悪魔とギルド申請
「まずはマスター、俺か」
自分のも書かないといけないんだな。
「じゃんけんでマスターになった全ての魂を継ぐ者ソウルイーターこと、ジーク」
「嘘書くの禁止」
しっかり者のシュリナが怖い。
「メンバーに推薦されてマスターになった全ての魂を継ぐ者ソウルイーターこと、ジーク」
「信頼が厚いって入れてみて」
シュリナは注文が多い。
「メンバーに推薦されてマスターになった全ての魂を継ぐ者ソウルイーターこと、ジーク。信頼が厚い」
「何で最後に入れるのよ」
「信頼が厚いメンバーに推薦されてマスターになった全ての魂を継ぐ者ソウルイーターこと、ジーク」
「それもいいわね」
頼りになる仲間に推薦されてマスターになった全ての魂を継ぐ者ソウルイーター、ジーク、っと。こんなもんでいいだろ。
「信頼が厚く、しっかり者だが何故か廃人、副マスターになった伝説の不死鳥フェニックスこと、シュリナ」
「途中まで良かったのに、余計な一言を入れたわね」
「信頼が厚く、しっかり者なので副マスターになった伝説の不死鳥フェニックスこと、シュリナ」
「ちょっと大袈裟だけど、それでいいわ」
信頼が厚く、しっかりしているので副マスターに推薦された皆のストッパー、伝説の不死鳥フェニックス、シュリナ。これでいいか。
「オタメガネ、キモメガネ、ウザメガネ、ダメガネ、眼鏡系男子の最下位に君臨する元βテスター、紋章の守護者、リューシン」
「酷いけど、否定出来ないわね」
「俺の扱い雑!」
「しゃーねえな、俺の方でただの人、みたいな感じにしといてやるよ」
元βテスターの知識を活かし、ギルドの参謀役を務める紋章の守護者、リューシン。これがいいな。
「無表情の仮面を被った黒き処刑人、絶望の女神、ティアナ」
「……何か合ってる」
常に無表情だが、その仮面の中には仲間を想う心がある、黒き姫、絶望の女神、ティアナ。
まあ、こっちの方がいいよな。
「どんな敵でも撃つ、歩く機械兵器、機神兵、ジンオウ」
「妙に的を射ている」
身体は仲間を守るために機械だが、その心は鉄の冷たさとは逆に温かさを持つ機神兵、ジンオウ。
いい感じだ。
「小生意気なクソガキ、ブレイドサモナー、ディシア」
「随分と酷いね」
「お前は小学生か、ブレイドサモナー、ディシア」
「心外だよ。僕はこれでも高校生だ」
それは驚いた。
身体は小さいが志は大きく、冷静沈着なブレイドサモナー、ディシア。
「五行術士、シャリア」
「職業と名前だけよ、それ」
メンバーの支援と回復を務める心優しき五行術士、シャリア。
「表はドM、裏はドS、死にたくないなら近寄るな、糸操作士、クアナ」
「うぅ、嫌です」
日常は心優しく、戦闘は頼りになる凄腕糸操作士、クアナ。
「天然お嬢様死して尚生きる者ゾンビ、レア」
明るくメンバー最大のパワーを誇る頼れる、死して尚生きる者ゾンビ、レア。
「建築大工、ガラド」
どんな物でも建てる凄腕の大工、職人気質の建築大工、ガラド。
「オッケ、じゃあ、俺の方で適当に書き込んどくからいいか」
もう書き込んだけど。
「他には何かないの?」
「ん~? 特にはないな」
もう入力は済ませたし。
「じゃあ、申請しといて」
オッケ。
「これでいいか?」
受付嬢にディスプレイを渡す。
「……はい。確認しました」
「これでギルドが成立すんだな?」
「はい。あちらのギルドクエストを受注すると、ギルドランクが上がって受注出来るクエストが増えたり、グランドクエストの強制参加が発生したりします」
ギルドクエスト? グランドクエスト? 何だそれ?
「ギルドで受けるクエストと、ストーリーを進めるために必要なクエストだ」
リューシンがジャストタイミングで説明をしてくれた。
「はい、こちらがギルドメンバーのギルドカードになります。ステータスウインドウに追加されますので」
ギルドに入ってる証明書みたいなもんか。
「アイテムにも追加されますので、ギルドカードの掲示が求められた場合はアイテムウインドウから出してください」
掲示しなきゃいけないってことがあるんだな。
「個人のランクもありますが、ギルドランクは個人のランクの平均でもありますので、一人が凄く高くても上のクエストには挑戦出来ませんので」
了解した。
「ソロでランク上げてカバーすることも出来るわけか」
メンバーがログイン出来ない時とかに便利だ。
「はい。中央の掲示板はギルドランキングが表示されます」
ギルドランキング?
「ギルドの平均レベル高い順、ギルドランク高い順、グランドクエストの貢献度順などのランキングが表示されます」
なるほど。
「それでは、頑張ってください」
ういっす。
「早速、何かクエスト受けてみるか」
手頃なヤツ。
「……おっ?」
いいの見っけ。……これなら丁度いい。
「これって受けられるか?」
クエスト受付嬢に聞く。
「……はい。難易度高めですが、よろしいでしょうか?」
「ああ。別に、一人一個でもいいんだよな?」
「いいですが……。それだとランクD~C相当ですが?」
「やり方は自由だってことだな」
「はい」
「じゃあこれを引き受ける」
「はい。承りました。期限は十日です」
うっし。
「……というわけで、ゴブリンの群れ、十回討伐のギルドクエスト受けたから」
「「「どういうわけで?」」」
だから、こういうわけで。




