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Dive in the world   作者: 星長晶人
第四章 魔界大戦争編

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魔神と堕天使と魔王と

遅れました、すみません

 ……滅茶苦茶やりやがる……!


 ルシフェルはジークが魔剣と聖剣を擦り合わせながら突っ込んでくるのを見て、内心毒づく。


 同じ名前の剣とは言え、相容れぬ魔剣と聖剣。


 もちろん反発し、互いに叩き斬ろうと膨大なエネルギーを生み出す。


 下手をすれば双方が折れてしまう。


「くらえ……!」


 だがジークはその二振りの剣を、上へと振り上げた。


「っ!?」


 反発によって生み出されたエネルギーが全て斬撃となって放たれる。


 ……無茶苦茶だ!


 決して交わることのない黒と白の斬撃が、強大なモノとなってルシフェルを襲う。


 それを魔剣を交差して受けたルシフェルは、魔剣の共鳴による無差別なハズの衝撃に切り裂かれ、魔剣と聖剣の反発による斬撃で傷を負い、地面を抉り勢い衰えず突き進むそれに押され、吹き飛ばされる。


「……おぉ。上手くいくもんだな。方向性を与えられんじゃん」


 ジークはぶっつけ本番で試したそれを見て感嘆の声を上げる。


「……ハッ、ハッ……!」


 ズタボロの状態でなんとか生きているようなルシフェルだったが、みるみる内に治っていき、やがて全快する。


 ……厄介な野郎だ。


 ジークはニヤリと楽しそうな笑みを顔に貼り付けたまま、内心では忌々しそうに舌打ちした。


「……ちょっとは堪えろよ、この野郎!」


 ジークは怒鳴りながらルシフェルに二刀を下げて突っ込んでいく。


「……くそがっ……!」


 ルシフェルは厄介な相手に捕まったと実感しながら、それに応じて駆け出した。


 完全なる漆黒と相反する黒白が、衝突した。


 激化する二人の戦闘から両軍共に距離を取って戦いを繰り広げている。


 ジーク達が見知った顔もいるが、知らない者も当然いる。


 大魔王軍は未だトップである大魔王が出ていないが、連合軍はすでにトップを務めるセイアが出ているのが不安要素ではあるのだが、現状は連合軍優勢だった。


 ソロプレイヤー最強のスレイヤとレフィ、それと虚夢の宴を中心としたトッププレイヤー達が大魔王軍に切り込んでいき、押している。


 それに続く他のプレイヤーも、様々な攻撃で味方を援護している。


 大魔王軍は先頭を走り押せ押せでいくハズだったのだが、サタン、レヴィアタン、ルシフェルの三人をそれぞれが一人に止められ、凄まじい戦いを見せていた。


 そのため押し返すことも出来ず、戦っても押されるばかりで士気は落ち気味である。


 逆に連合軍の士気は高く、勢いがある。


 だが、空に変化が起きた。


 暗雲が割れ、巨大なミサイルが顔を出したのだ。


 空で戦う純白の不死鳥と漆黒の海竜の上ではなく、連合軍後方の上空である。


 視界の端に捉えただけでも否応なく視線を引かれるそれを見て、人々は二つの反応を見せる。


「……何だ、あれ……?」


 正体不明の攻撃に、呆然とそれを見上げる連合軍。


「……おぉ……!」


 感動したような声を上げて明らかに喜ぶ大魔王軍。


 キラーミサイル。爆発の魔法であるが、それは大魔王特有の魔法であった。


 それはゆっくりと、連合軍の後方にある支援部隊へと降りていく。


「……チッ! ぶっ飛ばせ、シアス!」


 ジークは焦ったように舌打ちし、後方に怒号を放った。


「アイシクルボール!」


 それに応えるように、後方でアビリティを唱える声が上がる。


 綺麗な水色の水晶の球が一つ、巨大なキラーミサイルに向かって飛んでいく。


 誰もが直径一メートル程のアイシクルボールとはいえ、巨大すぎるキラーミサイルに太刀打ち出来ないと思ったその時。


「「「……はっ!?」」」


 氷の球体が、二千個程度に増殖した。より詳細にいえば、現在の職業よってレベル×四十個に増殖出来、現在のレベルが五十一のため、二千四十個になる。


 キラーミサイルは増殖した氷の球に凍てつかされる。


「……貫鉄の矢……!」


 さらに、凍りついたキラーミサイルに向けて、一筋の矢が飛ぶ。それももちろん、増殖し、


「「「なっ……!」」」


 キラーミサイルを砕き割った。


「……アンチ・ブレイズ嘗めんなよ、大魔王軍! 後衛チートがいるんだからな!」


 ジークは得意気に言ってルシファーと剣を交える。


「くっ……! ここまでアンチ・ブレイズがやるとは……! 例のヤツらを、呼べぇ!」


 ルシファーは苦々しく叫ぶ。その声に、大魔王軍はビクリ、と肩を震わせた。


「魔戦百人隊、出動!」


 ルシファーの声に合わせ、百個の影が戦場に降り立つ。


 魔戦百人隊とは、大魔王軍の部隊の一つであり、全員が魔王に次ぐ実力者だという。


「……おいおい。何だてめえら、やんのか? ま、こいつぶっ飛ばしてからだけどな。任せたぞ、てめえら。燃えてきたぁ!」


 ジークはピンチを招く部隊が来たというのに嬉しそうに笑うと、吼えた。


 アンチ・ブレイズメンバー対魔王は互角の戦いを見せ、連合軍対大魔王軍は連合軍優勢だったが魔戦百人隊の登場により、トッププレイヤーが出なければ押し返される戦況に陥った。


 乱戦に続く乱戦、混戦に続く混戦。


 第一グランドクエストを意味する戦争は、さらなる激化を見せていく。


 近接戦闘による戦い、それを援護する魔法や遠距離攻撃の嵐がぶつかり合う。


 魔戦百人隊の登場により、連合軍が押し返されている。


 全体的な状況を見れば、明らかに大魔王軍が優勢だった。


 未だ、隠している戦力が多いことが一つの要因である。


「ルシファー、てめえはここで、ぶっ殺す!」


 堕天使の格好をした悪魔が残酷な笑みを浮かべて黒白の剣を振るう。


「……貴様だけには、負けんぞ!」


 漆黒を纏う魔王が怒りを露に二振りの漆黒の剣を振るう。


 両者は激しくぶつかり合い、勝敗が決した時に戦況が傾くだろう力が競り合った。

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