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443話 老害

「っ……!!!」


 マグマのような激情が湧き上がり、始祖竜を殴りつけたくなる。

 ただ、それは自制した。


 相手は神竜を超える存在。

 どうあがいても勝ち目はない。

 ここで突撃しても、無駄に命を散らすだけだ。


 そんなことよりも、今、できることをしないと。


 ユスティーナを助けるには?

 メルクリアを助けるには?

 その方法は……


「……今の話を聞いて思ったことがあるんですが」

「うん? なーに?」

「根本的な話をすると、あなたは、人間と竜が結ばれることに反対なんですね?」

「そだね。簡単にまとめると、そういうことになるかな」

「それは、人間を認めていないから。竜の相手としてふさわしくないから……そうですね?」

「そうだけど……なにが言いたいのかな?」

「あなたの考えが間違っていたら?」

「へぇ」


 始祖竜の目が細くなる。


 明らかに機嫌を損ねてしまっている。

 圧が増して……

 睨まれているだけで気絶してしまいそうだ。


 でも、ここで負けてたまるか。


「自分の考えが絶対的に正しいなんてことはありません。それは、人間も竜も同じだと思います」

「そうかな? 竜は、人間よりも圧倒的に賢いけど?」

「なら、失礼を承知で尋ねますが、あなたは今までに一度も過ちを犯していないと?」

「……」

「自分が絶対的に正しいなんて考えるのは、独裁者のすることです。でも、竜はそんなことはしない。あなたが言うように賢く、そして、柔軟な考えを持つはずです」

「なにが言いたいのかな?」

「俺がユスティーナの相手にふさわしいと証明してみせます」


 始祖竜の目をまっすぐに見て、きっぱりと言い切る。


 ものすごい圧だけど……

 でも、ここで引いたら絶対に説得できない。

 ユスティーナもメルクリアも不幸になってしまう。


 負けてたまるものか。

 二人の未来がかかっているんだ。

 俺は……絶対に勝つ!


「……」

「……」


 視線と視線がぶつかり……

 ややあって、始祖竜がニヤリと笑う。

 同時に圧も消えた。


「おもしろいことを言うね。ただの人間が竜の……しかも、神竜の相手にふさわしいって?」

「はい」

「うーん、言い切るとは。ますます面白い」


 よかった。

 俺の話に興味を持ってくれたみたいだ。


「少しの間……3日くらいでいいので、俺達と一緒に暮らしてくれませんか?」

「うーん?」

「俺とユスティーナが一緒にいるところを見てください。俺達が一緒にいることが最善なんだって、日頃の行動で示してみせます。彼女の相手は俺しかいないって、そう思わせてみせます」

「ずいぶんな自信だね」

「それだけユスティーナのことを愛していますから」


 それと、愛されている自信もある。


「俺達の絆を、その目で確認してください」

「ふむ」


 始祖竜は顎に手をやり、考えるような仕草を取る。


 そのまま数分が経ち……

 視線をこちらに戻した。


「確かに、君の言う通りかも。私は、人間なんて大したことない生き物だと思っているけど……でも、神竜と強い絆を結ぶことができていたのなら、考えを改めないといけないかもしれない」

「それじゃあ……」

「うん、いいよ。その案、乗ってあげる」

「ありがとうございます!」


 よし。

 うまいこと、こちらのフィールドに誘い込むことができた。


 戦闘では絶対に敵わない。

 なら、戦うことができるフィールドに引きずりこむしかない。


「君と神竜の絆……しっかりと確かめさせてもらうからね?」


 始祖竜は、にっこりと笑うのだった。

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◆◇◆ お知らせ ◆◇◆
別の新作を書いてみました。
【堕ちた聖女は復讐の刃を胸に抱く】
こちらも読んでもらえたら嬉しいです。

【ネットゲームのオフ会をしたら小学生がやってきた。事案ですか……?】
こちらもよろしくお願いします。
― 新着の感想 ―
[良い点] 何だか、この分だと最後「試練」と評して始祖竜と戦うことになりそうな予感が・・。 その時はアルトとユスティーナとメルクリアの3匹が揃って戦う・・そんな予感がしますね。 果たして・・。 [一言…
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