悪魔と変人テイマー
「あなたがモンスター達を狩ってる不届き者ね!」
集会所に一旦メンバーを集め、今回の作戦を伝えてる最中だった。
入ってきた金髪眼鏡ポニーテールの女が俺に話しかけてきた。
「あん?」
俺はとりあえず睨んでおく。
「その獰猛な目付き! 人殺しの目よ!」
だが、女は怯まずに言った。
「……第一印象は変人だな」
俺の勘がそう告げている。
「で、俺に何の用だ?」
「あなたにモンスター達を狩るのを止めてもらいに来たの」
「「「……」」」
おかしいんじゃねえの? それが俺達全員の頭の中の声だった。
「今、何レベだ?」
「40よ。私はモンスターを殺したことがないわ」
女は胸を張って言う。
「……職業は?」
「ビーストテイマーよ」
案外普通の職業だな。
「そいつらがテイムモンスターか?」
俺は顎でそいつらを指す。
「そうよ! ウリとファルとユザよ!」
ウリは頭に乗っている茶毛のちっちゃい猪。
ファルは右肩にいる白いファルコン。
ユザは左肩にいる赤くちっちゃいドラゴン。尻尾が長く、翼がでかい。
「……ちっちゃいな」
大きくなるんだろうか。
「可愛いでしょ。まだこの子達しかいないけど、後々は動物園を開けるくらいに増やすわ!」
……頑張って。
「最低だな」
「何がよ?」
「……お前、そいつらにモンスターを殺させてるんだろ? それで自分はモンスターを殺さないなんて、よく言えたもんだな」
「っ……!」
ショックで目を見開く。
「……で、何の用だ、偽善者」
「……すみません。私も同類でした。ギルドに入れてください」
「……ギルドに入りたくて来たのか?」
「まあ、そうよ。メンバーを更正して入ろうと思ったけど。だって、難職からチートになったんでしょ?」
難職だと思ってたが、チートだったってことか。
「ステータスを見て」
女はステータスウインドウを出す。
名前:リーニャ
職業:ビーストテイマー
種族:ホビット
レベル:40
HP 4
MP 4000
STR 2
DEF 1
AGI 3
DEX 13
INT 7
MDF 4
VIT 20
LUK 44030
振り分けポイント残数:0
装備割愛
スキル割愛
ビーストテイマー:ただのビーストテイマーではない。特殊で強いモンスターしかテイム出来ない。変人テイマーとも言う。本人は全く強くない。
名前:ウリ
種族:ファイブスターボニー
レベル:40
名前:ファル
種族:ガトリングファルコン
レベル:40
名前:ユザ
種族:ユグドラシルエグザドラゴン
レベル:40
……こいつよえぇ!
「モンスターは強すぎだろ」
横から覗くリューシンが言う。
「確かにな」
モンスターだけあって、でたらめな強さだ。特にユザがヤバい。
「よしっ。ギルド加入を許可する」
強いんだか弱いんだか微妙なヤツが多いからな。
「んじゃ、早速エリア2に行こうぜ。担当を分担しねえと」
新たなメンバーを加えて、エリア2へと向かった。
▼△▼△▼△▼△
「……街の数は27か。俺達は13。二個の街を分担しても、一個余るな」
「ジークやればいいわ。それと、もし担当の街が同時に襲われたらどうするの?」
「……片方を瞬殺してくれ」
分身は使えないからな。
「しょうがないわね。じゃあ、分担はどうする?」
「俺はここ三つにする。あとは勝手に決めてくれ」
「適当ね。なるべく近い街がいいから、それを考えて選んで」
シュリナの指示で動く皆。……マスター交代した方が良くね?
▼△▼△▼△▼△
「……来たか」
いきなり当たりだった。俺の防衛する街の近くの森に潜んでいる軍団。
俺は悪魔ソウル“アークデーモン”を使って空を飛んでいる。
「一瞬で消し飛ばすか」
相手はキョロキョロしているが、こっちには気付いていない。
「アークブラスト!」
両手から雷と闇の波動を放ち、隠れていたヤツらを一掃する。
「……もっと大軍で来ねえかな」
面白くない。
『ジーク! クアナ、シアス、リーニャのとこに三ヶ所同時攻撃だ! 他のヤツらは足止めをくらってる! お前は大丈夫だろ!?』
「誰に向かって言ってんだよ。任せろ」
リューシンからの強制通信に答え、俺はまずリーニャのとこに向かった。
▼△▼△▼△
「……善戦してんな」
そこに俺の知るモンスターはいなかった。
ウリは全長五メートル程の巨大猪になっていて、茶毛に黄色い星の模様がいくつかあった。
ファルは全長四メートル程の巨大な白いファルコンになっていて、翼にガトリングを装備している。
ユザは全長六メートル程の巨大な銀翼に長い尾のドラゴンになっていて、全身は紅く両手に黒い銃を一丁ずつ持っている。
「……強いな」
ウリは隕石を降らせ、ファルはガトリングで一掃し、ユザは滑空しながら銃を撃ったりブレスを吐いたり。
瞬く間に敵軍は全滅した。
『ジーク! 三ヶ所同時攻撃は囮だ! お前を他の場所へ行かせる作戦だったらしい!』
リューシンから強制通信が来る。
「……リューシン。あとは俺に任せろ。他のヤツは来させるなよ」
俺はそれだけ言って、配置に戻っていく。




