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Dive in the world   作者: 星長晶人
第二章 ゴブリン帝国編

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悪魔とオーガゴブリン決着

少し短めです

「首吊り♪」


 クアナは上機嫌でオーガゴブリンを吊るす。


 オーガゴブリンの皮膚は意外と硬く、今のクアナではスパッと綺麗に切れない。


「……もうモンスターを一々苛めてる暇はなさそうだから、こうやってじっくり殺してあげるわ」


 オーガゴブリンは吊るされたまま、首に巻かれた糸を外そうとする。だが、本来は切れ味抜群の細い糸を掴めるハズもなく、じたばたと動くだけだった。動いて悪化したのか、HPがぐんぐん減っていく。


「ーーっ!」


 その内、オーガゴブリンは声にならない断末魔を上げて事切れた。


「グガァ!」


 オーガゴブリンの拳が振るわれる。


「はっ!」


 気合いの声と共に、レアが拳を振るい、両者の拳が激突する。


 グシャッという生々しい音をたてて潰れたのはどちらの手か。


「グガァ!」


「あれ?」


 ……両者である。オーガゴブリンはレアの繰り出された拳の威力によって。レアはオーガゴブリンの皮膚の硬さによる反動によって。


「あー、一応剣交えた時もダメージ扱いになるんれしたね」


 レアは大して痛みもなさそうに言う。


 ……ゾンビだからか。


「……まあ、関係ないんれすけど」


 そして、踏み込んで一気に距離を詰める。


「グガアアァ!」


 レアが拳を振るい、オーガゴブリンの腹を捕らえると、十数メートル先の壁まで吹っ飛び、壁に激突して消失した。


「ふん!」


 ガラドが木の板を振るう。


「ガッ!」


 オーガゴブリンは両腕でガードしながら、宙に打ち上げられる。


「ホームラン」


 ガラドは力一杯木の板を握りしめ、右利きバッターの構えを取る。


「ギガッ!」


 オーガゴブリンは宙で身動きが取れず、ただ落ちてくる。


「ふんっ!」


 タイミングを合わせて、木の板を振る。木の板は見事に直撃して吹っ飛んでくかと思ったが、ポリゴン体となって砕け散った。


「……」


 アレンシアは薄ら笑いを浮かべて扇子を振るっていく。


 扇子は自身の切断能力の他に斬撃を飛ばすことも出来るようで、今は後者だ。


 扇子による斬撃で浅い切り傷が全身に出来ていくオーガゴブリン。……休まぬ怒濤の攻撃にオーガゴブリンは近づけていない。


「……いいぃ」


 やや頬が赤くなり始めた。


「紙吹雪」


 呟くと、アレンシアの周りに紙吹雪が舞う。


「……」


 扇子を口元に当てて、バッとオーガゴブリンを指すと、紙吹雪が一斉にオーガゴブリンに向かって飛んでいった。


「グガッ!?」


 例えるなら、小さな飛ぶ斬撃か。一枚一枚が刃となってオーガゴブリンの全身を切り刻んだ。


「……ふふっ」


 オーガゴブリンが消滅してアレンシアは微笑む。


 クアナは苛めることに快楽を得るが、アレンシアは殺すことに快楽を得るんだろうか。


「はっ!」


 クレイスは騎士剣を振るう。


「グッ!」


 オーガゴブリンは後方に飛び退きつつもガードする。


「浅いか!」


 それにいち早く気付いたクレイスは追撃のために踏み込んで、


「一閃」


 横薙ぎに剣を振るった。


「ガァッ!」


 オーガゴブリンは呻くが、そこまでのダメージはない。


「……騎士閃光!」


 クレイスの持つ騎士剣が光輝き、光速で三回斬った。


「ガ……」


 小さく声を漏らして、オーガゴブリンは砕け散った。


 ーー戻ってジーク視点。


「おぉ、皆やるな。予定通り倒してんじゃん」


 俺は皆を見渡して言う。


「当たり前だ。それより、あれがジェネラルゴブリンとかいうヤツか?」


 リューシンが俺の後ろの虚空を指差して言う。


「……おいおい」


 俺は振り向いて見て、半笑いになって呆れた。


「そうだ。あれが我が軍を苦しめたジェネラルゴブリンだ」


 クレイスが少し苦々しい顔をして言う。


 ジェネラルゴブリンというらしいそいつは、全長五メートル程の巨大なゴブリンだった。しっかり金属製の鎧を着込んでいて、左手に盾、右手に剣を持っている。


「さて、十二人でやれば何とかなるだろ」


「……十二人で何とかなるって、お前にしては弱気だな」


 リューシンが前に出て俺に並ぶ。


「いつも通り、圧倒的にボコボコにしてやろうぜ」


「……ああ!」


 頼もしい限りだぜ、お前ら。


「っしゃ! じゃあ、やってやろうか!」


「「「おう/ええ/はい/ああ/……ん!」」」


 各々好きなように返事をして、ジェネラルゴブリンと対峙した。

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