表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Dive in the world   作者: 星長晶人
第三章 大魔王軍の侵略編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

50/108

魔神と使い魔術師の実力

「……姉さんなら任せて」


 カリンが意気込んで、隠れるカレンのところへ行く。


 何やら話したり引っ張ったり、カリンが耳元で怪しい笑みを浮かべながらカレンに何かを囁く。


 カレンが驚いたような表情でこっちを見て、渋々木の陰から出てきて、カリンと一緒にこっちまで来る。


 どっちが姉なんだかわからんが、カレンの扱いには慣れてるな。


「……」


 カレンはカリンの後ろに隠れ、オロオロしている。


「ほら、姉さん。ゴブリンの群れ討伐しないと、姉さんだけソロだからね」


「っ!」


 一応そんなことはないが、力試しなので、それくらい言っても問題ないだろう。ってか、カレンにはそれくらい言わないと。


「……やってみる」


 意を決したような顔でカリンの後ろから出て、新たに見つけたゴブリンの群れに向く。


「テディ、来て」


 カレンが言うと、カレンの前の地面に紫の魔方陣が現れ、巨大なテディベアが召喚される。


 所々が破けて綿が出ており、ツギハギも多い。全体は紫で、ツギハギ部分は茶色だ。大きさは二メートルくらいだろう。


 ん? あれって……。


「カレンが現実で大事にしてるテディだよな?」


 俺も直したことがある。紫の布がなくて、茶色で修復しちゃった記憶がある。


「そうだよ。姉さんの職業は使い魔術師。使い魔作って、二回目からは召喚して戦うの」


 へぇ。便利な職業もあったもんだ。


「で、使い魔はぬいぐるみとして姉さんの住む部屋に置かれるの。だから、姉さんはまず最初にテディを作ったんだよ」


 なるほど。ぬいぐるみとして置かれるんだったら、ぬいぐるみとして欲しいモノを作ればいいわけだ。ちょっと怖いが、テディはそれにピッタリだよな。


 テディはゴブリンの群れにドスドスと走っていき、熊のぬいぐるみだけあって腕力が強いのか、その両腕で次々とゴブリンを薙ぎ払っていく。


 発想力は必要なものの、その点カレンは才能があるから問題ない。


 高校では美術部に入り、圧巻の串刺しの刑で全国の銀賞までいった程だ。……ちょっと怖いのがたまに傷だが。


 ちなみに、その時の金賞は、キラキラした絶対的希望みたいな絵だったらしい。


 ……そりゃ負けるわ。片や串刺しの公開処刑の負の塊みたいな絵だぞ? まあ、衝撃的ではあるだろうけど。


「デニ、おいで」


 今度は身体が泥で出来たドロドロの人型のヤツが召喚される。……人形でもいらなくないか?


 デニは泥を滴らせながらゆっくり歩いていき、ゴブリンに襲いかかる。


 泥で攻撃するようだ。


「姉さん、あれは使わないの? 姉さんの使い魔で一番強いの」


 カリンがカレンに言う。一番強いの? どんなだろうか? カレンはぬいぐるみ結構持ってたからな。恐竜みたいなヤツだろうか?


「……でも、あれは」


 カレンは渋る。あまり見せたくないのか?


「使わないとお兄ちゃんに言っちゃうよ、あのこと」


 どのことだよ。俺に何を言うつもりかはわからないが、見てわかる程にカレンが青ざめる。


「……うぅ。来て、ジーク」


 黒髪黒眼に頭に赤い角が生え、尻尾が生え、内側が赤で外側が黒の蝙蝠みたいな翼を持つ、黒のズボンに灰色のパーカーを羽織ったヤツだった。


「って、俺?」


「もちろん、お兄ちゃんがモデルだよ。お兄ちゃんに会った日、男女関係なくボコボコにする姿を見て、悪魔を思い浮かべたんだって」


「……まあ、俺を悪魔にするのは似合うからしゃーない、のか?」


 悪魔のぬいぐるみなんて、あんまいらない気がするが。


「姉さんの中ではお兄ちゃんが一番強いからね」


 だから、使い魔として思いつけるわけか。


 使い魔ジークは飛行して群れに突っ込むと、ゴブリンのエリートもキングも関係なく、楽しそうに笑いながら捻り潰していく。


「……俺、現実でもあんな感じだったか?」


 確かに返り血だらけだが、あそこまで酷かったか?


「「「あんな感じ」」」


 他の四人は頷く。……う~ん。あんな感じじゃないと思うんだが。


「……これで私もギルドに入れてくれる?」


 カレンは俺に聞いてくる。


「ああ。ってか、別に力を見せて欲しかっただけだから、無理に戦わなくてもよかったけどな」


「っ! ……」


 俺が言うと、カレンはジト目でカリンを睨む。


「え、えーっと……」


 カリンは気まずそうに目を逸らす。


「~~~~!」


 カレンはテディ、デニ、ジークを差し向ける。


「ちょっ、姉さん待って! 話し合えばわかるからーーきゃああああぁぁぁぁぁぁ!!」


 カリンは慌てて逃げるが、時既に遅し。


 ……相変わらずだった。


 真反対なようで似た者同士で、カリンがカレンをからかって最後には痛い目に見るのがいつののパターンだった。


「じゃあ、俺とシアスの実力を見せてから、俺のギルドのメンバーを紹介してやるよ」


「俺は!?」


「……じゃ、いくぞ」


 リューシンは無視して、俺の獲物を探しに歩く。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ