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第107階層 国境

 さて、国境を引いて、部屋の移動を始める前にと、ハーキャットさんに相談に来た。


 なんか簡単に部屋を移動出来ないかなと思って。

 ほら、ダンジョンならパズルのように部屋を移動させるのだって朝飯前だろ?

 すると、胸をたたいて任せなさいというモーションアクションを起こすハーキャットさん。


 最近は、あちこちから大量のダンジョンコアを貢がれてご機嫌である、それぐらいのサービスは良いと思ってくれたのかもしれない。


 その翌朝の事だった、各国の王侯貴族が血相を変えてオレの部屋に駆け込んで来た。

 話を聞いてみると、部屋の場所が勝手に変わっているそうだ。

 …………そういや、何時からって決めてなかったな。


 さっそく動いてくれたのかハーキャットさん。


 まずいな、誰にも何も言っていないぞ……オレも知らなかった事にできないだろうか?

 オレは皆さんのお話を、ウンウンと頷きながら聞き、詳しい話をダンジョンに伺って来ると言って部屋を脱出する。

 詳しい話も何も、たぶんオレが原因なんだろうけど。


 ハーキャットさんの居るステーションエリアの中央に行くと、ダンジョンの見取り図の様な物を映したホログラムが出現していた。


 その見取り図はカラフルに色分けされていた。

 色の一つ一つが各国の場所を示すエリアになっている様だ。

 9階はおよそ帝国かあるいは帝国に近い国が集まっている。


 我らカーラード王国は比較的下の方に位置していた。


 これはどういう基準で決めたのかと聞けば『GDP!』と叫んでいるアニメキャラのスタンプを出す。

 なるほど、GDP――――ようは国内総生産という事か。

 そりゃ帝国が一番だろうし、国自体の豊かさで言えばカーラード王国はまだまだ低い。


 アメリカ$ダンジョンがある限り、帝国の順位も不動だろう。


 しかし、どうやって調べたんだそんなモノ。


「GPD? 確か、国がどれだけ儲けたかの基準だったか」


 隣にやってきたアクレイシス女王がそう呟く。


 そういやコイツ、なぜか日本語を理解しているのだったか?

 アクレイシス女王が周りの方々にその仕組みを説明している。

 おい、ちょっと待て、そんな事を言ったら……


「帝国が上層階を独占していると言う事は、それだけ儲かっていると言う事か」

「もともと、このダンジョンはカーラード王国の物だったのに、そのカーラード王国は、こんなに下の方にまでおいやられて……」

「どれだけ帝国はカーラード王国から搾取していると言うのだ!」


 ほら、帝国さんへのヘイトが上昇したでしょ。


 まあ、その分、わがカーラード王国に対しては、同情的な見方がさらに強まった。

 おかげで、この移動がオレの所為だとバレてもそんなに怒られないかもしれない。

 さすがはアクレイシス女王だ。


 これを、無自覚でやっているとしたら、本当に大したもんだゼ。

 いずれコイツが帝国を滅ぼして、世界を統一するんじゃないか?

 その女王陛下は、眠たそうな顔をして言う。


「それじゃあ、私は部屋へ戻るよ、ほんと朝からドアをガンガン叩かれて頭に響ているんだから」

「ふむ……どこか調子が悪いのでしょうか?」

「あ…………いやいや、大丈夫! うん、何でもないから心配いらないからね!」


 何やら怪しいな。


 ファリスさんの方へ視線を向けると、ソッと目を反らす。

 何か知っていそうだが、教えてくれる気はなさそうだ。

 命にかかわる様な病気じゃなさそうだが……


 とりあえず、旧王都に居る執事さんにでもチクっとくかな。


 さて、国境問題が解決した事で、また、別の問題が発生した。

 今回、各国のGDPの順位が公開された事により、より上の階層へ行くために、それぞれの国でいろいろ対策が打ち出され始めた。

 そうなると、産業がより活発になっていくのですよ。


 もちろん、それ自体は大変よろしい事なのですが、産業が発展していくにつれ、ホワイトカラーの仕事も増えていくんです。


 となると、ブルーカラー、そういわゆる3Kという仕事をしたがらない人が増えてくる。

 特にこのダンジョンで勉学に励んでいる子供たちは、優秀な頭脳を持つ精鋭となるだろう。

 そこでちょろっと、将来、成りたい職業のアンケートをとってみたんだ。


 今ならトップに来るのが宇宙飛行士、と言うのは良く分かる。


 その次は研究職、さらには事務職。

 誰も彼も――――――冒険者と書くものは居ない。

 そう、冒険者の減少に歯止めがかからない状況になっているのだ。


 冒険者コースに集まる人が少ないなあとは、常々思っては居たのだが、実際にデータを取ってみると、冒険者コースですら、冒険者を選んでいる子供が少ないこの状況。


 まずいんじゃね?

 この日本円ダンジョンは、地下のダンジョンで回収される日本円で成り立っている。

 基軸通貨も日本円だし、食料品も日本円で買っている。


 いまだ、プラント農園は発見が出来ていない。


 冒険者が居なくなって、誰もダンジョンに潜りませんってなったら運営ができなくなってしまう。

 確かに冒険者なんて3K――――――キツイ・汚い・危険のトップランカーだ。

 夢のある職業であっても、ほとんどの人は、それしかない、と言う現状から始められる。


 それが他に産業ができて、お仕事を選べるような環境になれば、たとえ夢があろうとそんな3Kを選ぼうとする人は少ない。


 特にわが日本円ダンジョンは一攫千金などの夢すらない。

 ランキングで有名になれるとは言っても、上位陣はほぼ不動だ。

 普通の人間で辿り着ける場所とも思えない。


 そりゃ人気、無くなりますよね.

 どうしたものか……

 とりあえず、ハーキャットさんの所へ相談しに行くか。


 冒険者が居なくなって一番困るのはハーキャットさんだろうし。

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