昼寝王子と強くない司令塔
二話か三話ぐらいで他の防衛を書きます。
ホーム完成はその後ですね。
「……あ~。ねみぃ」
昼寝王国のマスター、ネストはビーチのベンチに寝転がっていた。
「ご主人様。もう少しで大魔王軍が攻めてくるそうですから、起きていて下さい」
メイド服の巨乳美少女、ミリアが言う。職業は主の傍にいればいる程ステータスが上昇する、ネストの従者。メイド服なのはネストの趣味だったりする。
「ダメよ、ネスト。マスターのあなたが寝てどうするの?」
金髪碧眼のエルフ美少女、昼寝王国副マスターのアマネだ。職業は対象の世話を焼けば焼く程ステータスが上昇する、ネストの世話女房。
「ふふっ。寝たいなら寝ていいのよ?」
妖艶に微笑むダークエルフの美女、ラニア。職業は対象とエロいことをすればする程ステータスが上昇する、ネストの性玩具。
「ネスト。感知結界を張り終えました」
黒髪ポニーテールに紅い瞳の美少女、ユイ。職業は多種多様な結界を張れる、結界術師。
「敵はどうです?」
「もうすぐそこまで来ています。数は六千程ですね。ここを囲むように進軍してきています」
ミリアが問うと、ユイが答える。
「そう多くないわね。各メンバーに戦闘態勢でいるように伝えて。迎え撃つわよ。劣勢になったら退いてもいいしね」
アマネが指示を出すと、てきぱきと動いていく。
「……敵は雑魚のみ」
スッと音もなく黒装束で長い白マフラーを巻き、口許を覆っている美少女、レン。職業は闇に紛れた暗殺者で、今まで特に暗殺をしたことはない。
「偵察ご苦労様。じゃあ、作戦通りに」
「……」
レンはこくん、と頷き、一瞬で消える。空間移動術と言うスキルだ。
そして十分後。
「海から来るのは防ぎようがないのよね」
アマネは言うが、これは作戦の内である。
海だけ警戒を薄くして、ギルドの主要メンバーのいる場所へと直接行けるようにしておく。すると敵は警戒の薄い海からの襲撃を主として、他は陽動にする。
「ご主人様、起きてください。敵がご主人様の眠りを妨げに来ましたよ」
ミリアがすっかり熟睡しているネストの耳元で囁く。
「……ああん?」
と不機嫌そうに目を覚ました。
「あの大魔王軍がご主人様の眠りを妨げに来た者たちです」
「俺を起こしたミリアにはたっぷりお仕置きするとして、あいつらは殺すしかねえな。ミリア」
物騒なことを言って、ミリアから自分の愛用する武器、自分の身長程もの大きさのある大剣を受け取る。
「ーー俺の眠りを妨げるヤツは、何人たりとも生かさん!」
ブ……ン、と刃に灰色のオーラが集束する。
「死ねぇ!」
豪快に、大剣を一振りした。
衝撃と轟音が巻き起こり、大魔王軍は一網打尽にされる。
昼寝王国マスター、ネスト。職業は昼寝王子。寝起きのステータスがかなり上昇する。
「……眠い」
こてっ、とミリアの膝に倒れるように寝る。
「じゃ、残党狩りに行くわよ」
アマネの計算通りにいき、大魔王軍は昼寝王国に敗北を喫した。
昼寝王国のメンバーはネスト以外全員女のハーレムギルドだが、規模は大きい。ネストを主、所有者とする五人と特別力の強い七人が主要メンバーで、構成員は百を越える。
LORD、盟約城騎士団、虚夢の宴に男が多い分、アンチ・ブレイズや昼寝王国の女率が高くても、普通なのだ。
▼△▼△▼△▼△▼△
「いや、レギオンはあんまり期待されてないね」
レギオンのマスター、リンクは苦笑して言う。
自分達も一応はトップギルドなのに、街が三つしかないエリアを任された。
「まあ、個人が強いギルドではありませんから」
眼鏡ポニーテールの美女、レーニャ。職業は秘書。ちなみにリーニャの実の姉だ。
レギオンは文字通り、軍隊だ。偵察部隊、工作部隊、諜報部隊、騎士部隊、魔法部隊、回復部隊など。職業に合った部隊に就き、行動している適材適所のギルドだ。
男女比率は半々と言った所で、滅茶苦茶に強い者はいない。むしろ、マスターが一番弱いギルドだ。
「敵は?」
リンクが虚空に尋ねると、黒装束を来た男女数人が姿を現す。暗殺部隊だ。
「数は五千程。陽動もなく、正面から来ます」
「じゃあ、配置につくように伝達しといて」
リンクが言うと、暗殺部隊は残像を残して去った。
リンクの職業は司令塔。レギオンの構成員、総勢七百人を指揮する、しかし自らの戦闘力は僅かしかないマスター。
相手が何倍の軍だろうが、ひっくり返すのが彼と秘書のレーニャ、参謀のギオンの三人の役目である。
圧倒的に、いつも通り、罠に嵌め、引き潮と満ち潮のように大魔王軍を振り回し。
普通に勝利を納めた。




