魔神と高校での知り合い
予定を早めて、キャラ案をしてくれた三人を登場させます。
かなりそのままですが、案通りかどうかは自信なくてすみません。キャラ案をしてくださった方、ありがとうございます!
まだまだ奇抜な職業だけでも募集しますので、気軽にどうぞ
話の関係で、三話更新します
「ジーク! エリア1に行ったと聞いたが、戻ってきたのか!?」
俺がエリア2に戻ってくると、セイアが詰め寄ってきた。
「ああ。魔王軍は全滅させてきたぞ」
「なっ!? 君達六人だけでか? ……何と言うか、相変わらずデタラメだな」
セイアは驚いて、しかし呆れていた。
そうか? セイアならいけると思うんだが?
「まあ、俺がぶっ壊した街も戻ってたし、エリア1は取り返したってことでいいぜ」
「……そうか。それは何よりだ。それより、ギルドホームを作っているそうだな。良ければ材料を集めようか?」
セイアはお礼のつもりか、そう言ってくる。
「おう、サンキュ。まあ、材料についてはウチの大工に聞いてくれ」
「ああ。確か、ガラドだったな。それにしても、大工は一人なのか? 建築株式会社ファインというギルドが大工の貸し出しをしているらしいぞ? 俺達のギルドホームも建ててもらったんだが、協力要請はしないのか?」
「……あ~。ガラドが言うには、あいつらは大工っつうもんがわかってない、らしい。それに、メンバー全員で作ってて楽しいしな」
「そうか。余計なお世話だったようだな。あれから魔王軍に主だった動きはない。エリア1を取り返されて、何らかの動きはあると思うが」
セイアは総合指揮官としてか、俺に忠告してくる。
「それこそ余計なお世話だ。俺は、誰にも負けねえよ」
俺は笑って言い、ガラドの様子を見に行く。
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「おぉ、早いな。骨組みはオッケーか」
大体の予想図が思い浮かぶ。土台となる一階の床部分が出来ていただけだったが、クアナの協力もあってか、柱と周り、その骨組みが出来ていた。
「私も手伝うわよ? 荷物運びは得意だから」
レイナが言う。パシリ発言ではなく、ポルターガイストを使えば重さ大きさ関係なく運べるってだけだ。
『ジーク! ちょっと来いよ! シアスも連れて、エリア2の大広場に!』
ちょっとテンションが高くてキモいリューシンからの強制通信があった。
「……何の用か言えよ」
何の用か言わなかったリューシンに若干イライラしつつも、シアスに声をかけて、エリア2の大広場に向かう。
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「ここなんだが……」
リューシンの姿が見えん。
エリア2の大広場に来たものの、リューシンが見つけられない。あいつ、モブだからな。人混みに紛れてると、全く分からん。
「おーい。ジーク、シアス」
大広場の中心にある噴水の周りにいたリューシンが手を振って居場所を示す。
……まさか、あんな目立つ場所にいて気付かれないとは。悲しいな。
「よっ。で、何の用だ?」
「へっへっへ。何だと思う?」
「……さっさと言え。噴水に突き落とすぞ」
俺はリューシンの得意気な顔が気にくわなかったので、殴って噴水に落として言う。
「……落としてから言うなよ。うへぇ、びしょびしょだ」
リューシンは文句を言いながら噴水から上がってくる。
「全く。相変わらずなのね、あなた達は」
聞き覚えのある、呆れた声が聞こえた。
「って、委員長!」
現実での俺、リューシン、シアスのいるクラスの、我らが学級委員長だった。正確にはルーム長だが、黒髪ストレートに真面目で眼鏡というキャラなため、委員長と呼ばれている。
「……名前は兎も角、こっちでの職業が委員長だから、否定出来ないのよね」
こっちでの職業が委員長らしい。
「そういや、いつか軽く会ったな。すっかり忘れてたが。真面目な委員長がやるのかと、ビックリしたぜ」
「そう? 私、やることはやってるけど、遊ぶものは遊ぶのよ?」
委員長は何故か制服だった。……委員長だからか。
「ふーん」
意外だな。
「私、盟約城騎士団に所属してるの。まだまだ中心的じゃないけど、委員長の職業は仕切ったりすることで経験値を貰えるから、作戦会議とかには出てるのよ」
結構頑張ってるらしかった。って、セイアんとこか。
「へぇ」
「ここにはいないけど、生徒会長、いるじゃない? こっちでも生徒会長だったらしくて、ギルド凱旋高校生徒会っていうのを作って、生徒会メンバーを集めてるそうよ」
凱旋高校ってのは、現実の俺達の通う高校だ。学校中にグルグルしたもんがいっぱいあるから、初代校長がそう名付けたそうだ。……適当過ぎだろ、おい。
「お兄ちゃん、私のこと、分かる?」
委員長の隣にいる少女が聞いてくる。
背に薙刀を背負った緋袴に白装束の巫女服の小柄な少女だ。茶髪のミニツインに蒼がかった瞳。あんまり歳は離れてないのに幼く見える。
「夏燐、か?」
峰岸夏燐。現実での知り合いだった。
「この中じゃ、カリンだけどね」
笑顔を見せてそう言った。
「ジーク。久し振り、でもないのか?」
カリンの隣にいる美人が声をかけてくる。
黒髪の長いポニーテールに切れ長な黒い瞳。紺の和服を着ていて、腰に日本刀を提げている。大和撫子を体現したような人で、柔らかい喋り方だ。スラリとした長身の巨乳美人で、頭脳明晰、運動神経抜群、家事が得意、唯一虫が苦手というほぼ完璧な人だ。俺の一個年上で、高校のマドンナ的存在だった。
出会いは最悪で、俺が不良やってた頃に戦った。その時でもかなり強かった記憶があるが、結構な死闘だったので覚えてない。
「佳那子先輩じゃないっすか」
柳田佳那子先輩だった。
「こっちではカナというんだよ」
カナの実家は歴史がある剣術の道場をやっててカナはそれの継承者だ。こっちで使えるかは兎も角、実力は折り紙付。
「あのね、お兄ちゃん。遠いけど、あそこに姉さんもいるよ」
カリンが服の裾を引っ張って、指を差す。
「ん?」
カリンの姉さんはあいつしかいないんだが、どこだ?
俺はカリンの指先を追う。
「……相変わらずだな」
俺は苦笑する。
大広場の外、日の当たらない小路に半分隠れ、こっちを見ている美少女がいた。長い黒髪で顔の右半分を完全に隠し、紅い瞳をしている。服装は黒のゆるニットに黒のスカートを履いている。恥ずかしがりやなのか、現実でもあんな感じだった。そーっと後ろから近付くと驚いて固まるが。暗いイメージはあるものの、話せば親しみやすいと思うし、結構可愛いんだがな。
完全な私服っぽかったが、腰に剣、背に弓を背負っていた。……アンバランス!
峰岸華恋だ。
「こっちではカレンだよ」
「なるほど、現実の知り合いで集まったって訳か」
俺は納得がいった。どうやって集まったかは兎も角。
「ああ。ちょっと雑談してから、委員長以外のメンバーで一狩り行こうぜ? 三人はまだギルドに入ってないらしいからな」
リューシンが言って、しばらく現実やここでのことで雑談していた。




