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緑濃し荒れ果てしまま無縁墓
平成二十六年五月
我が家の墓は豊島区雑司ヶ谷にあります。
両親の遺骨はそこに納めていますが、妻は其処にはおりません。遺言に従って隅田川に散骨しました。
散骨や山百合船を離れずに
こんな句を詠み日経俳壇に黒田杏子先生選として掲載されたことは以前に書きました。
散骨した場所はNHKのニュース番組の冒頭に映し出される画面なのです。
まさに妻が毎晩見詰めていた目線であり、私はその画面を見る度に「オカアサン」と心の中で呟いているのです。
いずれ私も同じ所に散骨してもらいたいと願っているのですが?
雑司ヶ谷の墓地に行くとあちこちに無縁墓の立札が目立ちました。
都条例の長子相続しか許されないためか、少子化のせいなのか判りませんが……散骨に決めた私たちの選択は間違えではなかったと思っています。




