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151話 明日のための戦いを・その2

 ユスティーナは全身を使い、倒れ込むような感じで拳を振り抜いた。

 それだけの攻撃を受けて、さすがに耐えることはできず、アベルが吹き飛ばされる。


「アルトッ!」

「ああ!」


 今度は、彼女の方から合図が送られる。

 今のうちに同時攻撃をしかけよう、というようなものだろう。


 そんな推測は正しく……

 俺とユスティーナは同時に駆けて、同時にアベルに攻撃をしかける。


「くっ!?」


 アベルの槍をユスティーナが回転蹴りでへし折り……

 無防備になったところで、俺が槍を突き出して、肩を突く。


 見た目は普通の体なのに、肌も竜の鱗並に硬いらしく、刃が通ることはない。

 しかし、衝撃は伝わっているらしく、アベルは苦痛に顔を歪めた。


「このっ……調子に乗るなぁ!!!」


 怒りに吠えるアベルが、素手で殴りかかってくる。

 その力は脅威。

 戦闘技術も申し分ない。


 しかし、よくよく観察してみると、どこか動きがぎこちない。

 拳を途中で止めて、フェイントを織り交ぜればより効果的だろうに、なぜかそれをしない。

 力任せに拳を振り抜くなど、ところどころで荒が目立つ。


 まあ、俺も他人の欠点を指摘できるほど、磨かれた技術を持っているわけではないが……

 そんな俺でも、おや? と首を傾げそうな部分が見られた。


 もしかして……と思い、試しに槍を突いて、薙ぎ払う。

 速度のみを重視して、威力を捨てた連撃だ。


「こんなものっ!」


 アベルは避けることはせず、あえて体で受け止めてみせた。

 ただ……避けないのではなくて、避けられないように見えたのは気の所為だろうか?


 大した攻撃じゃないことを見抜いて、複数の竜の力を得た体で受け止めたのかもしれない。

 でも、そんなことを思ったとして、本気で実行に移すヤツなんているだろうか?

 どんなヤツであれ……むしろ、戦いに慣れている者ほど、刃を恐れるものだ。


 それなのに、アベルは体で受け止めてみせた。

 やはり、避けないのではなくて避けられないと考えた方が自然だ。


 もしかして……力に振り回されて、うまく動けないのか?


 ゼノがノルンの体をのっとった時も、その力を完全に使いこなせないでいた。

 アベルも同じく、竜の心核の力を制御できていないのでは?


 付け入る隙があるとしたら、そこだな。


「ユスティーナ、連携でいこう!」

「りょーかい!」


 こんな時のために、二人で密かに連携攻撃の訓練を積んでおいた。

 今こそ、その成果を見せる時。


 まずは俺が突撃する。

 アベルまでの距離を一気に駆け抜けて……不意を突くように、手前で跳躍。

 上からの強襲をしかける。


「ふざけた真似を!」


 アベルのような人を超えた動きはできないため、ヤツの索敵範囲の外に出ることはできない。

 すぐに迎撃体勢をとられてしまうが、それはそれで問題ない。


「えりゃあああああっ!」


 俺の後ろにユスティーナが続く。

 彼女は右側に回り込み、円を描くようにして距離を詰める。


 アベルの視線が上と右、順に移動する。

 一瞬ではあるが、どちらの対処を優先させるか迷ったみたいだ。


 ただ、その一瞬で十分。

 その迷いが致命傷となる。


「はぁあああああっ!!!」


 すでにリミッターは解除しているが……

 さらにもう一段階、ギアを引き上げる。


 今までが100パーセントの力を使用していたとするならば、次は120パーセントだ。

 限界をさらに超える。

 これが、密かに行っていたユスティーナとの訓練で得た、俺の新しい力。

 名付けるならば、『オーバードライブ』というところか。


「なっ!?」


 突如、俺の動きが加速したことで、アベルに動揺が走る。

 さらなるチャンスが生まれたことで、一気にこちら側が優勢になる。


 槍を構えて、急降下。

 上から下に、叩き潰すような一撃を放つ。

 同時に、横から回り込んだユスティーナが駆け込みながら、飛び蹴りを叩き込む。


「ぐぅっ!?」


 アベルは両手を使い、俺たちの攻撃をガードする。

 しかし、俺の攻撃は予想以上の威力になっているはずだ。

 そのことを証明するように、アベルは苦痛に顔を歪めていた。


 ここまできたら、反撃をする間を与えることなく、一気に畳み掛けるのみだ。

 俺とユスティーナはピタリと呼吸を合わせて、ラッシュを見舞う。

 上、下、左、右。

 斜め上、斜め下、フェイントを織り交ぜて左右から。

 時に真正面の一点突破。

 二人で協力して、ありとあらゆる角度から、ありったけの手数を叩き込んでいく。


 アベルは竜の力を完全に扱いきれていない。

 これだけの攻撃を的確に捌くことはできないはずだ。


 その予想は正しく、あちらこちらに攻撃がヒットする。

 一撃一撃は軽く、大したダメージを与えられないかもしれない。

 しかし、数十、数百と積み重なれば大きなものになる。


「こんなっ……ことで!」


 アベルは、次第に息切れを起こし始める。

 苦痛に顔を歪めるようになり……

 ついには、ガクリと地面に片膝をついてしまう。


 絶好のチャンスだ。

 俺とユスティーナは、あらかじめ示し合わせていたかのように、ほぼほぼ同時に動いた。


「「りゃあああああぁっ!!!」」

「がぁっ!?」


 二人の一撃がアベルを吹き飛ばす。

 確かな手応えを感じた。


 これならば……と期待しつつも、油断はしないように、いつでも動けるように構える。


「これだけの、力が……あるなんて、ね……はぁっ、はぁっ……さすがだね、アルトさん。竜の王女も……予想していた以上の力だよ」


 吹き飛ばされた先で……アベルは立ち上がることもできない様子で、荒い吐息をこぼしていた。

 勝負あった……と、判断していいのだろうか?


「まだ続けるか?」

「……もちろんさ」


 まだまだ終わらない、そう言うように、アベルはニヤリと笑う。

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【堕ちた聖女は復讐の刃を胸に抱く】
こちらも読んでもらえたら嬉しいです。

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