悪魔と女王
※Infinite Abilities Onlineをお読みの皆様へ。
先にそちらの最新話を読んでからこちらをお読みください。
「ん?」
俺は転移とやらが終わると、馴染み深い場所に来ていた。
「……てか、そんなに転移してねえな」
広大な草原だ。そこにプレイヤーがぎっしり。
「もしかしたら、百万人のプレイヤー全員とか?」
膨大な数がいるから、有り得る。
『ヤッホー! Dive in the worldのプレイヤーの皆、元気かい? 元気だよね!』
ーーと、上空に巨大な幼い女の子が姿を現した。
「あん?」
誰だ?
『私は“乗っ取り女王”こと、クイーンちゃんだよ!』
「「「っ!?」」」
プレイヤーの大半が驚きに目を見開く。
それもそうだ。“乗っ取り女王”の名は、誰でも知っている。Infinite Abilities Online。世界初のVRMMORPGをハッキングしてデスゲームにした、あいつだ。
「こ、このゲームもデスゲームにするのか!?」
「いやだ!」
どこからか、声が聞こえてくる。……プレイヤーの恐怖を煽るために、声が全員に聞こえるようになってやがるな。
『私は全百万人のプレイヤー全員のログインを確認したからハッキングしたんだよ! まあ、リューヤくんみたいなのが出てくると厄介だから、ログアウト不可までだけど!』
ログアウト不可? デスゲームじゃないのか。
「ふざけるな! 俺達を現実に返せ!」
「そうよそうよ!」
口々にブーイングする。
「くそっ! 出せよ!」
リューシンもその一人だった。
「ははははっ! ははははっ! はははははははははははははははははっ!!」
その中で一人、大声で笑ったヤツがいた。
俺だ。
『何笑ってるの? もしかして、気がおかしくなっちゃった?』
いや、ないないとメンバーが手を振る。
「なわけねえだろ、ババア! ログアウト不可? ぬるすぎる! 死なねえ世界なんざ、ぬるすぎんだよ!」
俺は楽しそうに笑いながら言う。いつのまにか辺りは静まっていた。
「何ならデスゲームにしてくれりゃあ良かったのによ! だが、これで好きなだけ戦えるってもんだぜ! その点だけは感謝してやるよ、ババア!」
『さっきから黙って聞いてればババアババアって、どう見てもピッチピチでしょ!』
「はっ! 若作りだろ、どうせ!」
『……いい加減にしろ、ゴミ。これ以上怒らせるな』
クイーンの雰囲気が一変、冷たいものに変わる。全ての人間を下に見たような、そんな雰囲気に。
「……そんな表情も出来るんじゃねえかよ!」
『黙れ。殺すぞ?』
本当にそう出来るという、濃い殺気を放ってくる。
「はっ! やればいい! ただ、てめえが面白くなかったとがっかりすることになるだけだ!」
『……』
「……ってか、遊び半分で人殺すなよ。殺すぞ?』
クイーンの殺気を塗り潰して、消す。
『っ!』
クイーンの表情が怯えのものに変わる。
『わ、私がゴミに怯えるなんて!』
「いいから、何でてめえがここにいんのか答えろ」
『っ~~~!』
クイーンは完全に怯えた表情をする。
『……このゲームをログアウト不可にして、グランドクエストの説明をするため。グランドクエストはこの百万人のプレイヤーの内三十万人を倒す『大魔王軍の侵略』。プレイヤー同士を戦わせるためのクエスト。大魔王を討伐したらクリア。人間の拠点、キャピタルシティを大魔王軍が征服したら失敗』
なるほど。
『……ま、ジークくんはお気に入りしてあげるよ! 戦闘狂なのがたまに傷だけど、顔が好みだよ! じゃねっ!』
結局元のテンションに戻って、消えた。
「……よしっ。これでオッケー」
再び転移の光に包まれながら、俺はガッツポーズした。
ーーーーシステムよりメッセージ。デスペナルティが追加されます。死ぬと経験値が初期値になり、レベルが1無条件で下がり、装備がランダムでドロップされます。なお、職業限定装備の場合は所持アイテムがランダムでドロップされます。
「え?」
その時、俺の右後ろにいた不死鳥の副マスターが驚きの声を上げていた。
大魔王軍編開始です。
例のあの人はInfinite Abilities Onlineを読むとわかりやすいですよ。
これで、Infinite Abilities Onlineの進行を気にせず更新出来ます。
ではでは、またの機会に。
大魔王軍の数を増やしました。




