428話 親、激怒する
俺達はさっそく行動に移ることにした。
まずは情報の共有だ。
それはジニーに頼み、この場にいないグランとテオドール、それとククルに話をしてもらう。
一人で抱え込む必要はない。
巻き込んでしまうのは申しわけないのだけど……
内容が内容なので、みんなの力を借りたい。
アレクシアは、国の上層部に話をしてもらうことに。
五大貴族の彼女なら、周囲に隠しつつ、肝心な部分を上層部に伝えることができるだろう。
もしもユスティーナが死ぬようなことがあれば、同盟が崩壊してしまうかもしれない。
きっと、国も力を貸してくれるはずだ。
そして、俺とユスティーナとノルン。
それとメルクリアは……
「おぉ、ユスティーナ!」
「ユスティーナちゃん!」
竜の住処である山を訪ねると、グレイシアさんとフレイシアさんが笑顔で迎えてくれた。
その対象は俺ではなくて、ユスティーナだ。
「よく来たな、ゆっくりしていくといい。一年くらい。小僧はすぐに帰れ、しっしっ」
「あはは……」
まったく変わっていないところに、妙な安心感を覚えた。
「あうー、あうあう!」
「よしよし、ノルンも元気そうにしているな。娘に来るか?」
「あうー……」
そうじゃない、大事な話がある。
ノルンはそう言いたいみたいだけど、グレイシアさんは、久しぶりに娘と会えたうれしさからか話を聞いてくれない。
こうなったら、少し強引にでも……
ガンッ!!!
「「「……」」」
突然、轟音が響いた。
「こんにちは、いらっしゃい」
砕けたフライパンを手にしたアルマさんが、にこにこ笑顔で迎えてくれた。
その後ろには、気絶して倒れているグレイシアさん。
……気絶しているだけで、死んでいないよな?
フライパンが粉々になるほどの衝撃を頭に受けて……いや、考えるのはやめておこう。
俺はなにも見ていない。
そう決めた。
「今日は遊びに来てくれたのかしら? すぐにお茶とお菓子を用意するわね」
「あ、おかまいなく。というか、その時間ももったいないというか……」
「お母さん、すっごく大事な話があるんだよ。ほら、挨拶して」
「……」
ユスティーナの後ろに隠れていたメルクリアが、ひょこっと顔を出した。
「あら、この子は……」
メルクリアを見て、アルマさんの表情が真面目なものに。
同じ竜……しかも、娘の娘。
一目見て、なにかを感じ取ったのだろう。
「えっと……メルクリア・エルトセルクです。はじめまして、おばあちゃん」
「あら」
最後の一言で色々と察したらしい。
アルマさんは一気に笑顔に。
「あらあらあら。もしかして、そういうこと? 二人共、いつの間に」
「ち、違います! あ、いや。メルクリアが俺達の娘ということは本当なんですけど、ちょっと深い事情があって……」
「娘だとぉっ!!!?」
いつの間にか復活したグレイシアさんが、怒りに瞳を燃やしつつ、俺に詰め寄る。
「貴様っ、かわいいかわいいユスティーナちゃんの……」
そして、途中で白目をむいて倒れた。
その背後には、やはり、砕けたフライパンを手にしたアルマさんが。
さきほどは手加減していたらしく、今回は完全に気絶していた。
「この人には私が後で説明しておくわ。その子について教えてくれますか?」
「は、はい」




