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Dive in the world   作者: 星長晶人
第三章 大魔王軍の侵略編

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魔神と皆一緒に

「ひゃっほほーい!」


 奇声を上げて小躍りするキモい生物は、眼鏡微ケメンのリューシンだ。


 俺達アンチ・ブレイズのギルドホームが出来た訳なんだが、家具がなかった。


 だから、仕方なく、妥協して、全員で寝ることになった。


 リビングだけは火と水と電気が通っているので、ここで寝ようとリューシンが提案した。


 下心は読めるものの、カリンが最初に賛成すると、次々に女子が賛成し始めた。そして、全員で寝ることが決定した訳だ。

 

 リューシンの狙いを分かっていながら賛成するとか、いいのか?


 俺は疑問を抱かざるを得ないが、とりあえずはリューシンを縛り上げなければ。


「クアナ! リューシンを縛り上げろ!」


 俺が指示すると、クアナが素早くSの方と入れ替わり、リューシンを吊るした。


「ぎゃああぁぁぁぁぁぁ! 何で!? どうして!? これから女の子とのキャッキャウフフな夜が始まる予定だったのに!」


 逆さ吊りじゃないのはクアナなりの優しさか。リューシンはミノムシのように糸に吊られて、悲痛な叫びを上げる。それに取り合うヤツはいなかったが。


「……床に直に寝るのはちょっと抵抗あるわね」


 シュリナがポツリと呟いた。……確かにな。俺はベッド派だが、固い床に寝るのは遠慮したい。いや、俺は結構どこでも寝れたな。一回迷子になった時も野宿したし。


「……」


 俺はある考えが浮かんでチラッとクアナを見る。他のヤツらも俺と同じことを思いついたようで、クアナに視線が集中していた。


「……ま、まさか、そんな訳ないわよね?」


 クアナは俺達が考えていることを察したのか、ひきつった笑みを作る。


「「「編め」」」


 俺達は声を揃って言った。


 そう。俺達がクアナに頼みたいこと、それはーー糸で布団を編むことである。


 クアナの神がかった器用さがあればどうにかなるとは思うんだが。


「む、無理よ。私の糸はほら、ピアノ線みたいな素材だし。人数分なんて作れる訳ないし」


 クアナは珍しく激しく首を振って拒否した。クアナがこうやって取り乱すのって少ないよな。もちろんSの方で。


「……やってくれたらーー」

 

 カリンがゴニョゴニョと何かを耳打ちしていた。何を言ったんだろうか?


 クアナはうんうんと頷いて、継いで顔を真っ赤にした。……ホントに何を吹き込んだんだ?


「……分かったわ。約束よ」


「うん。約束約束」


 クアナは真剣な表情で、カリンはニコニコ笑って約束を交わしていた。……だから何の約束だよ。


「……床全部に敷き詰める敷き布団でいい? 掛け布団はさすがに嫌よ」


 クアナは言って、俺達はそれで十分だと頷く。


 そうして、クアナの敷き布団作りが始まった。


 ▼△▼△▼△▼△▼△


「くっ!」


 俺は悔しげな表情を作る。


「ふふっ。ジークって意外と弱いのね」


 五行を操るシャリアが勝ち誇った顔で告げる。負けたくない俺だが、どうやっても勝てないのだ。呻くしかない。


「何でロイヤルストレートフラッシュなんだよ!」


 俺が自信満々に出したフォーカードは、虚しくやられてしまった。……普通フォーカード出したら勝てるだろ。何でここでロイヤルストレートフラッシュなんだよ。嘗めんな。


 俺達はクアナが敷き布団を編んでいる間、トランプをすることにした。その結果、シャリアがポーカーをしようと言うからカリンと俺とジンオウとシャリアでやって、俺は何故か勝てなかった。


 シャリアが勝ち誇っているが、全勝中だ。……目立たない部類に入るシャリアだが、まさかこんな特技があるとは……。


 次いでカリン、ジンオウ、俺と言う結果が多い。総合順位はこうだろう。


「私の実力、分かってもらえた?」


 シャリアはいつになく上機嫌だ。……言い出しっぺが負けるのはよくあることだが、まさかホントに強いとはな。


「……ねえ」


「「「っ!」」」


 背後から暗い声が聞こえて、俺達はビクッと肩を震わせる。


「……私が一生懸命布団編んでる時に楽しくゲーム?」


 クアナだ。クアナが背後に黒いオーラを漂わせながら暗い笑みを浮かべていた。


「全員首吊りよ!」


 クアナはそう言うと、糸で全員の首を縛ろうとする。


「っと」


 俺はそれを屈んでかわし、事なきを得る。


「糸なら燃えるわよね」


 シュリナは糸を燃やし切って首吊りから逃れる。


「……甘いな」


 カナも俺と同じように屈んで避けた。


 あとのヤツは全員首吊りの刑にされる。


「何で俺まで!?」


 無慈悲にも、身動きが取れないリューシンまでもが首吊りの刑を執行されていた。……ざまぁ。


「……クアナさん、あの約束、なしでいいの?」


「っ!」


 カリンの言葉にクアナは唇を噛み締める。数秒の葛藤の後、カリンを下ろした。


「ありがとっ。ちゃんと約束は守るからねっ」


 カリンは可愛らしく舌を出してウインクする。


「……私は自力れ脱出しますよ」


 呂律の回らない口調でレアが言い、わざと力を抜く。すると、首の糸で首が切れて、生首と胴体別々に落ちてくる。


「「「っ!?」」」


 レアの行動に顔を青ざめるヤツも何人かいた。


「……頭頭」


 眼鏡を落としたヤツぼように首のない胴体が生首を探していた。やがて見つけると頭を元の位置に戻して繋げる。……戦闘中だと死んでるからこういう時にしか使えないよな。


「んじゃ、配置決めるか」


 何人かが死にかけてるのを確認して、そろそろ頃合いかと思って提案する。


 クアナは渋々と言った表情で皆を解放した。


「俺真ん中な。クアナ、リューシンを端に寄せてくれ。邪魔だ」


 クアナは俺の言う通り、リューシンを四隅に寄せる。……いい絵だ。


「私お兄ちゃんと寝るー」


 カリンが敷き布団の真ん中を陣取った俺に抱き着いてきた。……相変わらずの甘えっぷりだ。


「上で寝るのか?」


 頭の後ろで手を組んで寝転がる。馬乗りのようになったカリンに聞いた。


「うんっ。ダメ?」


 カリンが俺に抱き着いて上目遣いしてくる。……別に構わないよな。いくら俺でもこんな大勢の前で理性を飛ばすこともないだろうし。


「……別にいいぞ」


 俺は言って右手で頭を撫でてやる。


「……んんっ。敷き布団を作った私には最初に選ぶ権利があるわよね」

 クアナが咳払いしながら俺の左隣に寝転がる。……折角自由に選べるってのに年頃の男子の隣とは、誘ってるんだろうか、こいつ。


「……姉さんも、来ない?」


 カリンはにっこりと笑って言う。あわあわとした様子で陣地決めの様子を見守っていたカレンにだ。


 ……俺カレンには避けられてるっぽいしな。来ないだろ。


 と俺は思っていたのだが。


「……いいのか?」


 と俺が言ってしまう程あっさりこっちに来て俺の右隣に寝転んだ。


「……うん」


 カレンは恥ずかしそうに頷いて、俺の右腕にギュッと抱き着いてくる。……カレンって結構なボリュームだからな。理性が危うくなりそうだ。


「負けませんから」


 いつの間にか日常モードのクアナに戻っていて、何の対抗心か俺の左腕に抱き着いてきた。……二人共ボリューミーだからな。結構いい。


「ご主人様の横は私の場所のハズなのに!」


 セリアが悔しげに言って俺の足に抱き着く。……何だこいつ。蹴られたいのか?


「幼馴染みとして、私もジークの傍にいるべきよね」


 それに幼馴染みは関係ないと思うが、シアスが俺の頭の方に頭を向けて寝転がる。


 ……結果、俺を中心として、円を描くように女子が並んだ。


 頭の方にシアス、カナ、ティアナ、シュリナ。男共は端に追いやられている。……何だこのハーレム状態。嬉しいけどさ。


 寝苦しくないので、理性が危うくなる前に寝ることにした。

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