402話 いきなりの
数日後。
いつものようにユスティーナと一緒に登校する。
クラスメイトたちと挨拶を交わして、自分の席へ。
「アルト、アルトー!」
授業の準備をしていると、ユスティーナが飛んできた。
いつも思うのだけど、彼女はいつ、授業の準備をしているのだろう……?
気がつけば教科書やノートを開いているのだけど、その準備をしたところを見た覚えがない。
竜なので、一瞬で準備ができる特技を持っているのだろうか?
いや、そんな特技、聞いたことないが。
「どうしたんだ?」
「大変だよ!」
普段は、授業が始まるまで、なんてことのない話をする。
ただ、今日のユスティーナは焦ったような顔をしていた。
「さっき、隣のクラスの子から聞いたんだけど、テオドールの様子がおかしいらしいよ」
「テオドールが?」
「なんかこう、ゾンビみたいに生気がないみたい」
気になる話だけど、そろそろ授業が始まる。
「一応、登校はしているんだよな?」
「うん」
「なら、後で様子を見に行こう」
元気がないというのは気になるが……
登校しているのなら、病気とか怪我とか、そういう可能性は低いだろう。
後回しにしても問題ないだろうと判断して、まずは授業を受けることにした。
――――――――――――
昼休み。
テオドールの様子を見に来たのだけど……
「はぁ………………」
テオドールは机に座り、頬杖をついて、ぼーっと窓の外を眺めていた。
弁当を広げるわけでもなく、学食へ向かう様子もない。
ただただ時間が過ぎ去るのを待っているかのように、じっとしていた。
そして、時折、深いため息をこぼす。
「……ね、おかしいでしょ?」
「……確かに、これは異常だな」
なにしろ、先日まで幸せの絶頂にいたのだ。
常に笑顔を振りまいていて、幸せオーラをビシバシと放っていた。
それなのに、この落差はどういうことか?
「おいおい、どうしたんだ?」
声をかけるか迷っていると、空気を読まないグランが前に出た。
バシバシとテオドールの肩を叩きつつ、昼に誘う。
「ほら、昼だぜ。飯を食べに行くぞ」
「……今日は、僕はいいよ」
「なんでだよ? 飯を食べないと力が出ないぞ、だからそんな暗い顔をしているんだろ」
「……違うさ」
「なら、どうしたんだよ。ははーん、もしかしてフラれたな?」
それは、グランなりの場を和ませるための冗談だったのだろう。
「そのようなことはないさ」
「僕と彼女の絆は永遠」
「この前も、二人で……」
なんていう反応を期待していたに違いない。
しかし現実は……
「っ!?」
テオドールがびくりと震えた。
そして、そのままうつむいてしまう。
「……え、マジで?」
予想外の反応に、グランが素の声で疑問を投げかけた。
おい、やめろ。
死体に鞭打つような真似だぞ、それは。
でも、止める前に……
「……ああ」
テオドールは、こくりと頷いたのだった。
あれだけ仲良さそうにしていた二人が別れた?
先日、ダブルデートをしたばかりなのに?
その事実が信じられなくて……
「えええええぇ!?」
俺の代わりに、ユスティーナが驚きに思い切り叫んでいた。




