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第104階層

 わが日本円ダンジョンの各部屋にあるモニターには人工衛星から見た地球がいつでも見られるようになっている。


 なので、ここに住んでいる人は地球が丸いと言うのは常識になって来た。

 しかし、日本円ダンジョンに来た事がない人には未だ、天動説がまかり通っている。

 そんな場所にさっそうと現れた写真機。


 お手軽に、素早く、うそがない景色を映し出す。


 当然、人工衛星からみた地球だっていくらでも複写が可能。

 そして、その写真が世界中を駆け巡る訳だ。

 デカルチャーどころの騒ぎではない。


 それでも信用しない人も居れば、わざわざ日本円ダンジョンまで真実を確かめに訪れる人も居る。


 それまで旅行、と言う概念がなかった人々だ。

 今までは、リニアモンスターカーで移動できると言っても、訪れる人はごくわずかだった。

 それが今回の、地球が丸かった事件をきっかけに、旅行をするという楽しみを知ってゆく。


 わがリニアモンスターカーであれば、安全に、短時間で、どこまでも移動が出来る。


 利用する人が増えたのでお値段も下げられる。

 そこで期間限定の無料サービスなんてやったら……

 来るわ来るわ、ジャンジャンと。


 まあ、あまりにも忙しすぎて、帝国の事務員さんが止めてって女王陛下に泣きついて来たそうで、すぐに停止してしまったが。


 それでも一階のステーションエリアでは毎日が満員御礼状態。

 そしてなにやら、そこでけんかしている二つの物体を見かける。


「イース様、アレ、止めなくてよろしいのですか?」

「ま~た、けんかしてら、ダンジョン同士は仲が良くねえのかね」

「周りの人の迷惑になっていますし、どうにかしてください」


 そう、ハーキャットさんとメイクィースさんがそこで喧嘩をしているのであった。


 ハーキャットさんは例の円盤がなければダンジョンの外に出られないが、千年以上生きてきたメイクィースさんはその辺りの制限がないらしい。

 一応、出現するのは円盤の上ではあるが、その円盤がどこにでも出現するから、あまり意味がない。

 そしてメイクィースさん、よく日本円ダンジョンにやって来てはハーキャットさんとけんかをなされている。


 近寄ってみると『ユウジンデ、トバス』と言うメイクィースさんに対し『ダメ!キケン!!』というアニメスタンプを出しているハーキャットさん。


 どうやら、2号機の打ち上げがうまくいっていないらしく、メイクィースさんがいっその事、中に人間を入れて直接操縦させれば、みたいな事を言ってみるようだ。

 ああ、これはあれだな。

 人間は資源、と言ったせいで、資源なら使ってなんぼでしょ、という感じになっているかもしれん。


 確かに中に人間を放りこみゃ、死に物狂いで操縦するだろうし、細かい調整も可能だ。


 とはいえ、生身で宇宙に出れば、まず確実に死ぬぞ?

 いくら資源とはいえ、大切に使ってあげましょうよ。

 という事でオレもメイクィースさんへの説得に回る。


『キョウリョクスルト、イッタ』


 ええ、言いましたけど。


 ううむ……そうだな、どのみち有人飛行は行うんだ、ならば、ロケットの開発と同時に宇宙服や、宇宙でも人の生きられる環境の開発をすれば良い。

 メイクィースさん、何事もまずは、種をまく前に土を耕すべきなのです。

 耕してもいない土の上に種をまいても、立派な作物は育ちません。


『ナラ、ドウスレバイイ』

「そうですね…………ダンジョンの中に疑似的に宇宙空間は作り出せませんか?」


 そう、まずは宇宙に出ても耐えられる素材の開発が必要だ。

 それには宇宙に出なければ分からない。

 ダンジョンなら、それが出来ないかと思い、問いかける。


 メイクィースさんはしばらく考え込んでいたが、


『ムリ、ワカラナイ』


 と、気落ちした表情で答える。

 そこへハーキャットさんが『無重力なら』と言ってフワフワ浮かんでいるアニメキャラのスタンプを表示させる。

 ふむ、無重力か……そういや、天井と地面が逆転すると言う重力を操作している様な罠とかもダンジョンにはあるよね。


 そう思っていた所、体が浮き上がる感触がする。


 周りを見てみると皆さん、少しだけ浮き上がってフワフワと漂っている。

 いやいや、ハーキャットさん、ホテルエリアを無重力にしないでください。

 最初の頃、目指しているのは宇宙船の内部かな? と思った事があったが、本当にそんな感じになってしまう。


 でもコレ、一階のステーションエリアだと良いかもしれない。


 荷物の持ち運びにとても便利そう。

 とりあえず、お試しに一階のステーションエリアだけ残して、後は戻してもらう。

 どうですメイクィースさん、ダンジョンの中に無重力ステージを作られては。


 そこで訓練を行うのです。


 真空状態については機械で作り出せない事はないだろう。

 後は耐寒・耐熱についての素材開発。

 一度、作れればメイクィースさんならコピーは容易じゃないか。


『ムジュウリョクナラ、サギョウモハヤイ』


 そりゃもちろん。


 どうやら前向きに検討してもらえる模様。

 メイクィースさんなら千年間ほど溜め込んだ魔力がある。

 それを使っても良いだろうし、そっちはそんなに急ぐ理由でもない。


 まずは打ち上げの成功率をあげるのが重要だ。


 と、のんき気に考えていたのだが。

 ある日、グランサード帝国の皇帝陛下がオレの部屋に駆け込んできた。

 なんでも、アメリカ$ダンジョン、メイクィースさんのダンジョンの上空に見慣れない物体が浮かんでいると言う。


 …………メイクィースさん、地下じゃなく、地上、それも遥か上空に無重力エリアを作った模様だ。

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