429話 同族?
「……なるほど」
メルクリアに関することを説明すると、アルマさんは険しい表情に。
未来からやってきた俺達の娘。
そして、ユスティーナの危機。
そんな話を聞かされて、穏やかでいられるわけがない。
……なんて思っていたのだけど。
「初孫は女の子なのね。ふふ、かわいいわ」
「ふわっ」
メルクリアがなでなでされて、赤くなる。
俺達以外の相手だと、ちょっと人見知りしてしまうみたいだ。
とはいえ、素直に頭を撫でられているところを見ると、同じ竜で血族であるアルマさんには、ある程度心を許しているようだ。
とりあえず……
グレイシアさんが気絶したままでよかった。
初孫、なんてことを聞いたらどんな反応をしていたか。
「さて」
小さくつぶやいて、アルマさんの雰囲気が変わる。
鋭く、厳しく。
そして凛とした表情を浮かべた。
「事情は理解しました。とても大変なことになっているようですね」
「信じてくれるんですか……?」
こちらから言い出しておいてなんだけど、わりと荒唐無稽な話だ。
それに、メルクリアが未来からやってきた俺達の娘という証拠はない。
信じてもらうために、色々と説得しないといけない、と思っていたのだけど……
「もちろん、信じますよ。かわいい娘の言うことですし、その娘の彼氏の言葉ですし……」
アルマさんはメルクリアを優しい目で見る。
「竜は血の繋がりを大事にしますからね。その子を見れば、ユスティーナちゃんの血を受け継いでいることはすぐにわかります」
「信じてくれてありがとうございます」
「お礼なんて言わないでください。そもそも、事態はなにも進展していませんからね」
「……そうですね」
アルマさんという強力な味方を得ることができた。
しかし、ユスティーナにかけられた、あるいはこれからかけられるであろう呪いについて、情報はなにも得ていない。
安心するのは早く……
むしろ気を引き締めないといけない。
「呪いについて、なにか心当たりはないでしょうか?」
「確たることは言えませんが……多少なら」
「本当ですか!?」
いきなり当たりを引くことができた?
ついつい興奮してしまう。
「落ち着いてください。犯人がわかったわけではありませんから」
「そうですか……」
「ただ、ある程度の推測を立てることはできます」
アルマさん曰く……
竜に呪いをかけるなんて、普通はできない。
ましてや、ユスティーナは神竜バハムート。
強力な呪術師を百人集めて呪いをかけたとしても、あっさりと跳ね返してしまうとか。
それくらいに、神竜は強力な耐性を持っている。
そんなユスティーナに呪いをかけられるとしたら、それはいったい誰か?
英雄と呼ばれるような、超人的な力を有する人間か。
かつて世界を破壊しようとした魔王、あるいは神か。
それとも……
「……同じ竜なら、可能性はあります」
それだけはあってほしくないという顔をしつつ、アルマさんは苦い顔をして、全ての可能性を提示してみせた。
その可能性は俺も考えていた。
ユスティーナに呪いをかけて、なおかつ、一切気づかれることはない。
そして、最終的に命を奪うように設定する。
そんなことができるのは、同じ竜くらいだろう。
竜が竜を呪う。
そんな事態、あってほしくないのだけど……
個人的な願いで可能性を除外するわけにはいかない。
ありとあらゆる可能性を考えて、絶対に防がないと。
「そうですね……これから時間はありますか?」
「はい、大丈夫です」
「では、少しでかけましょう」




