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Dive in the world   作者: 星長晶人
第三章 大魔王軍の侵略編

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魔神とバアル

「バアル、お前の部下はあっさり殺られたぜ?」


 ジークは笑って言う。


「所詮は雑魚だからな、貴様の仲間と同じように」


「あぁ? それ以上俺の仲間を侮辱すんなよ。殺すぞ、雑魚野郎」


 ジークはバアルを睨んで言う。


「魔神ソウル“第二形態セカンド・フォルム”!」


 ジークは臨戦態勢を取る。


「はっ! 虫けらは虫けららしく、地に這いつくばれ!」


 バアルは刀を抜いて突っ込んでくるが、その途中で吹っ飛んだ。


「……何か言ったか?」


 ジークがそれに正面から迎え撃ち、ぶん殴った。


「……雑魚が!」


 バアルが怒りを露にし、紫のオーラを纏う。


「はっ!」


 ジークは笑って、魔力の球をいくつも放つ。


「効くかよ」


 一振りで全てが斬られてしまう。


「ん?」

 

 ジークは、球が色んな方向から斬られているのに気付く。


「……仕方ねえ。魔神ソウル“第三形態サード・フォルム”!」


 ジークは第三形態を使う。


 漆黒の翼が生え、ねじ曲がった漆黒の角が生え、先の尖った漆黒の細い尻尾が生え、全身が漆黒に覆われる。漆黒の長い爪が生え、牙が生え、纏った漆黒が毛のようになる。


 それは最早、魔神というよりも、黒の化け物だった。


「かっ!」


 ジークは翼と跳躍、二つの推進力を使い、バアルとの距離を一気に詰める。


「アスラブレス!」


 そこから至近距離で、漆黒のブレスを放った。


「斬る!」


 バアルが刀を一振りして、ブレスを掻き消すが、そこにはしっかりとバアルの剣が写っていた。


 方向がバラバラな斬撃が。


「……なるほどな。一振りでいくつもの斬撃を放つかもしくは……」


 ジークには他の可能性が頭にあるようだった。


「確かめるっきゃねえな!」


 ジークは拳に漆黒のオーラを纏わせ、近接戦闘に挑む。


「懐に来るとは、バカめ!」


 バアルが刀を一振りするーー前に、ジークが刀を止めた。


「なっ!? ……ふん、バカが!」


 バアルは最初は驚いていたが、すぐにニヤリとする。


「ぐっ!」


 何故か、バアルが刀を振っていないのに、ジークは六回斬られる。


「……そういうことかよ」


 ジークは一旦距離を取り、納得したような笑みを浮かべる。


「……てめえの能力は刀とは別に、見えない刀があるって考えればいいか。別々に攻撃出来るみてえだしな」


「ほう? これを見切ったのはお前が初めてだ。だが、もう一つのネタで終わるだろうがな」


 バアルは一つ種を明かされたというのに、余裕そうな態度を崩さない。


「ネタ? 地中にいる、こいつらのことか、よっ!」


 ジークはおもむろに地面を殴り付け、軽いクレーターを作る。


「っ!」


 そこにいたのは、紫の蟹と紫の蠍。バアルの殺した三人を殺ったのは、こいつらだったということらしい。


「こいつらは最初に出てきただろうが。俺が忘れてるとでも思ったのかよ?」


 ジークはしてやったり、と嫌な笑みを浮かべる。


 片っ端からぶん殴って倒すジークが、敵の観察をするようになったらしい。かなりの成長だ。


「……まあいい。スコル! ラク!」


 バアルは二体に命じ、ジークを襲わせる。


「はっ! 直接来ねえのかよ」


「はっ! 俺が直接殺るまでもない。二体は身体から猛毒を出している。触れただけで、貧弱な人間ごとき、動けなくなる!」


「……忠告どうも」


 ジークは両手に漆黒のモノを溜めていく。


「アスラニードル!」


 それを無数の針にして二体に飛ばす。


「はっ! 堅い殻を持つこいつらに、そんなモノ効く訳がーー」


「ギギィ!」


「グギィ!」


 バアルが嘲笑した時、二体の身体を針が貫いた。


「なっ!?」


「驚くなよ。甲殻系モンスターは弱点魔法で攻撃するか、一気にぶっ壊すか、コツコツ攻撃するか、比較的軟らかい関節部分を狙うか、しかないだろ?」


「……そうか、関節部分……!」


 ジークの放った針の一部は二体の関節に刺さっており、二体は動けない状態になっていた。


「ああ。アスラバースト!」


 ジークは左手を前に出し、漆黒の波動を放ち、二体を倒す。


「っ!」


「さあ、殺ろうぜ? ボコボコにされて、腸ぶちまけて、死ね」


 その数分後。


 内蔵を辺りに散らばらせたバアルの死体が出来上がっていた。


 そのジークの戦い方は凄惨で、近付いたら内蔵引っ張り出す、みたいな戦闘だった。


 そんな中、恐怖で鈍ったバアルをぐちゃぐちゃにして笑うジークは、まさに悪魔と言っていい。


 まあ、魔神だが。

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