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Dive in the world   作者: 星長晶人
第一章 仲間集め編

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悪魔と虐殺デート

「ちーっす」


 あらかじめ決めておいた集合場所に行くと、もう皆集まっていた。まあ、ギルド集会所だが。


「遅いぞ。ギルドマスターが一番遅いって何だよ。シュリナは一番に来てたぞ」


 そうか、さすが副マスター。頼りになるぅ。


「クエスト完了したぞ」


 受付嬢のところにいって報告する。


「クエスト報告ですね。……はい、確かにクリアしていますね。報酬として、1000Gが配られます。……あなた方の腕を見込んでお願いがあるんですが」


「何だ?」


「個人的で申し訳ないんですが、こちらのクエストを三日連続で受けてくれませんか?」


 ゴブリンの群れ一日で二十回討伐か、いいな。


「これならいいぞ。この程度なら、一日に五回は受けられる」


「そうですか? では、一気に五回分を受注させますので、今日中にクリアして私のところに来ていただけませんか?」


「わかった」


「事情、聞かないんですね」


「まあな。人には聞かれたくない事情だってあるしな。あんまり人の事情は探らないようにしてるんだ」


「ふふっ。そうですか。面白い方ですね。まあ、いずれお話しますので」


 何故か、受付嬢と仲良くなった。


「じゃあな」


 とりあえず、メンバーにこのことを伝えるか。


「皆、聞いてくれ」


 真剣な顔をして話しかける。


「ゴブリンの群れを一日で二十回討伐するクエスト、五回分受けた」


「「「はあ?」」」


「一人で十回討伐する計算だな」


「……期限は?」


「今日中」


「……後先考えないで受けたわね」


 シュリナが呆れ顔で言う。


「何言ってんだか。このメンバーなら大丈夫だろ」


「……受けたものは仕方ないわ。けど、一人十回は効率が悪いわ。二人一組で、二十回討伐するのはどう?」


 いいな。グッドアイディア。


「ペアはどうする?」


 どうやって決めようか。


「じゃんけんとか?」


 リューシンが適当に提案する。無難な考えだが、一人だけ、反対する者がいた。


「駄目、絶対」


 別に薬物乱用防止ポスターみたいに言わなくていいけどな。


「何でだ?」


「リューシンとだけはなりたくないから」


「なるほどな。わかるぜ、その気持ち」


 LUK低いからじゃんけん負けるだろうしな、ティアナ。


「わかるな! そして俺の扱い酷っ!」


「でも、五人に別れて、それぞれの勝った順で組めばいいだろ」


「……それならいい」


 けど、俺はクアナと組んだ方がいいんだよな。


「じゃあ、ここで分けるか」


 俺、リューシン、シュリナ、ティアナ、ジンオウ。


 ディシア、シャリア、クアナ、レア、ガラド。


「じゃんけん、ぽいっ」


 おぉ、一発で俺が勝った。


 それで、結果。


 俺、クアナペア。じゃんけん一位。


 ガラド、ジンオウペア。じゃんけん二位。


 シュリナ、シャリアペア。じゃんけん三位。


 ティアナ、レアペア。じゃんけん四位。


 リューシン、ディシアペア。じゃんけん五位。


「また、似たようなヤツが組んだな」


 面白い組み合わせだ。


「ジークが命名すると?」


「戦闘ドSペア。筋肉隆々ペア。しっかり者ペア。ホラーペア。俺の黒歴史知ってるペア」


「……自分がドSだって言うんだ」


「まあ、中学ん時は荒れてたからな。それを知ってる男子二人、と」


「くそっ。何でジークばっかり! 俺だってクアナちゃんと組みたいのに! 最低限女子が良かったのに!」


 ……止めとけ。ガチでキモいぞ。


「とりあえず、協力して今日中にゴブリンの群れを二十回討伐してこい。出来なかったメガネはクビな」


「俺だけか!」


「お前、こうでも言わねえとちゃんとやらないだろ」


 やらないとお前の評価が下がる一方だぞ。


「わかったよ、ちゃんとやるから」


「そうか。なら、行くぞ、皆」


 言って、皆で広大な草原まで行く。


 ▼△▼△▼△


「ジーク、さん」


「ジークでいいぞ。で、何だ?」


「あのじゃんけん、どうして私と組みたいって思ったんですか?」


 何で知ってんだよ。


「あの、じゃんけんとかの確率だと、意志の強さとシンクロでペアが決まるんです。ペアを作る時、二人が互いになりたいって思えば、なる確率が高くなります。LUKの高さがないと確率は低いですけど」


 なるほどな。


「だから、俺がクアナとなりたいって思ったのと、ガラドとジンオウは気が合いそうだから組めたんだろうし、ティアナはLUKの高いレアになれて、多分、ディシアはリューシンに俺の昔話でも聞きたかったんだろうな」


 シュリナとシャリアは余りもんだ。


「私も、あの、ジークとなりたかったです」


 だからなれたわけか。


「おっ? 早速発見だな」


 キングゴブリンもいて、いいな。


「私は、どうしましょう?」


 俺に聞かれてもな。


「変わったら参加してくれればいい」


「はい。……あっ、来ます!」


 ギュッと目を瞑ってクアナが言う。


「……」


 目を開くと、雰囲気が変わっていた。


「あら。今回はジークが一緒なのね。丁度いいわ」


 ……あっさり変わるな。


「何が丁度いいんだ?」


「実は、あたしも一応女の子だから、彼氏が欲しいのよ」


 ……そうなのか? 意外だな。


「で?」


「……鈍いわね。ドSのあたしに釣り合う男なんて早々いないでしょ? けど、あたしの近くには趣味の合いそうな男がいたのよ」


「……誰だろうな、それ」


 俺は趣味が合わなさそうだ。


「……そんなに嫌ならいいわよ。でも、ちょっとデートするぐらいならいいでしょ?」


 別に、嫌ってわけじゃないが。


「で、そのデートってのは?」


「名付けて、虐殺デート」


「……恐ろしいデートだ」


 そんなデートが存在していいのか。


「あたしとジークが仲良くSにモンスターを狩りまくるデートよ。いいでしょ?」


 いいのか、それ。


「彼氏ってのは無理でも、狩りに付き合うのはいいぞ」


「ホント? やっぱり、ジークってSよね」


 ……そんな嬉しそうな顔してたら断れるかっての。


「ったく。しゃーねえから、一回中学ん時の俺の喧嘩の仕方見せてやるから、最初は見てろ」


 中学ん時に戻るのは嫌なんだけどな。


「全盛期のドSでお願いね」


 ……マジか。


「はいよ」


 わかりやすく、スキル使わないで殺るか。


「……」


 まず、ゴブリンの群れまで走って、手前のゴブリンの頭を掴む。


「……」


 残酷な笑みを浮かべ、ゴブリンを地面に叩きつける。


 さすがにゲーム内の方が強いので、叩きつけるとゴブリンの頭が砕けて血が噴き出す。


「……懐かしいなぁ」


 この臭い、感触。手が返り血で汚れるが、気にしない。むしろ、それらが俺に昔を思い出させる。

説明不足ですが、ジークは頭を砕いたことはありません。返り血と地面に叩きつける感触が懐かしい、ということです。

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