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死のうよと囁きし妻花火の日
平成二十六年五月
生まれた日は別々だったけど、死ぬときは一緒に死のうと言い交わしたこと……亡くなる数時間前、緩和ケアのベッドから身体を起こし、告げられた時の驚愕を忘れられないのです。
正直、狼狽えました。
何処で? どうやって?
自分自身の覚悟のなさを恥じました。丁度、三年前の初夏の夜のことでした。
俳句ってイイですね。こんな気障で、激しいことをスラスラ言えるのだもの。
最近、偶然、新聞で「承諾殺人罪」という言葉を目にしたのです。
病気で苦しむ妻と話し合って心中を決意し、ある夜、ちょっと贅沢な食事をし、そして妻を殺し、夫も死のうと包丁で喉を刺したが病院で蘇生してしまった。
そんな悲しいニュースでした。
懲役四年の求刑だとか。
「一緒に死のうね」と言い交したのは事実です。誤解を恐れず言えばそれも一つの選択肢であったかと思うのです。




