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父に似し咳払い一つ秋の暮れ
平成二十五年六月
咳をしてもひとり 尾崎放哉
独居老人、頼る人とていない寂しさを的確に描いている。
私は今年の春、突然激しい咳に見舞われた。
その後この症状は一向に収まらない。
どこも悪いところはないと診断されている。
話は飛ぶが、鋳造工学の分野でも不良の原因がさっぱり分からないことがある。
鋳物ミズもの、溶解は妖怪変化と言はれる。
この世界に入って約五十五年になり最近、やっと原因のない結果はないと判ってきた。
要するに臨床例がなく経験不足なのだ。
改めて、表記の俳句に戻る。
まだ父が存命の頃で随分前の話だが、耳鼻咽喉科のベテラン医師に、
「お父様とまるでそっくりの喉をしている」
と言われた。
容姿は似ていないのだが妙な部位で判別された。父は常に咳払いをしていた。
私は咳をする度に懐かしくその言葉を思い出す。
咳の原因は父からのDNAなのか。




