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Dive in the world   作者: 星長晶人
第四章 魔界大戦争編

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魔神と大魔王、決着

長かった……


タイトル通り、戦争終結です

ただ後日談的なモノがあと一話あります

 ジークと大魔王が互いに多くの者達を背負って、戦っている。


 戦闘は激化し、激突の衝撃だけで地面は抉れ突風が吹き荒れる。


 二人はHPとMPを半分以下に減らし、先のことは考えずぶつかり合う。


 第一回グランドクエストの最終決戦はもうすぐ終わりを迎えそうだった。


「……おらぁ!」


 ジークは乱暴に拳を振るう。お世辞にも綺麗とは言えない喧嘩腰のパンチだった。それでも背負った魂を受け継いだ拳は、重く大魔王の顔面を弾き飛ばす。


「……ぐっ、あぁ!」


 呻きながらも耐え切った大魔王は、ジークの右腕を斬り飛ばす形で怨念に塗れた日本刀を振るう。


「……クソがっ!」


 ジークは吐き捨てながら左拳を大魔王の腹部に突き刺し、右腕が再生するまでの時間を作る。


「……このっ!」


 大魔王は大きく踏み込み、日本刀を握っていない左手でジークの顔面を殴り、吹っ飛ばした。


「……チッ!」


 ジークは舌打ちして、一旦距離を取る。残存HPとMPを確認し、頭の中で出来ることを並べていく。このまま戦っては、二人共が通常状態で戦うことになりかねない。そうなると、最初に拳を受け止められたジークが不利になる。


 それまでに決着させなければならない。


「……おらっ、ビビってんじゃねえよ!」


 本来の口調なのか乱暴に言って、大魔王がジークに突っ込む。


「……ビビってなんかねえよ、クソ野郎!」


 ジークは応えて自ら突っ込み、五メートルもある巨大な鎌を出現させ軽々と振り回す。


「……っ!」


 大魔王は怨念を無数に背負った膂力でも重いと感じる一撃を、日本刀で何とか受けつつ後退する。


 苛立たしげに舌打ちして再度突っ込み、追撃しようとしてきたジークを弾く。巨大な鎌と日本刀で打ち合う二人。とそこで、ジークの手首がポロリと落ちた。


「……なっ」


 大魔王が切り落としたのではない。ジークが自らの意思で切り離したのだ。なくなった手首からは砲口にはついていた。その一部だけが、サイボーグと化していたのだ。


「……くらえ」


 そこから放たれる砲撃。極太のビームといっていいそれが大魔王の身体を包み込む太さで放たれる。


「……ぐおおぉぉ!」


 大魔王は大きくダメージを受けて吹き飛んだ。


「……そのまま、死ね!」


 ジークは手首を戻し巨大な鎌を消して手ぶらとなり、左手に片手剣、右手に薙刀を出現させる。


 両腕は幻想的な虹の光と黒いオーラを纏っており、振り下ろすだけの一撃で途轍もない威力を発揮した。


「……クソ、がぁ!」


 大魔王は両手を捥ぎ取られて呻き、咆哮した。怨恨を背負っているだけなのでルシフェルのように超速再生は行われず、しかし早くに再生した。再生した両腕で落とした日本刀を拾い、ジークに向けて振り上げる形で巨大なドス黒い斬撃を放つ。


「……ぐっ!」


 ジークは疲弊もあり、左に避けたことで右手右脚を切断される。白い炎で右の手足を素早く形成し、左手を突き出して人の顔のような丸い門を出現させ、開く。そこから怨霊が束になって放出され大魔王に向かっていくが、怨念を無数に背負う大魔王にとって、その程度は軽く薙ぎ払えるどころか押し返してジークを切り裂く程であった。


 やっと再生した右脚含めて、両脚をバッサリと切り裂かれる。


「……チッ! バーニング・フェニックス!」


 巨大な魔方陣を展開し、白い炎で出来た巨大な鳥を出現させる。


「……キラーミサイル」


 大魔王は特大のミサイルを魔方陣から放ち、迎撃しようとする。だがジークが受け継いだ魂の中には、このキラーミサイルを単体で破った者がいることを忘れていた。


「……甘えよ、バーカ」


 ニヤリと笑うジーク。フェニックスが、次々に増殖し始めたのだ。


「……なっ!」


 フェニックスは火系統でもかなり上位になる最強種のモンスター。それを模した魔法なのだから、当然の如く強い。それが、無数に増殖したのだ。フェニックスの群れなどという規模ではない。大群がキラーミサイルを呑み込み、それでもまだ多くのフェニックスが残っている。


「……お、おおおぉぉぉぉ!!」


 迫るフェニックスの大群は回避出来る訳もなく、大魔王を呑み込んでいく。


「……」


 ジークは残りのHPとMPを見て、これで終わって欲しいと思った。だがそう簡単に終わる大魔王ではない。巨大なクレーターを作ったフェニックスの大群を、何とか耐え切った大魔王。だが残りのHPはレッドゾーンに入っている。


「……これで、終わりだっ!」


「……嘗めるなぁ!」


 ジークが日本刀を出現させ巨大な斬撃を放つと、同じように日本刀を振るって斬撃を放った大魔王が、ジークの放った斬撃を呑み込み、ジークの身体を真っ二つにした。


「……っ!」


 ジークは一撃死にならなかったことに少しホッとしながら、自分をここまで追い詰めた大魔王の強さにニヤリと笑う。


 大きな高揚感がジークを満たしていく。


「……はっ!」


 声に出して笑う。


「……久し振りにこんな強いヤツと戦えて、うれしいぜ、大魔王」


「……精々今の内に笑っておけ、戦闘狂。もうすぐ世界は俺が支配するんだからなぁ!」


 ニヤリとしたジークに、嫌そうな顔をしたが狂気に似た笑みで返す大魔王。


「……ははっ。いいじゃねえか、全く。このゲーム始めてよかったぜ、大魔王。てめえみたいな強いヤツと戦えて、倒せるんだからなぁ!」


 朗らかに笑うジークだが、言っていることは戦闘狂そのものだ。


「……俺は大魔王だ! てめえ如きに負けるかよ!」


 下半身が再生したジークもHPはレッドゾーンに達していた。


「……これで最後だ。てめえが死ぬか、俺が死ぬかのな」


「……死ぬのはてめえだ!」


 ジークが告げると大魔王は食ってかかるように言い、突っ込んでいく。ジークもそれに応じた。


 絶望と希望は激突し、戦場に大きな衝撃波をを生み出した。


 衝撃波が収まり戦場に巨大なクレーターが出来た。そこには一人の少年が立っていた。


 それがどちらだったのかは、ドス黒い暗雲が流動し晴天となったことが表していた。

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