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残照 ~俳句と人生、老いの旅~  作者: 松涛/編集:山鳥はむ


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稲袈狭間あねさん被りの女おり

平成二十五年十月



 稲袈を「はさ」と読むそうな。

 刈り取った稲を天日に干すための仮設の木組みなのだ。


「はさ」とはどうしても読めない。



 どこか地方の方言かと思い「広辞苑」で調べてみるとこれが載っていた。

「新潟富山福井岐阜では稲掛け、稲架 (とうか)(はざ)ともいう」とある。



 横に渡した竿竹とか丸太に刈り取ったばかりの稲束を振り分けにして挟む。

 そんなことから「はさ」という言葉が生まれたのかもしれない。

 この稲架に稲の束をびっしりと隙間なく掛けた様を稲架襖というらしい。



 豊橋に移り住んで四度目の秋を迎えた。

 東京で生まれ育った私には旅の車窓から見たことはあったが、身近に見たことはなかった。



 さらに、この地は柿の名所でもある。皮をむき紐で結び軒先に数珠繋ぎに吊るした景色を「柿暖簾」と言う。



 それなりの風情だが私には東京のビルの明かりのほうが馴染める。



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