 するとだ、少しずつその姿が小さくなり、最後には人間サイズの人型を模した人形の姿に変わる。

 そう、何を隠そう、アメリカ$ダンジョンの主、メイクィースさんの登場でございました。


「やっぱりサプライズがあったじゃないですか~」


 いや、オレは何も聞いてないよ?


 皇帝陛下のサプライズなんじゃない?

 と思って、グランサード帝国の皇帝陛下に目を向けるも首を振られる。

 まあ、帝国の人じゃメイクィースさんと会話は無理か。


 となると、アクレイシス女王か?

 最近は部屋にこもりがちなので、そんな余裕はなかったと思うのだが。


「ハーたんがパレードの自慢をしていたからね、たぶん来るんじゃないかなあと思ったよ」


 近くによって聞いてみるとそんな事を仰る。

 さすがは女王陛下だ、人々がパニックになる前に動き出す準備もしていたとは抜かりない。

 体調不良を押してパレードの先頭にいたのもその準備だったのか。


「ハハハ、いやその通りだよ、どうだね見直したかね?」


 オレはふと不安を覚える。

 この女王様がそんな普通の事をするとは思えない。

 やはり、体調不良は本当の事なのだろうか。


「なんでそんな疑うような目を向けるの? 私だってやるときはやるんだよ? ちょっとぐらいは株が上がっても良いんじゃね?」


 ますます疑わしい、コイツは、そんな人の目を気にする事なんて……


「人の目と言うより…………君の目、なんだけどね」


 それは一体、どういう意味?

 と、思った時だった、何やら人々から歓声が上がる。

 ふと見てると、ハーキャットさんが小さなドラゴンに乗って街の上を飛び回っている。


 せっかくの見せどころ、メイクィースさんの登場ですっかり注目を奪われて拗ねていたハーキャットさん。


 頭の上に『プンプン!』と怒ったアニメキャラのスタンプを表示させながら詰め寄っていたのだが、どうやら和解が成立した模様。

 小ドラゴンに変身したメイクィースさんに乗って、街の上空を飛びながらファンサしている。

 これなら、パレードを見られなかった人にもサービスになるなと感心していた所、隣の女王陛下が急に気分が悪そうにしてうずくまる。


 慌てて執事さんが駆け寄って、様子を見る。


「陛下…………もしかしてそれは、つわりなのではありませんか?」


 えっ…………?

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