表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Dive in the world   作者: 星長晶人
第四章 魔界大戦争編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

85/108

魔神と魂と怨恨

二週間の予定でしたが書き上がったので更新します


次は二週間後になる予定です

 数多の殺した者達の怨念を背負った大魔王。


 大魔王に比べると少数だが一人一人の了承を得て希望の魂を背負ったジーク。


 戦場に残った二人が激突する。


「……てめえらの力、俺が受け継いでやるよ!」


 ジークは言って無数の魔方陣を展開し、ディシアの魂からグラディウスを飛ばす。そこから、シアスの魂で増殖させる。さらに、他のプレイヤーだが対象を加速することが出来る代わりに、加速しか使えない加速士のプレイヤーの魂によってそれらの剣を加速させ、銃弾のような速度で無数の剣が大魔王に向かって突き進んでいく。


「……ほざけ!」


 大魔王はジークの言葉に吐き捨てつつ、日本刀を振るってそれらのグラディウスを薙ぎ払った。


「……魂を受け継ぐだと? 戯言をほざくな! その程度の数で俺の軍勢に敵うと思うなよ!」


 大魔王は言ってジークの眼前へ肉薄する。だがジークは大魔王が振るってきた日本刀を、身を翻して回避する。


「……魂ってのはなあ、人の根源だ。魂の姿がそいつのホントの姿だ。てめえみてえに適当に怨念を作ったんじゃねえ。魂を受け継ぐってのは、そいつと一緒に戦うってことだ。てめえのそれはただ自分が戦うために使ってんだよ。そんなヤツに、魂を受け継いだ俺が負けるかよ!」


 ジークは言いながら、続けて振るわれた日本刀を回避し続け、ティアナの魂から漆黒の鎌を二つ持って暗黒を纏わせ、スレイヤの魂により無数の斬撃と化して大魔王に襲いかかる。


「……はっ! 魂なんざ怨念の、俺の軍勢の前では無意味! 死ね!」


 大魔王はそんなジークの言い分を鼻で笑って一蹴し、無数の斬撃を一振りではなかったが数振りだけで相殺する。剣技を得意とする中では屈指のスレイヤが混じっていて、相殺されたというのは驚くべき事態である。


「……無意味なもんかよ!」


 ジークは言って、大魔王と激しい戦闘を繰り広げる。ジークが魔法を放って増殖させれば、大魔王が魔法を放って相殺する。大魔王が全てを薙ぎ払わんばかりの斬撃を放てれば、ジークが魂を組み合わせて弾き返す。


 互角の戦いが続くが、優勢はジークだった。


「……処刑台へ、ようこそ」


 いきなりジークがギロチンに囚われたかと思うと、次の瞬間には大魔王がギロチンに囚われ、首を切り落とされかける。


「……クソがっ!」


 大魔王は吐き捨ててギロチンを破壊し脱出するが、そこに待っていたのはプレイヤーやモンスターらしき者達。精霊や幽霊、英霊など様々な存在が一斉に襲いかかってきた。


「……チッ!」


 大きく舌打ちして、数回で全てを薙ぎ払う大魔王。だが今度は電気椅子に座らされた。


「クソッ! 邪魔くさいんだよ、てめえは!」


 大魔王は怒鳴って電気椅子を破壊し、処刑を免れる。


「……邪魔くさい? バカ言うんじゃねえよ。これはあいつらの魂で、力だ。全員が同じように自分を鍛え、手に入れた力だ。結局んとこ独りで戦ってるてめえに、俺達は負けねえよ」


 優勢の理由は、攻撃の多彩さ。


 大魔王がステータスを途轍もなく上昇させたのに対し、ジークは魂を受け継ぐことでそのプレイヤーのスキルなどを使うことが出来る。武器もコロコロ変わるし、スキルも数多く存在する。だからこそギルドメンバーだけの魂を最初に呼んだのだが。


 スキルやアビリティの効果が、ジークにバレてしまうからだ。それでもと魂を受け継がせた者達の希望を、ジークは背負っていた。


 ジークはわざわざ「俺達」という言葉を使う。それは自分に言い聞かせるためでもあり、独りで戦う哀しい大魔王に聞かせるためでもあった。


 独りで戦っていると思っていた時期が、ジークにもあった。丁度魔神となって出てきた時期、中学生の頃は何でも独りでやろうとしてきた。だがそこにはリューシンがいたり、シアスがいたり、時折カナがいたりして、成り立っていた。


 そう気付いた時に、目が覚めたのだった。


 ああ、自分は独りで戦っているのではないのだと。独りで戦っていると思っていても誰かが近くにいて、何かしらの影響を与えている。


 そして大魔王もそれは、同じだと思った。


 独りよがりで戦っているにも関わらず、大魔王は軍の者から、特に魔王達からは慕われているようだった。なのに何の説明もなしに、殺して怨念を力にしている。理解してないバカの所業だった。


「……てめえに教えてやるよ。真に、協力するってことがどういうことなのかをな」


「……何の話だ。それと、てめえに教えられることなんざ一つもねえ!」


 希望と絶望が激突し、怨念と魂がせめぎ合う。ただっ広い戦場には二人のプレイヤーしかおらず、他の者は魂や怨念となって存在しているのみだ。


 日本刀と五メートルもある巨大な鎌や銃、デッキブラシなどがぶつかり合って、衝撃を撒き散らす。奇抜な職業が混じるDIWで多くの複数のプレイヤーの力を持ったジークは、スキルを組み合わせて大魔王を翻弄し、徐々にHPを減らしていく。対する大魔王もジークのHPを僅かずつだが減らしていて、HPが低めなジークが半分以下になった時、大魔王は三割を切っていた。


 結局の時は、着々と近付いている。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ