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第108階層

「ならばいっその事、全て公営で賄ってしまえばどうだ?」


 冒険者の減少について、ハーキャットさんと相談していた所、ファミュ将軍がやって来た。

 あいからずハーキャットさんのストーカーを続けているのかなこの将軍。

 とも思ったが、とりあえず地下ダンジョンの日本円回収が滞り始めているのを伝える。


 そこでファミュ将軍が言うには、冒険者などには頼らず、騎士団で対応すれば良いと答える。


「正直に言ってな、このダンジョンの騎士団は他に仕事がないもの事実なのだ」


 そう、地上の小麦畑拡張により、モンスターが寄り付かなくなった。

 他国からの侵略に対する備えも必要ない。

 ダンジョン内での揉め事に対しても、基本各国の警察機構が対応する。


 せっかく日本円ダンジョンで騎士団を結成したものの、やる事と言えば地下で日本円を稼いで来る事ぐらい。


 いや、あんたカーラード王国の将軍でしょ?

 だったら旧王都の防衛だって必要じゃね?

 と、聞けば、そっちは部下に丸投げしている、と仰る。


 もう駄目だなこの将軍。


「この地こそがカーラード王国の王都だ! ならば将軍である私が居ても何も不思議はない!」


 開き直っていますよ。


 いやまあ、そっちは軍部内の話なのでどっちでも良い。

 今更、わがカーラード王国に戦争を吹っ掛けるような国もないだろう。

 それにファミュ将軍が言っている事も一理ある。


 そもそも、最初に冒険者ギルドを断ったのだって、冒険者と言う自由人に頼りきりになるのが怖かったからだ。


 日本円の回収はもはや、国の事業だ。

 だったら公務員に任せれば良い。

 騎士団の趣旨からは少しだけ外れるが、今だってダンジョンに潜っているんだ。


「それほど騎士団の趣旨から外れてもおらぬぞ」


 ふむ?


 聞けば、騎士団のお仕事とはそこに住む人を危険から守る事。

 この世界で言えば、主にモンスターから街を守る。

 後は犯罪者の取り締まり。


 そしてモンスターから守ると言うのは地下のダンジョンからモンスターがあふれる事を防ぐ事もさす。


「放置しているとあふれてくるのですか?」


 ハーキャットさんに聞くと、フルフルと首を振る。

 まあ、うちのダンジョンは転移エレベーターを使わなければ上下に移動が出来ない。

 唯の階段で区切られている他のダンジョンとは違うのだよ。


「そんな事は言わねば分かるまい」


 なるほど、そう言う事にして人を集める訳ですね。


 たとえ騎士団がやるにしても人が集まらなければ意味がない。

 国や日本円ダンジョンを守るため、と言う大義名分がなければ人は集まらない。

 それに日本円を稼ぐという事が日本円ダンジョンを守る事にもつながる。


 あながち間違いでもない、はずだ。


 例の成りたい職業のアンケートでも騎士団ならそこそこ居た。

 ただまあ、実際に騎士団になって、やっている事が冒険者と変わらない、思って辞めて行かないだろうか?

 こう、もう一つ二つぐらい旨味がないとなあ。


「ハーたんが毎日、日替わりコスチュームで慰労に来てくれると言うのはどうだ?」


 それで喜ぶのはあんたぐらいでしょうに。

 ハーたんも嫌そうな顔をしていらっしゃる。

 まあでも行ってらっしゃいの挨拶ぐらいなら良いんじゃない?


 前もやっていただろうし。


 そう思ってハーたんの説得にかかろうとすると、何やら目の前に扉が現れる。

 ふむ……扉の裏に回ってみると唯の壁だ。

 もしかしてコレは……そっと扉を開いてみる。


 その先には――――――大きな庭付きの、ちょっとした豪邸の様な物が建っていた。


 なにこのどこでもド〇、いやまあ、ダンジョンさんなら空間をつなぐぐらい朝飯前なんけど。

 その扉は、ダンジョンにある、どこかの空間とつながっている様だ。

 オレはファミュ将軍と一緒に扉をくぐる。


 扉が消えても困るので、護衛3人はとりあえず扉の前で待機だ。


 ハーキャットさんの方を見ると『クランハウス!』と叫んでいるアニメキャラのスタンプを表示させる。

 なるほど、騎士団に入るといつでもこの施設が利用できますよ、って事ですか。

 確かに、ダンジョンホテルは快適ではあるが、日当たり良好は望むべくもない。


 だが、ここには庭に花も咲いているし、たとえ偽物であっても、太陽の日差しらしきものが射している。


 開放的な空間に、自由にアレンジできるお部屋。

 中にはシャンデリアがぶら下がるアンティーク調の雰囲気の良い建物。

 広大なシアターやら、温泉が源泉らしき大浴場もある。


「これは凄いな、規模はそれほど大きくはないが、1騎士団が保有するなら十分すぎるほどの物だ」


 ファミュ将軍も建物を探索しながら感嘆の声を上げている。


 こんな豪華な建物が騎士団本部として利用できるなら、人もかなり集まるだろう。

 若くてかわいい女性だって、事務員として来てくれる。

 そうすればますます、団員も増えていくだろう。


 ひととおり回って外に出てみると、ハーキャットさんの隣に新しい扉が出現していた。

 それは先ほどの扉よりかなり豪華な仕様となっており、所々に宝石すらちりばめられている。

 出口、という訳じゃないよな?


 ハーキャットさんに視線を移すと『ランクアップ!』と言うアニメキャラのスタンプを表示させる。


 なるほど、騎士団ごとにランクを設定し、貢献度が高くなればより良い、クランハウスが提供されるのか。

 オレはそっとその扉を開いてみる。

 その先には――――――空に浮かぶ、巨大なお城の様な施設が待っていたのだった。

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