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残照 ~俳句と人生、老いの旅~  作者: 松涛/編集:山鳥はむ


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春浅しアバヨとぐらい言って逝け

平成二十七年三月



 老小説家。三日にあけずメールを交換し合っていたメル友。

 この四週間、全く何の連絡もつかない。


 彼はまだ、この世に踏ん張って居るのだろうか。



 最初の交信から数年間、彼の名前も知らずに通信し合っていたのだ。


 或る日、突然、彼から「日経俳壇で知った。俳風が気に入った。だから弟子にしろ」と宣言があった。



 私はそんな力はないし、柄じゃないと断った。なんでも昭和三年生まれとのこと。イイから読めと高圧的で早くも序列が決まった。



 彼、兄貴は多数のペンネームを使い分け、推理小説、テレビ・サスペンス、はてはSM小説までも書き捲っていた御仁だった。


 しかし俳句に関しては典型的な写生俳句。私は黒田杏子先生の教えをそのまま受け売りすることに徹した。


 紙面が尽きてきた。

 さて、彼についてはこれだけでは書き尽くせない。そうだ、彼はまた独居老人だったのだ。



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