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Dive in the world   作者: 星長晶人
第四章 魔界大戦争編

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魔神とフェニックスvsレヴィアタン

 サタンの登場で士気が上がる大魔王軍と、突っ込んできた人間側主力部隊が激突し、本格的に戦争が開始した。


 先陣突撃部隊が切り開いた道を、さらに押し広げるような形で進んでいく主力部隊。


「「「サンダーレイン!」」」


 雷の雨を降らす魔法を放つのは、大魔王軍にいる一部の雷の悪魔、魔族か、雷系統の魔法が使える者達。


 突っ込んできた主力部隊上空に黒い暗雲が立ち込めると、そこから雷の雨が降り注いだ。


「がっ……!」


「ぐあっ!」


 レベルの低いプレイヤーはその一撃で倒れていく。レベルの高いプレイヤーも立て続けにそれをくらえば無事では済まない。


「この俺が五体満足な状態で、好きにさせると思うな!」


 魔神を纏うジークが、空中からの虐殺を止め、両手から漆黒の波動を放って暗雲を消し飛ばしていく。


「てめえら! 大魔王軍にもっと突っ込め!」


 ジークは続けて叫ぶ。その言葉の真意を理解した者は大魔王軍に突っ込み、理解出来ずにいた者は雷に打たれた。


 ジークの言葉は、雷の雨の範囲外にいけ、と言うことと同義語だった。


 同じギルドメンバーならまだしも、こういう戦争になると、味方にもダメージが与えられる仕様になっている。


 だからこそ、味方の魔法でピンチを呼ぶなどと言うバカな真似をしないために、味方の最前線がギリギリで範囲外になるようにているのだ。


 だからこそ、ジークは乱戦に持ち込み、無差別な魔法を避けさせようとしたのだ。ジークが消し飛ばした暗雲も、主力部隊の真上にあった。


 意外と戦況を見ているようだ。


「そんなまどろっこしいことしないで、一気に吹き飛ばせばいいのよ」


 頼もしい発言をして、


「フェニックス・ドライブ!」


 白い炎で出来た美しい鳥が、暗雲に向かって突っ込んでいく。


 その炎は勢いを増し、激しい光をもたらす。


 カッ! と白いフェニックスが雲に突っ込んでから光が拡散し、暗雲は消し飛んだ。


 暗雲が消し飛び太陽が顔を出すーー訳ではないが、白い炎のフェニックスが神々しく輝いて見えたことには変わりないだろう。


 太陽が出てこないのは、単に魔法によって生み出された雲と自然の天候を左右する雲は違うからである。


「……海竜双牙」


 大魔王軍の一角から、水で出来た手足のない長い竜が二体現れ、天にいる白いフェニックスーーシュリナに向かって昇っていった。


 炎で出来たフェニックスがその炎を消されれば、瞬殺であることぐらい誰でも分かる。だからこそ、避けようとしないシュリナが分からなかった。


 ただ数人、シュリナを信じるアンチ・ブレイズのメンバー以外は。


 バシャッ! と天に昇る勢いのままシュリナに突っ込んでいく海竜二体。


「……炎に水? 常識だけど、甘いわよ」


 ボボッ、と勢いよく炎が燃え盛ると、水は触れた瞬間に蒸発していく。


「そんな水じゃ、私の炎は消せない」


 シュリナは堂々と言って、大魔王軍の一角、海竜が出現した方向に向けて白い炎弾を放った。


「……炎じゃ水は、破れない」


 小さく呟いた声は、何故か周囲に響き渡った。


 白い炎弾は水の壁によって消火される。


 右手を伸ばし、水の壁を展開するのは、漆黒の浴衣を着た美少女。


「……あなたがレヴィアタンね? 話は聞いてるわよ。真の姿、見せなさいよ」


 シュリナはゆっくりと下降し、遥か上空から降りてくる。


「……不要」


 レヴィアタンは呟くと、水で出来た大蛇を八体出現させる。


 大蛇は牙を剥いてシュリナに襲いかかるが、


「……フレイム・フェザー!」


 一度翼を折り畳むと、勢いよく広げ、白い炎の羽根を飛ばす。


 それらは大蛇を蒸発させ、レヴィアタンにまで届こうとする。


「……水壁」


 先程と同じく水の壁を展開してそれらを消火する。


「シュリナ。そいつは任せたぜ。俺はちょっと殺り合いたいヤツがいてな」


 そこに、ジークがシュリナの傍にいき、声をかけて去っていく。何でもない普通のこと。マスターが副マスターに場を任せただけの場面。


「……っ! 何でそんな……!」


 レヴィアタンは顔を俯かせ、ギリッと歯軋りする。


「何でそんなに上司と親しくしてんのおおおおぉぉぉぉぉぉぉ!!」


 どこか切実に聞こえる叫びを上げると、レヴィアタンは怒りを込めた顔でシュリナを睨み、水で自らを包む。


「我、汝の枷を解き放つ! 汝、破滅の水を持つ邪悪な海竜にして、最強の悪魔なり! 我が命に基づき我が身体へと昇華せよ! 我、レヴィアタンの化身なり!」


 シュリナと同じような中二的呪文を唱えたレヴィアタンは、姿を変えていく。


 ただ水色の水だったそれが漆黒に変わっていき、水は量を増していく。それが解けた時にいたのは、人ではなく、化け物。


 手足はなく鱗や背鰭のある竜で、全身は漆黒だ。ズラリと牙が並ぶその怪物を、先程の少女とは同一だと思いたくなくなる程巨大な、とぐろを巻く海竜だった。


「……海竜悪魔レヴィアタン……! けどまあ、私といい勝負ね!」


 シュリナが炎を放ち、


「……あんただけ幸せになるなんて、許さない……!」


 レヴィアタンが水で相殺する。


 ここに、白い炎の不死鳥・フェニックスと、黒い水の海竜・レヴィアタンによる、一騎討ちが始まった。


「……くっくっく。リューシンの言う通りだったな」


 そう言って密かに笑うのは、シュリナの上司であるジークだ。悪戯が成功した子供のような笑顔である。


「……やっぱ、上司と部下が仲良くしてるとこを見るとキレるってのはマジだったか」


 ニヤニヤと笑うジーク。要するに、レヴィアタンが本性を表したのは、全てジークの策略だったようだ。


 ……レヴィアタンは嫉妬を司る魔王。大魔王かルシフェルに好意を抱いてるらしいレヴィアタンに、上司と部下が仲良くしてるとこを見せれば、嫉妬してくれて本性を表すって訳だ。


 ジークはニヤニヤと楽しくなってきた戦争の様子を眺める。


「……さーて。あいつはどこかな?」


 ジークは誰を探しているのかキョロキョロと辺りを見渡した。

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