436話 ツヤツヤ
「おはよーっ!」
朝。
リビングに一緒に移動すると、ユスティーナはとても元気な挨拶をした。
メルクリアとノルンはまだ寝ていたらしく、ビクリとなりつつ、起きる。
「んぅ……もう朝ぁ……?」
「あうー……」
二人は寝ぼけ眼をこすり……
それから、はて? と小首を傾げる。
「んー? ママ、なんかすごく元気だね」
「そう? そうかなー、えへへ」
「あと、うれしそう」
「あうー」
ユスティーナは、昨日の様子がウソのようにすごい元気になっていた。
理由は……まあ、思い出すことは避けておこう。
「ママ、なんか肌がツヤツヤしているね?」
「そうかな?」
「うん。いつもより美人さん」
「えへへー」
お願いだから、その点については追求しないでくれ。
「でもでも、ママが元気になったみたいでよかった!」
「あうー!」
メルクリアとノルンが笑顔で喜んでくれた。
――――――――――
「……うへへ」
隣を歩くユスティーナは、とてもだらしのない顔をしていた。
時折、なにかを思い出したかのように、ぽーっとした顔をして……
それから頬を染めて、ニヤニヤと笑う。
朝からずっとこんな調子だ。
このまま教室へ行ったら、あれこれと質問攻めに遭うことは間違いない。
「なあ、ユスティーナ」
「なに、アルト?」
「その……もう少し落ち着いてくれないか? そのままだと、私はなにかありました、って言っているようなものだぞ」
「えー、そうかなー。ボク、いつも通りにしているつもりなんだけどなー。えへへ、でも仕方ないよね。だって、ようやくアルトと結ばれたんだもん。顔が勝手ににやけちゃうよー」
「……はぁ」
昨夜のことがバレるのは時間の問題だな。
みんなから色々と問い詰められることは覚悟しておこう。
そうやってため息をこぼした時、
「あら、ユスティーナちゃん」
同じく登校している様子のフレイシアさんと出会った。
なんてタイミングの悪い……
「あうー!」
「こんにちは」
少し後ろを歩いていたノルンとメルクリアが挨拶をする。
二人共、俺達に気を使っていた……
というよりは、ニヤニヤし続けるユスティーナを不気味に思って、距離をとっていたみたいだ。
ちなみに、メルクリアは学院の生徒ではないが、一人のするのも不安なので、特例で一緒にいることを許可してもらった。
「はいはい、ノルンちゃんとメルクリアちゃんもおはよう。ふふ、今日もメルクリアちゃんはかわいいわねー」
「ありがと!」
未来からやってきた俺とユスティーナの娘。
フレイシアさんにも事情は話しているが……
正直、殺されるかな? なんて思っていた。
娘ということは、ユスティーナとそういうことをしたわけで……
「私のユスティーナちゃんを汚したわね!?」と、全力で襲いかかられると思っていた。
ただ、それはそれ。これはこれ。
姪っ子はかわいいらしく、メルクリアの前だとにこにこ笑顔でおとなしい。
ただ……
今。
実際にユスティーナに手を出したことを知られたら、フレイシアさんはどんな反応をするか?
……殺される未来しか見えてこない。
なんていう最悪のタイミングで出会ってしまったのだろう。
「あら?」
フレイシアさんは、ユスティーナを見て怪訝そうな顔に。
さっそくというべきか、妹の様子がおかしいことに気づいたのだろう。
しかし……
俺が思っていたような反応ではなくて、フレイシアさんは真剣な顔で言う。
「ユスティーナちゃん……その影はなに?」




