414話 困らせてやろう
男たちがナンパをしたいのか、はたまた、なにか犯罪を企んでいるのか。
どちらにしても、ノルンは話に乗ろうと考えた。
正義感から男たちを成敗してやろう、というわけではない。
男遊びを覚えてやろう、というわけでもない。
よくわからないけど、この男たちについていけば、ノルンに不利益なことが起きる。
なにかしらの事件に巻き込まれるだろう。
そうなれば、アルトとユスティーナはどう思うだろうか?
自分たちが目を離したせいで。
最近、構っていなかったせいで。
……そう思うに違いない。
そして、これからは毎日、ずっと一緒にいてくれるだろう。
そんな計算をして、ノルンは心の中でニヤリと笑う。
その打算はどこで覚えたのか?
誰の影響なのか?
それは謎なのだった。
――――――――――
「ノルン、どこに行ったのかな?」
ユスティーナが心配そうに言う。
ノルンに謝り、一緒に遊ぶために寮へ帰ったのだけど、誰もいない。
制服はクローゼットにしまわれていて、私服が消えていた。
着替えて、一人で街へ出たのだろう。
慌てて俺とユスティーナも私服に着替えて、街へ出た。
そしてノルンを探しているのだけど、なかなか見つからない。
「露天、甘味処、おもちゃ屋……ノルンが立ち寄りそうなところは、だいたい見たな」
「うーん……これのどこかにいると思ったんだけど」
「もしかしたら、入れ違いになっている可能性も……」
「ううん、それはないよ。ボクたち竜は、同族の位置は、なんとなくわかるからね。同じ感じで、残り香みたいなものも感じ取れるから、入れ違いってことないよ」
「なるほど」
ユスティーナが言うのなら、それは確かなのだろう。
「それなら、前、ブルーアイランドでやったように、ノルンの居場所を特定できないか?」
「うーん……あの時も、ちょっと曖昧だったし……あと、なにげに同族が多いから、ちょっと混乱しちゃうんだよね」
ブルーアイランドと違い、王都になれば多くの竜がいる。
そのせいで、前回以上に、ノルンの居場所を突き止められないようだ。
「困ったな。できるだけ早く仲直りをしたいんだけど……」
「空から探してみる? ボクが変身して、アルトが背中に乗るの」
「それはやめておこう……」
以前、どこかで似たような提案をされた記憶があるが……
重ねて言うが、王都だとしても、そんなことをしたらパニックになる。
「なら、どうしよう?」
「そうだな……」
みんなの手を借りてもいいのだけど、それだと大事になってしまう。
それは最後の手段だ。
「ユスティーナって、美術は得意だったよな?」
学院では、戦闘訓練や知識を溜め込むだけではなくて、幅広い教育を行っているため、芸術などの分野の授業をすることもある。
ユスティーナが、とんでもなくハイレベルな風景がを描いていたことを思い出した。
「うん。ボク、絵を描くのって好きだなー。学院に通って、初めての発見だよね」
「なら、ノルンの似顔絵を描いてくれないか? それを使って聞き込みをしてみよう。ノルンは目立つし記憶に残る顔をしているから、どこかでヒットすると思う」
「おー、なるほど!」
ユスティーナは笑顔になり、ビシッとサムズアップをした。
どこで覚えたんだ……?
それから紙とペンを買い、ノルンの似顔絵を描いてもらう。
「こんな感じでどうかな?」
「うん、いいんじゃないか」
風景をそのまま切り取ったかのように精密で、しかも、ノルンの愛らしさがうまく表現されている。
ユスティーナは画家としてやっていけるのではないだろうか?
そう思うほどの見事な出来だった。
「じゃあ、さっそく聞き込みをしてみるか」
「おー!」
そうして、俺たちは聞き込みを開始したのだけど……
「「怪しげな男たちについていった……?」」
得られた情報はとんでもないものだった。




