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Dive in the world   作者: 星長晶人
最終章

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90/108

魔神と現実での喧嘩相手

更新再開です。

完結に向けてちびちびと更新していきます。

よろしくお願いいたします。

 リューシンに連れてこられたのは、新フィールドではなく、馴染みある広大な草原だった。どうやらここにリューシンが呼び出したらしい。


「へぇ? 随分懐かしい顔が並んでるじゃねぇかよ」


 俺は先に来ていたヤツらの顔ぶれを見るだけで、戦闘狂故の笑みが浮かんできた。


「俺達からしちゃ、最悪な顔だよ」


 青色の長髪をした青年が眉を寄せて答えた。


「そう言うなよ。こうしてゲームでも出会えたんだ。喧嘩しようぜ?」


 俺は笑って誘う。


「まぁ待てよ、ジーク」

「リューシンの癖に俺を止めるとはいい度胸だな。やっぱお前からいくか」

「俺に対する理不尽が止まらねぇな! まぁ今はいいわ。それより聞きたいんだが、もし全プレイヤー参加の喧嘩祭りがあったとしたら、お前は先にこいつらと戦うか?」


 随分と魅力的な単語が聞こえてきた。全プレイヤー参加の喧嘩なんて、浮かれないヤツはいない。


「戦う」

「戦うのかよ」

「ああ。んで、ここで負けたこいつらがレベル上げしてくれることを祈るな」

「……ああ、そうかよ」


 リューシンは納得したらしく、大きく両腕を広げる。


「じゃあ仕方ないな。皆さん、やっちゃってください!」

「手ぇ出すなよお前らぁ!」


 リューシンが合図すると同時に、俺は構えた。ついてこさせたギルドメンバー達は見ているだけでいい。

 昔喧嘩した目の前のヤツらの強さを、一人残らず肌で感じたかった。


 現実で、俺が不良やってた時に喧嘩した、当時各地方で最強と呼ばれていたヤツら。

 東の青龍、西の白虎、南の朱雀、北の玄武。加えて中央の黄竜、全国旅する麒麟。

 合計六人の強者達だった。


 ……北海道や沖縄まで行って戦ったのが懐かしい。


 最初に戦ったのは青龍だったか。そこで名が知れたところがあるから、俺の踏み台になったと言えば彼だろうか。


 なんにせよ、全力で喧嘩しよう。


 俺はそう決めて、笑みを浮かべたまま全力で六人へと挑んでいった。


 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


「やっぱ強ぇな、てめえら」


 俺は喧嘩が終わった後でにかっと笑って言った。


「……それでも勝てるお前もな」


 全員が死に戻っていった中、リューシンが苦笑して言った。

 勝利は勝利だが、あの六人は連携が甘い。なにせ単独で各地最高と呼ばれるようなヤツらだ。連携なんてしたことがないんだろう。だが敗北して連携を覚えたらどうなるか。

 想像しただけでも背筋がぞくぞくする。


「で、さっきの全プレイヤー参加の喧嘩祭りってのは?」


 喧嘩前の聞き捨てならないセリフを聞き直す。


「それはまぁ、後でのお楽しみだ。お前が楽しめるようにしてやるから、精々今の内にレベル上げとかしとくんだな」

「おう。サンキューな、リューシン」


 久々に心躍る戦いができた。やっぱり喧嘩ってのはこうでなくっちゃと思う。


「お前に礼を言われる筋合いはないな。その時が来たらお前に無力さってもんを教えてやるよ」

「それは楽しみだ」


 リューシンの挑発的な発言を咎めはしない。こいつがなにかを企んでいるだろうことは本人も認めるところだが、こいつの企画が面白いことは長い付き合いの俺もよく知っていた。

 喧嘩祭りとやらもきっと俺の想像以上に楽しくなるだろう。


「ってことでお前ら、ここしばらくはレベル上げに精を出すぞ」

「急にやる気になったわね」

「当たり前だろ? 喧嘩と聞いて盛り上がらないヤツはいない」

「……その理論に当て嵌まらない人の方が多そうだけど」


 シュリナの呆れたような言葉に他も頷いた。なぜだ……。


「まぁいいや。さっさと動くぞ、ギルドマスター命令だ」

「ジークをマスターにしたのは間違いだったかしら」

「今更言っても遅い」


 お前達が俺をギルドマスターに押し上げたのだから。


 とりあえずリューシンに言われるがままレベル上げに勤しむことにした。

 後は装備が自動更新されない俺などの装備品を作り直して強化させるなども行う。


 全プレイヤー参加ということは、多数との戦いを強いられることが多いと思われる。そのため多人数と戦闘しても使えるような力の使い方を考えた。


 俺もソウルイーターとして過去取得した能力を見返してみる。おそらく色々な状況に追い込まれるだろう。その時仲間と協力できるかはわからない。自分の力にしか頼れない瞬間も多く存在するだろう。

 ソウルイーターの利点は得意不得意があまりないことだ。ステータス的には苦手と言えるモノもそれを得意とするモンスターのソウルを使って変化することにより補うことができる。


 攻撃的なステータスだが防御に難ありだからな。硬い鱗を持つモンスターソウルを使用すればある程度カバーできるというわけだ。

 そういう点で魔神ソウルはいくつも形態を持っているのでそれぞれの特色があり使い分けるだけでいいから楽なのだ。とはいえそればかりに頼ってもいられない。魔神ソウルへの対抗策を持ってこられたら打つ手なしとか情けなくてやってられない。


 とりあえずの方針は俺が俺の思うままに戦えるよう準備すること。


 と言っても基本的なゲームプレイヤーと変わりはしない。

 レベルを上げて、新しいモンスターを狩り、自分の欲しい特徴に合わせて装備を新調する。

 RPGで強くなるためにできることなんて限られているしな。特別これをするってのはあんまりなかった。


 とはいえ思いつく限りのことはやっておくべきだ。

 ……俺がこんなに努力と言えそうなことをしたのは初めてかもしれない。

 そんな風にも思える時間を過ごし、遂にその日がやってきた。

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